コラム『明鏡止水』
VOL.1~VOL.50

城北信用金庫メールマガジンJ's B-press
タイトル 『J's B-press』 掲載号
VOL.50(2017.05.31)
VOL.49(2017.04.28)
VOL.48(2017.03.31)
VOL.47(2017.02.28)
VOL.46(2017.01.31)
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創刊号(2013.04.01)
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  J's B-press VOL.50(2017.5.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~藪の中~
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「明鏡止水」というタイトルは、
このコラムを書き始めたときに、編集の方が勝手につけたものでして、
内容の方は「邪念なく、澄みきった心」には程遠い、俗人のつぶやきです。
「空気は読めてる」つもりです、従って端からお役には立ちません、
とお断りしたことを覚えております。

つい筆を滑らせ己の信条を吐露したことも幾たびか、
多くの方にお読み頂いておりますので、
様々なご意見がおありになると思います。
相容れざる点につきましてはご放念頂ければ幸甚です。

さて、加計学園獣医学部新設計画を巡る文書の存在について、
前文科省次官は「あったことをなかったことにはできません。
黒を白にするようなもの」と発言、
対する官邸は「次官は天下りが明るみに出た際、地位に恋々と
しがみついていた」「出会い系バーに出入りしていた」と
次官個人を揺さぶります。
文書の存在そのものには一切触れず、出会い系バーに出入りするような
人間の言うことが信用できますかと、端っから相手にしない姿勢です。

少し前、森友学園の用地払下げ問題に関する籠池理事長の証人喚問、
こちらも真向対立していましたね。まるでドラマを見ているようでした。
不当な価格の払下げであったのかどうか、
一連の土地取得、開校に安倍総理の口利きがあったのか、
総理の奥さまとの金銭授受は事実だったか????
当事者は文科省問題に世の中の目が移り、ホッとしているのかもしれませんね。

芥川龍之介の小説「藪の中」、
藪の中で一人の男が殺され、
四人の目撃者と三人の自白者が登場する小説です。
それぞれの証言からは矛盾したシナリオが出来上がり、
結局、誰が犯人かは明らかにされず、
真相は迷宮入りのまま小説は終わります。

読者は、次々と提示される証言の山に翻弄され、
目撃者の一人になったかのような混乱した気持ちのまま、
時間切れで終幕を迎えることになるのですが、
それは芥川の思うところ、狙いであるのかもしれません。

失われるプライバシーについて、このコラムにも何度かアップしました。
監視カメラ、LINEの着信履歴、ネットの購買履歴、GPS等に
囲まれている現代社会、誰が、誰に、何を伝えたのか、
すべてが透けてみえてもおかしくはありません。
それなのに、矛盾する証言が噴出するばかりで互いに譲らず、
そのうち時間切れで「藪の中」に持ち込もうとしているのか、
それ以外に逃れる策がないのか・・・?

明鏡止水・・・・冒頭に掲げました「邪念なく澄み切った心」、
日本の国をけん引して下さる立場のみなさま、真相を明らかにして
信頼のあふれる安心して住める社会を築いて頂きたいと思います。

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  J's B-press VOL.49(2017.4.28)

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┃   コラム『明鏡止水』~信頼~
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フィギュアスケートの浅田真央さん。
オリンピック、世界選手権と数々の輝かしい戦績を残して、
この4月、引退を発表しました。
同じトリプルアクセルでも、真央ちゃんのジャンプには
他の選手には見られない美しさと、華やかさがあったような気がします。

時のオリンピック組織委員会に携わるドンが
「あの子は大事な時には必ず転ぶ」と発言し、大顰蹙を買ったところですが、
実際、ハラハラドキドキしながら演技をご覧になっていた方も
少なくないのでは・・・?
目いっぱいのリスクを覚悟して果敢に勝利に挑戦する、
真央ちゃんのスマイルが茶の間から消えるのは寂しい限りです。

この人気のフィギュアスケートを、
信用金庫がオフィシャルスポンサーとして応援していることは、
皆さんよくご存知のところです。
羽生結弦選手の4回転ジャンプのバックに、
信用金庫の赤い文字が大きく映ります。
出場選手のウエアにも信用金庫の文字が目立ちます。
日本のスケートは世界レベル、だからスポンサーも一流、という
イメージの相乗効果も期待できます。

さて、そもそも「信用金庫」の「信用」ってなんだろう?
テレビを観ながらそんなことを考えてみました。

4月は新人のやってくる季節です。異動の時期でもあります。
先輩から引き継いだ地域のお客さまのお宅を、
不慣れな後任がお訪ねします。
「おはようございます。城北信用金庫です。
新しく担当になりました○○です。
今日はお積み立ての集金にお邪魔しました」・・・こんな調子でしょうか。

お積み立ての金額を確かめて、
通帳を端末に通し収納判を押してお手元にお返しします。
「あなたホントに信金さん?」「お金預けて大丈夫?」
そんな詰問もなく、ごく当たり前に
お金を渡していただける、町の集金風景です。

お客さまが信用金庫からお金を借りる場合、
少額でも担保や保証を求められます。
でも、積み立ての集金に伺ってお金を受け取る際、
お客さまから「保証はないの?」「なにか担保を置いていきなさいよ」と
言われたなんて話は聞いたことがありません。
不思議ですよね。
「普通預金に入金しておいて」と多額の現金を出されても同様です。

こんなやり取りをもう少し考えてみますと、
信用金庫の職員であるというだけで、
お客さまは「信用して」お金を手渡してくださいます。
その営業担当者が交代間もなく
顔もよく知られていない新人であっても、です。
なぜ信用していただけるのか、
それは、これまで歴代の担当者に預けて、
いつも間違いがなかったからです。
昨日までずーっと長いことそうであったから、
今日も、明日からも間違いがないはずだ、
と思わせることが「信用」なのでしょう。

もちろん、信用は一朝一夕にはでき上がりません。
毎日、毎月の少しずつの積み重ね、時空的には過去の積み重ね、
それが明日の信頼関係を築くことは、誰もが認めるところです。
そして、長期間かけて築いた信頼関係も、油断すれば一瞬で崩れ去る、
これもまた誰もが認める事実でしょう。

今日も生涯の一日、今日この一日を疎かにはできません。
だからこそ、親子何代も続く暖簾、諸先輩から受け継ぐ伝統、
それらを支える「信用」に、無限の重みを感じます。

羽生選手のジャンプの信頼度は世界一。
そこにもきっと、計り知れないコツコツの積み重ねがあるんですよね。

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  J's B-press VOL.48(2017.3.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~家族~
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米国テキサス州で開催され、日本から出場した谷原選手の
健闘が称えられた2017年ゴルフ世界マッチプレー選手権。
前年の覇者、世界ランキング3位のジェイソン・デイ選手(豪)が
試合途中で棄権しました(2017/3/23~27)。
幼い頃に父親を亡くし、苦労して育ててくれた母親が
ガンの手術を受けるので傍にいたい、というのが棄権の理由です。

「家族が一番大切、今はプレーをできる精神状態ではありません」
と言いながら会場を後にするデイ選手。
一方、日本のスポーツ選手の多くは
親の死にもプレーを続けることが多いようです。
またマスコミも、そんな悲しさ辛さを乗り越えることが
美談であるかのように報道します。

「年々墓参りにお見えにならない檀家さんも多くなりましてねぇー」
お彼岸にお目にかかったお寺の大黒さんがおっしゃっていました。
国の事情、家庭や家族に対する考え方、信仰、
それぞれの国で異なりますから一概には言いきれませんが、
花や線香を持って山門をくぐる人が溢れた昔から、
親や祖先に対する接し方は、少しずつ変化しているような気がします。

トム・ミッチェルの著書「人生を変えてくれたペンギン」の中に、
アルゼンチンの全寮制中等学校の洗濯や裁縫を仕事にする、
ちょっと足の悪い女性マリアさんが登場します。

高齢の彼女は、孫のような寮生に言います。
「世間の人は幸せになれないものを欲しがり過ぎるのよ。
人間が幸せになれるものって、家族・子ども・友だち、
それから愛する人たちと年をとっていくのも幸せ、
花や実のなる木を育てるのも、働く仕事のあることもね」

モノに囲まれた社会に慣れてしまっている私たち、
便利になることだけに喜びを求め、
デイ選手やマリアさんが感じているような、
本当はもっと大切にしなければいけないものを、
忘れかけているような気がします。

日本を訪れる外国人が、日本の街のきれいさや、
他人にやさしく接する人々の立ち居振る舞いの素晴らしさを、
You Tubeにアップしてくれています。
それはそれで大いに誇れることなのですが、
古き昭和の時代に育ってきた人間としては、
「昔の日本はもっとよかったよ」と言いたい気もします。

2016年に来日したウルグアイのホセ・ヒムカ前大統領が、
全く同じことをおっしゃってましたね。
「日本人は本当に幸せですか? 
貧しい人というのは、モノを少ししか持っていない人ではなく、
「もっと」「もっと」と、いくらあっても満足しない人です。
人の幸せとは愛、子育て、友だちをもつこと、
そして必要最小限のもので満足することですよ」と。

ジェイソン・デイ選手の小さな棄権記事、
大きな意味があるように思います。

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  J's B-press VOL.47(2017.2.28)

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┃   コラム『明鏡止水』~プレミアムフライデー~
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キャスターを道路に叩きつけ、荷を放り投げる・・・・・
宅配のお兄さんのそんな映像が話題になりました。

宅配業者の賃金は固定給、歩合給、各社各様ですが
荷物の大小にかかわらず、数多く配達できると増収になります。
一度お邪魔して不在、二度三度となると腹が立ち
ヒステリックになるのも分からぬではないのですが・・・
中には取扱注意の荷もありますから。
宅配時間指定の荷は更に厄介ですよね。
限られた時間内に届けきれなければ時間を延長せざるを得ない、
届けて「遅い」と文句を言われることも少なくないとか。

過労死、実に重い言葉ですが
広告代理店D、他にも、労基法を遥かに超える残業が
問題になっている企業は少なくありません。
ご存知のように、労基法一条は
「労働条件は人たるに値する生活を営むための
必要を充たすべきもの」とありますから、
大幅な残業は、快適な生活を営めないということになります。
働き過ぎ? 働かせられ過ぎ?
政府と労使間で残業の上限時間調整が行われているところです。

さて、この2月の最終金曜日から始まったプレミアムフライデー、
週末の黄昏時に、買い物や旅行に出かけたり、
仲間と酒を酌み交わしながら楽しい時間を過ごしたり・・・と、
働き方改革に向けての新たな取り組みが始まりました。
「人たるに値する」生活環境が実現できることに期待したいと思います。

しかし、信用金庫のお取引先である小規模企業で、
このような効率化、合理化、少人数化が可能なのか?
現実はなかなか厳しいようです。
単純に1人当たりの労働時間を短縮すると、
やらなければならない仕事を完結させるために
人手を増やす必要があります。
足りなければ、新たな採用もしなければなりません。
それは収益を著しく圧迫することに直結します。

つまり、知恵と工夫で業務改善をするには限度があるということ、
また、良質な仕事を提供してくれる労働力の不足は、
相対的に賃金が安い小規模企業にとって、永遠の課題でもあるからです。

何件かお取引のある小規模企業にお訊ねしました。
江戸のころから和装袋物を生業とする従業員3人の有限会社、
昭和に入り婦人用和装バッグ製造を専門に手掛けています。
70を超した?社長いわく
「親方から見よう見まねで盗んでやっと今、
若いころは寝る間もなかったよ、とにかく仕事を覚えるのに夢中で」

下町のフレンチ料理のシェフ、
フランス一つ星のレストランでの修行経験から
「先輩たちの料理は企業秘密、
絶対に教えてくれないからとにかく横目で見て盗む。
店が終わってからが勝負、調理場で試行錯誤。
残業?頼んでないよ、好きでやってんだろって言われちゃうよ」

焼野原からの復興、私たちの諸先輩は、
戦後の日本を「寝ずに働き」、
先進国に追いつけ追い越せと身を粉にしてきました。
ムリ偏にげんこつ話をよく聞いたものです。
技術を身につけようと自身で切磋琢磨すること、
業として強制される残業、その境目を労基で線引きするって
少しムリがあるのじゃないかと思う月末です。

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  J's B-press VOL.46(2017.1.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~監視カメラ~
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酉年初コラム、遅ればせながら新年です。
「明鏡止水」今年もよろしくお願い申し上げます。

二年前の今頃、町内で連続不審火事件が発生しました。
火の気のない場所での不審火、明らかに放火犯の仕業、と
夜な夜な自警団を組成し見回るもののまったく解決に至らず、
住人は不安をそのままに年を越しました。

幸い、全く離れた土地で犯人が別件逮捕され、不審火騒動は落着しましたが、
地元警察によれば、犯人検挙に時間がかかった理由は
「この町には監視カメラの設置がないから・・・」とのことでした。

確かに、駅前やその周辺の繁華街には監視カメラが設置されています。
でも、そこからちょっと離れて住宅地域に入ってしまうと
カメラは殆ど設置されていないのです。
戦前から続く銭湯のご主人は町会の副会長、
「繁華街のように、犯罪発生率の高いところの防犯カメラは警視庁の運営、
商店街やこんな住宅街の防犯カメラは、
大した事件もないのでいくらか助成金はでるけれど自前。
10台も20台も設置するほどの金は、うちの町会にはないし・・・」

この防犯監視カメラ、防犯上の理由、もしくは発生した事件の捜査であれば
画像解析による犯人の追及も致し方なし、ということになるのでしょうが、
個人情報保護との兼ね合いには、些か議論のあるところです。
カミさんに見られて困るような覚えはこれっぽっちもありませんが、
やたらめったら撮られて解析されるのは御免蒙りたい、という気もします。

他方、マーケティングの一環として駅構内や繁華街にカメラを設置し、
通行する人の数や年齢、性別、通行ルート、同伴者、
衣服や持ち物の傾向などを撮影・記録しているのも事実のようです。
撮影した画像をAIで解析し、交通環境の改善や渋滞の緩和に役立てたり、
商店街のデザインなど町づくりにも応用して、
地域社会の活性化につなげていこうという試みです。

また企業においては、カメラは改善の原動力にもなっています。
映像から人やモノの動きを分析し、作業工程のムリ・ムダを省くことによって
分刻み、秒単位で経営合理化に取り組む事例をよく見聞きします。

監視カメラとAIの組み合わせ、科学は常に客観的で、
理に適い、クールな検証の結果、真理を導こうとします。
合理の追及は、いずれ人間の職を奪い、
あるいは人間の制御を超えて支配関係の逆転を許すのではないか・・・
そんな心配、かなり現実味を帯びてきましたね?

真理の追究と、社会の利益の追求は必ずしも一致しない・・・
ハンドルに遊びが必要なことと、ちょっと似ているような気もします。

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  J's B-press VOL.45(2016.12.30)

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┃   コラム『明鏡止水』~大型店の弱点は?~
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地域経済の活性化を目指し、
福島県伊達市が進める大型ショッピングモールの誘致計画に、
隣接する福島市が「待った」をかけたという報道がありました。
ショッピングモールに客が流れ、地元の商店街が空洞化する――
との主張が出店反対の理由です。

郊外に大型ショッピングセンターが次々と建設され、
その煽りを受けて地元商店街の閉店が相次いだために、
近所で買い物ができなくなった高齢者が
「買い物難民」となる現象は各地で起こっています。
2000年に改正された新大店法には、
周辺の生活環境を保持するため、施設の配置や運営方法について
適正な配慮がなされることを確保する、と明記されていますが、
地元商店の経営が根本的に解決されたわけではありません。

またこの15~20年で、
町の小売店を取り巻く環境は大きく変わりました。
至る所に24時間営業のコンビニができ、
食品や衣類などに特化したスーパーマーケット、
食品のみならずなんでも揃う大型のショッピングセンター、
安売りのディスカウントショップ、
専門店が店を連ねる大型ショッピングモール、
郊外には数多くのブランドショップが入った
アウトレットモールも出現しました。
さらに、インターネット・宅配・クレジット決済を組み合わせ、
手持ちがなくても楽に品物が手に入るネットショップの急激な普及は、
老舗デパートはもとより、小規模な地元商店にも
大きな打撃を与えています。

信用金庫のコラムとして、
なんとか地元商店街に役立つことはないのだろうか?
「お役には立ちません」と当初から宣言したものの、
たまにはなにか・・・と考えを巡らせるのですが、
どうも妙案は思い浮かびません。

でも、ショッピングモールやショッピングセンターに対して、
一般の消費者が感じていることのアンケート結果を読みますと、
ちょっぴりヒントがあるような気がします。

以下アンケートの中身ですが、
大型モールはテナントの種類が限られ、
類似商品を売る店が多すぎる、広すぎて年寄りには疲れる、
売り場の専門職員が少ないから商品の説明を聞けない、
食品の美味しさや調理方法を教えてくれない、自己責任での選択、
テナント料の高さからかモノによっては割高感がある、
便利さの反面こんなことを不満として挙げています。

北千住の商店街にある杉本青果店、
夕方になると近所の主婦たちで大賑わい。
見てくれは悪くても本ものだけを届ける、
最高の調理方法を伝えながら、
少人数家族のためにきんぴらを刻み、
ぬかみそも、梅干しもすべて手作りの本もの。
野菜の切り方、最善の調理法、煮物の味付け、
なんでも教えてくれる、とにかく野菜のプロ。
「品物はすべて当たりだけ、ハズレ全くなし」と豪語するご主人。

今後ますます高齢化は進みます。買い物難民も増え続けます。
わざわざ遠くまで足を運ばなくても、
思い通りの品物を手にできるお店には、
人の足が途絶えることはないようです。
笑顔で満足をお届けできる小売店、
アンケートにはそんなヒントが浮かび上がってきます。

末筆ながら、本年も毎回のご愛読ありがとうございました。
皆さまのご多幸をご祈念申し上げます。

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  J's B-press VOL.44(2016.11.30)

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┃   コラム『明鏡止水』~折り込み広告~
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11月なのに日陰に雪の残る朝、新聞配達のお兄さんとこんな会話を。
「早くからご苦労さまですね~」
「でも、一時から比べれば部数も配達軒数も減ってますし、
折り込みも少なくて軽いからボクらは楽ですよ。
オヤジさんは経営が厳しいってボヤいてますが」

社会のできごとに関する情報入手の手段として、
かつては新聞がトップでした。
今は学生・社会人の約90%がテレビを挙げ、ダントツの一位、
かつてトップの座にあった新聞は、インターネットや掲示板と
ほぼ同じの30~40%に陥落している調査結果を目にします。
あらゆることに変化のサイクルが短くなっている世の中、
紙ベースから電子データベースに、
時代は大きく変わりつつあるようです。

それを象徴するかのように、別の統計では、
社会生活を営む人たちのスマホに触れている時間が
異常に延びています。
いわゆる「ながらスマホ」。
テレビを観ながら、歩きながら、食事をしながら、
駅で電車内で、自転車に乗りながら…
ヒマさえあれば常に触っている、
起きているときはずっと画面を動かしている、
そんな状況を「自分はスマホ依存症かもしれない」と
自己診断している人が25%もいることに驚きを感じます。
その結果、友だちとの会話が途絶え友人を失った、
不健康になった、スマホがそばにないと不安になる…
といった依存症的な弊害が顕在化しているのも事実です。

運転しながらポケモン、捕まえるのに夢中になり
事故を起こした・・・という報道も目にします。
また誘惑的なゲームやアプリの多い有料サイト、
つい夢中になるあまり請求される課金の額に
トラブルも急増しているようです。

一度始めるとハマってしまう、
途中で止められなくなる面白さがあることはわかりますが、
きちんとご自身をコントロールすることは社会人として必須です。

話を戻しまして新聞に関することです。
一時よりかなり減ってはいるものの、
週末や給料日の後、年末にかけては
地元スーパーの安売り情報満載のチラシが折り込まれています。
来店可能な狭い地域に、金額を記載した写真満載のチラシを
確実に届ける方法として、発行部数の多い新聞の折り込みが
有効な広告手段であることは事実です。
メディアによる電子広告でも伝達可能ですが、
限られた地域という点、確実に見てくれているかという点では、
ちょっと物足りなさを感じるといいます。

ラーメン屋、パチンコ屋、薬屋、ヘアーサロン等の新規開店や、
商店街の特別セール、福引・抽選会、特定の地域のイベント…
手にする紙媒体のチラシには、いまでも十分な訴求力が感じられます。

ややもすると活気の失われる地元商店街、地元を
活性化させるにはどうすれば良いのか、
信用金庫はずっと考え続けています。
スマホ依存症だらけで会話の少なくなる社会、
少しブレーキをかけないと情感のない無機質な街に
なっちゃいそうでちょっと怖いですね。
笑顔で世間話のできる窓口、少し紙ベースに巻き戻して、
昔懐かしい「隣り組感覚」のお店づくりも、
おもてなしニッポンには必要なことだと思います。

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  J's B-press VOL.43(2016.10.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~次の一手はAIで~
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対局中に将棋ソフトを使用したとの疑惑を受け、
出場停止処分を受けたプロの棋士が話題になっています。

次の一手、将棋ソフトは詰め込まれた膨大なデータから、
その時点における最も作業効率の良い方法を
AI(人工知能)によって解析し、指し手をはじきだします。
人間対AI、ひと昔前は「人間の脳に追いつくはずがない」と
圧倒的優勢を誇った人間ですが、
最近AIはデータの集積技術が向上、
ビッグデータの解析によって柔軟な妙手を披露し、
人間を追い上げているようです。
プロ棋士でも、勝敗の分かれ目となれば、
幾通りかある指し手の中でどれが最善手なのか、
AIに選んでもらう誘惑にかられるのでしょう。

数号前に、コリジョンルール(チャレンジの申し立てで
ビデオ判定を仰ぐこと)について、正確無比の判定はともかく、
瞬間の決定に対する面白さが半減してしまうこともありますね、
そんなことを書きました。
日本シリーズの2戦目、
バックホームされたボールのアウト判定が
ビデオ判定で覆ったのも、記憶に新しいところです。
微妙な場面では、人間が感じる迫力や目の曖昧さが
誤審に繋がるようですが、至るところに無駄の多い人間社会、
1mm・1cmはその場の雰囲気でいいじゃないですか。
(言いわけのような相撲の「死に体」、人間っぽくないですか?)

さて、今やあらゆる分野にAIが進出、
目的地をセットしてスタートボタンを押せば、
運転席に座っているだけでよい自動車、
人間が入れない事故現場や、橋梁の危険個所での状況確認、
孤立した地域への食糧や薬の支援などに活躍するドローン、
気象分野では、台風の進路や強さは勿論、
局地的な天候や警戒レベルも的確に知ることができます。

信金業界にもフィンテックの大波が押し寄せています。
借入申込にはデータベースをもとに
瞬時に金利金額・諾否が返される、
指紋認証・瞳孔認証で預金や資産の管理がなされる、
ATMでは、どの国の通貨でも現在レートでの出し入れが可能になり、
計算仕入・販売・経費が世界各国の企業全体と連動、
会計・税務処理が完了する……。

喜怒哀楽など人間の感情を表現するには、
まだ多少の時間がかかるにしても
あらゆる分野でのAIによる大きな変化は、
すぐそこまできているようです。

本の地震・噴火・大雨災害に続いて鳥取の地震、
日本列島はいまや災害列島と化しています。
昔から、神がかり的な予言者が未来を予知してみせたりしますが、
AIというのは、そんな予言を現実的な予測として
情報発信してはくれないものでしょうか?
「何月何日、午前2時に飛鳥山が噴火する、1km離れ避難せよ」
「何月何日、王子一丁目震源深さ10kmでM3.5の地震発生する、
 棚の卵下ろし警戒せよ」……なーんて。

揺れ始めてから一斉に緊急地震速報がピーピー鳴っても あまり意味がないですよね。
将棋の次の一手も結構ですが、
地震予告、せめて一週間くらい前には欲しいものです。

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  J's B-press VOL.42(2016.09.30)

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┃   コラム『明鏡止水』~モノ消費からコト消費の時代~
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金融機関志望の学生さん、少し前までは信用金庫より
ネームバリューのあるメガ銀行・地銀になびいていましたが、
少々様子が変わってきたようです。
株主の利益を第一義に考える株式形態の金融機関から、
会員や利用者の利益を優先して考える協同組織という形態に
理解が深まってきたのでしょうか。

当金庫は、就活に意欲的な学生たちに、
毎年インターンシップの場を提供しています。
参加者は年々増加、猛暑の8月にもかかわらず
800名もの参加申し込みがありました。
応募してきた学生たちに就活についてお尋ねしますと、
多くの方から、仕事を通じて「社会貢献」をしていきたい、
こんな言葉が返ってきます。

そういえば、東日本大震災や熊本の地震被害の現場にも、
ボランティアとして多くの学生たちが手弁当で参加している姿を見ます。
若い人たちがボランティア活動に意欲的になっている背景には、
教育現場での啓蒙であるとか、
身近に被害に遭っている人たちを目の当たりにしていること、
SNSによってボランティアの敷居そのものが低くなっていること等が
その理由のようです。

「モノ消費からコト消費の時代へ」
こんな言葉が新聞、雑誌に登場するようになりました。
消費者は、モノ的にはすでに満足の域に達していて、
これからは今までとは違う喜びを求めていることがはっきりわかります。
就職動機の「社会貢献」、若い人たちのボランティアも
その表れなのでしょう。

ひたすらイイものをより安く大量に供給する・・・
これまで大事にされてきた考え方や価値観は、
どうやらその役割を終えたのかもしれません。
「断捨離」に関する本が飛ぶように売れるのは、
モノが余っている証拠です。

相手に喜ばれること、お役にたつこと、
自分が楽しいこと、嬉しいこと・・・モノからコトへ、
つまりモノの価値観からコトの価値観へと視点を変えると、
そこに新たな価値が生まれてくるというのが今のようです。
少量で多品種のものづくり、
昔は手間暇がかかる、儲からないと嫌がられたものですが、
今や、少数派の価値観に対応した「あなただけの」が
付加価値になる時代です。
中小企業が生き残るキーワードのような気もします。

金融機関も全く同様、金利や品ぞろえだけでお客さまは満足しません。
「あの信金に行くとどんなことでも相談に乗ってくれる、
いいよ~、ありがたいよ」そう感じていただくことが、
選ばれるための秘訣です。
子育て、塾、進学、買い物、セレクトショップ情報、
リサイクル情報、雨漏り、壁のひび割れ、建築業者、
ガス水道、床暖房、エコ電化製品情報、
医療、介護、地方のオーガニック農水産物情報・・・etc.etc.
地域に暮らすたくさんの「あなた」のお役に立ちたい・・・
実に大変ではありますが。

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  J's B-press VOL.41(2016.08.31)

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┃   コラム 『明鏡止水』 ~五輪代表の裏~
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八月もそろそろ終わりに近づきました。
今夏の話題はなんといってもリオ五輪です。
スタジアムや諸々の設備の完成遅れ、治安の悪さやテロへの不安、
開催反対派のデモ等、多難が伝えられていましたが、
大きな問題もなく閉会を迎えました。
体操の内村選手、水泳の金藤選手、お家芸復活を示した柔道、
レスリング女子の金メダルラッシュ、卓球、
バドミントン、100m×4リレー……。
かつてない日本選手の活躍に、
多くの方が睡眠不足になったようです。
選手たちが与えてくれた感動はいつまでも輝き、
語り継がれていくことでしょう。
そんな檜舞台に立った選手の陰には、
惜しくも選考に漏れた多くのアスリートたちがいます。
五輪代表の切符を勝ち取るのは、
それぞれの分野で万、十万のライバルを倒し頂点に立った選手だけ、
惜しくも手が届かず涙をのんだ選手のほうが
圧倒的に多いのは当然のことです。
とかく五輪代表の活躍ばかりに目を奪われがちですが、
それを目指して頑張っている多くのアスリートたちを応援することも、
とても大切だと感じます。

ところで、城北信用金庫もささやかですが
スポーツ選手の育成を応援しております。
リオには行けなかったけれど、
次の東京オリンピックを目指して、日々トレーニングに励んでいる
多くのアスリートたちが所属しています。
いつか、城北信用金庫の桜のマークをつけた選手が、
オリンピックの舞台に立つはずです。
その時は皆さま、どうか熱い応援をお願いいたします!
(詳しくは、弊金庫公式サイト「Johoku Athletes Club」をご参照ください)

きっと、夢 咲かせる~城北アスリートクラブ

また弊金庫には、現役アスリートのみならず
引退した選手も在籍しています。
現在も破られていない女子競歩5,000m(20分43秒)の
日本記録保持者・大利久美さん。
現役引退後、新たなフィールドを弊金庫に求め、
素敵な活躍をしているビジネスウーマンです。
主な戦績は、日本選手権女子20km競歩3連覇をはじめ、
2012年のロンドン五輪、
ドイツ・韓国・ロシアでの世界陸上の日本代表等、
その足跡は輝きに溢れています。
競歩、一般の方にはなじみの薄いスポーツですが、
一定の距離をどれだけ早く歩けるかを競う競技です。
ルールは至って簡単、どちらか片方の足が常に接地していること。
そして、前に振り出した足が地面と垂直になるまで、
膝を曲げてはいけないというだけ。
早く歩こうとするあまりに接地をせず
地表を飛んでしまうと失格になります。
胸を張り、振り子のようにリズムよく
腕を大きく振ることが競歩のコツ、
結果として背筋の伸びた美しい歩き方が実現できるといいます。
社会人一年生の皆さん、
ヒールをお履きになるのもよろしいのですが、
つんのめりそうな歩き方はいただけません。
競歩でトレーニング、お勧めです。

さて、オリンピアン大利久美、
競技生活では、強いストレスとプレッシャーで
何度も壁にぶつかりました。
精神的にぼろぼろになりながらも、彼女に憧れて競歩を始めた
多くの後輩たちの夢を壊したくない一心で努力を続け、
日本選手権3連覇、ロンドン五輪代表…と
輝かしい結果を残したのです。
そんな競技生活の中から学んだことは、
すべてが社会人としての「今」につながっています。
礼儀正しさ、上下関係の尊重、人前でもの怖じしない…。
アスリートの世界では当たり前のことなのに、
社会ではとても重宝がられます。

体育会系であることに誇りをもち、
その経験が人生に大切であると知った今、
スポーツに親しむ子供たちに、
「トップアスリートになれなくてもいいじゃない、
途中で投げ出さずに続けることが、人間力をつくるんだよ」
とエールを送っています。

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  J's B-press VOL.40(2016.07.29)

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┃   コラム 『明鏡止水』 ~名簿~
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現高校一年生 名/50円、ゴルフ会員 冊/3,000円、
大学同窓会 冊/10,000円… こんな内容を記載した
名簿買取・販売業者のサイトが堂々と載っています。
みなさんのお住まいの郵便受に放り込まれるDM、
マンション販売や金融商品、エステやスポーツジムの勧誘、
各種資格取得… 内容は種々雑多ですが、
送られてくる多くの郵便物は、
このような名簿販売業者から購入した企業が、
住所データをもとに発送しているようです。
どこでどう間違ったか、
昭和ヒトケタのご婦人に成人式の振袖DMが届いたとか、
堂々たるオジサンの○美さん・薫さんにエステの案内がくるとか、
そんな呑気な笑い話があったのは昔のこと、
どの程度のヒット率があるかは定かではありませんが、
高価なデータを購入しても、DMを印刷・発送するコストは
十分賄えていることが容易に覗えます。

販売業者が謳う成功事例は、
「わずか2週間で数千万の売り上げを記録した」
「30~40先に1件の割合で面談アポが取れた」
「地域を絞り込んだ効率的な営業活動ができた」・・・と、
いいことずくめ。
名簿の発行体組織を知るだけでも、
ある程度ターゲットを絞ることができるわけで、
効率的かつ効果的セールスプロモーションの
第一歩であることは間違いありません。

一般的に考えて、こんな名簿の売買は
個人情報保護法違反なのでは?と思いますが、
個人情報をHP上で公開していること、
保護法に即したガイドラインを設け
第三者に提供することを明確にしているから、
違反にはあたらないと注記されています。
具体的な企業名は憚られますが、
過去に漏えいした個人情報で多くの逮捕者が出た事件と、
本質的には変わらないじゃないか? 
率直な疑問が残ります。

2週間ほど前、
「高齢者を狙った詐欺事件」という報道番組がありました。
詐欺集団が証券会社の職員を装って山口県の高齢者に電話、
細かいやり取りは割愛しますが、
最終的にそのお年寄りは数百万円をだまし取られてしまいました。
訴えにより、警察は品川に拠点を置く詐欺集団を逮捕しますが、
犯人グループの事務所に入ったテレビカメラは、
過去に悪徳商法、振り込め詐欺で被害に遭った人たちのリストが、
むき出しのままテーブルに放り出されているのを映し出していました。
その夥しい数の被害者リスト、
南は熊本・鹿児島から北は東北・北海道まで、氏名、年齢、電話番号、
さらには電話を掛けながら記録したものでしょう、
要求金額や話のやりとりが
肉筆でメモ書きされているという生々しいものです。

さて、振り込め詐欺犯人グループ間で、
このようなリストが一体いくらで売買されていたのかは
知る由もありませんが、高いヒット率を想定できる名簿として、
かなり高額で取引されていたと考えられます。

一向に下火にならない振り込め詐欺、
コラム明鏡止水でも創刊号・vol.15と二度取り上げましたが、
くれぐれも悪徳業者の名簿にお名前が登録されないよう
しっかり自己防衛してください。
ひと昔前なら大して意味も持たなかった名簿ですが、
テレセールス、ネットセールスの時代には、
時に巨万の利益を生み出します。
お手元にある名簿、くれぐれも厳格に管理してくださいね。

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  J's B-press VOL.39(2016.06.30)

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┃   コラム 『明鏡止水』 ~コリジョンルール~
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同点の九回裏二死、ランナー一・二塁、
打者のセンター前ヒットで二塁ランナー
三塁を蹴って猛然とホームに、センターから好返球、
微妙タイミングながら審判、大きなゼスチャーで「アウトーッ!」、
いよいよ延長線と思いきや攻撃側の猛抗議。
今期から導入されたコリジョン(衝突)ルールに抵触するや否や、
延々十分間審判団のビデオによる再確認、
結果は守備側の過剰防衛?によるホーム生還が認められ、
サヨナラ試合となりました。(2016/6/14、広島-西武戦)
つい今しがた興奮のるつぼにあった球場、
判定のアナウンスに一瞬なんとも言えない白けた空気が流れ、
あっけないゲームセットでした。
「あれがアウトか、よく見ろボンクラ!」
胸ぐらをつかんで猛抗議、
毅然として「退場っ!」と指さす審判、
ベンチの椅子を蹴飛ばしながらダッグアウト裏に消える監督の背中…。
あれもプロ野球の面白さのひとつでした。

人間が技と力を競うスポーツに
曖昧なシーンなんて多々あるのは当たり前です。
審判が権威をもって判断を下すのですが、
必ずしも正しくなかったことも多々ありました。
今もいくつか世紀の誤審として語り継がれていますが、しかし、
その時の間髪を入れずに下される判定にスリルがあったのも事実です。
30年前のWカップ、マラドーナの「神の手」伝説、
あれも立派な誤審でした。

最近のテニスの試合、in/out判定に不服のある場合、
選手はチャレンジを申し立て、AI(人工知能)による
画像処理の結果が、線審の判定より優先されます。
200kmを超す猛サーブ、アウトの判定、チャレンジ、
ラインに1cm触れている画像を見てセーフに覆る判定、
選手の目の確かさに感心しますが、あまりにも機械的な処理に
「ふーん」とため息が漏れると同時に古きを懐かしがる自分がいます。

最近の相撲も微妙な勝負には審判から物言いがつきます。
テレビの司会者解説者、
「このかかとと右ひじ、さてどちらが先ですかね?」
待つこと暫し、「只今の物言いについて、
行司軍配は○○に上がりましたが、協議の結果、行司差し違えで…」
仰々しく大の男(ホントに大きいんです)勝負審判が五人、
土俵上で協議しているようですが、なんのことはない、
イヤホンをつけマイクでビデオルームに連絡、画像判定を仰いでるだけの話。
東西南北に座っていらっしゃる勝負審判、あんなに必要なんでしょうか?
もっとも、お相撲さん社会でも、
改正高年齢者雇用安定法への対応は悩ましそうですが・・・。

人間って所詮アナログな生き物ですよね、だから面白い。
「ありゃーセーフだよ」
「いゃっ、微妙だけどキャッチャーブロックしてたからアウトだぜ」
「誤審だろ、明日のスポーツ新聞が楽しみだ」
観戦帰りの電車の中で花が咲くのも、遠からずなくなりそうです。

人間のしでかした一連の動きを、AIの組み込まれた画像で瞬時に判定する、
「微妙だけど勢いだからな~」そんなアナログ会話には聞く耳を持たず、
1mm/1cmを機械的に記録するロボットにすべてが委ねられ、人間が従う・・・。
確かに正確ではあるのでしょうが、なんとなく寂しくなりますよね?

ロボットに人間社会が制圧される・・・
SF話が現実味を帯びてきたこのごろです。

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  J's B-press VOL.38(2016.05.31)

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┃   コラム 『明鏡止水』 ~職務質問~
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熊本の地震、すでに一か月を経過したにもかかわらず
収まる気配がみられません。
被災地のみなさまに心からお見舞いを申し上げるとともに、
一日も早く揺れの収まることをお祈り申し上げます。

一か月ほど前のことです。
仕事が終わって自宅にもどり、
着替えて自転車で駅前の本屋に出かけました。
(今にして思えばうらぶれた恰好の普段着ではありましたが)
大通りからちょっと裏路地に入ったら、
突如もの陰から大ぶりの男性が飛び出してきました。
前輪を両足で挟みつけ走行不能状態にして
「ちょっとお尋ねします」とかなり高圧的な問いかけです。
その段階で相手が警察官だとわかりましたが、
かつて職務質問をされた経験もなく
心の準備ができていませんから非礼をとがめる術を知らず、
どぎまぎして「なんですか?」穏やかな返答をしてしまいました。
「お名前を」「○○です」
懐中電灯で自転車のフレームに記されている
車体ナンバーを照らし本署に確認、
きっと姓名の一致が得られたんでしょう、
「ありがとうございました、お気をつけて」と解放された次第。
後になって些か腹が立ちましたね。
いきなりの高圧的口調、考えてみれば
「なんの嫌疑があって職務質問をしたのか」、
「自転車どろぼうの疑いなのか」、
「警察手帳を見せてくれ、あなたの名前はなんていうの?」
その程度の抵抗はすべきだったんでしょう。
なにしろ善良な信金マン、
この手合いは慣れていませんので言われるがままでした。
素直に応じてしまった数日後、
職務質問執行法なるものを読みました。あれは任意です。
何のための質問か、警察手帳を見せてくれ、すべてOKです。
ただし、過度に及ぶと公務執行妨害になることもあります。
その辺りは十分ご用心を。

城北信用金庫の本部は、首都高の王子北出入り口の横にあります。
その降り口では、ちょっと複雑な矢印の信号に従って
進行しなければなりません。
常に白バイやパトカーが待機していて、
多分勘違いで指定方向以外の進路を取ってしまう車を見つけては、
華やかなサイレンを鳴らし捕まえて違反切符を切っています。
あの矢印の信号、確かに免許を取得する時には
しっかり習い覚えたはずですが、複雑な道路事情のわが国です。
難解な交差点も少なくありません。
「あれっ?いいのかな?」
疑心暗鬼で車を走らせているドライバーも多いと思います。
そんな交差点で、違反を犯しそうな車両にあらかじめ注意することもなく、
遥か後方に待機し違反完了(?)を見届けてから
「はい、違反です」なにか意図的な摘発を感じます。
この明鏡止水の読者には取締側の方もいらっしゃいますので、
採り上げる題材としては些か適切性を欠いているような気もしますが、
肯く方も多かろうと思います。
法治国家ですから、だれもが道路交通法は遵守しなければなりません。
ただ、あげあし取りの様な摘発に遭わないよう、
ドライバーのみなさん、くれぐれもご注意ください。
事故撲滅を掲げての交通取り締まり、
罰金の徴収目標があるとかないとか…?

話を戻しましょう。
良識的に不審者と見間違えられない立ち居振る舞い、実に大切です。
我が身反省の巻でした。

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  J's B-press VOL.37(2016.04.28)

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┃   コラム 『明鏡止水』 ~もんしろちょう~
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今年も飛鳥山の桜は見事でした。
当金庫のディスクロ誌を飾る桜のラッピング都電、
飛鳥山をバックに今年も一枚、「はいっポーズ!」誇らしげに走っていました。
四月は卯月。
豪華な枝ぶりがまるで見えぬほどに花をつける桜、
派手な色の菜の花にまじって、目を凝らすと白い可憐な花が咲いています。
卯月の名の由来である卯の花です。
あふれるような春の花、蜜を吸いにもんしろ蝶が舞い始めました。
漢字で書くと「紋白蝶」、
名前の由来は白い羽に黒い紋がついているように見えるところから
こう呼ばれるようになったそうです。
正確に言うと、紋は黒いので「もんくろ蝶」が正しいようですが
深く追求しないことにしましょう。

さて、今回はその「紋」についてです。
当金庫の比較的若い世代になにげなく訊ねてみました。
「あなたの家の紋はなに?」
「紋ですか・・・さて・・・?」大方の回答はこんな調子でした。
そもそも紋というのは「家紋」に代表されるように、
そのしるしをつけていることが
とある一家であることや、一族であることを示す標識です。
「この紋どころが目に入らぬか~」水戸のご老公の紋どころは、
かの有名な三つ葉葵、徳川家の標識というわけです。
悪ものが地面にひれ伏して、
びゃゃゃゃーんと、これまたよく知られた音響と同時に
「静まれ、静まれ~」と格さんが印籠をかざします。
実に楽しい、勧善懲悪を旨とする典型的なジャパニーズドラマです。

この紋どころ、そもそもはお武家さまだけに許されたものといわれますが、
明治・大正期には庶民の間にも家紋を定めるという習慣が広まり、
冠婚葬祭の和礼装には、紋付を着用するのが普通となりました。
その家紋は、本家筋の親類からの受け継ぎであったり、
主君からの下賜、隣組でのお揃い、時には創作であったりとルーツは様々、
その数、現在確認されているだけで軽~く一万を超すといわれています。
最近はあまり紋付も見かけなくなりましたが、
お寺の墓石に○○家と刻まれた余白に紋どころを見ますし、
仏門のご家庭であれば、仏壇の上部にそれぞれのご家庭の紋が刻まれています。
少し地方に出ますと屋根瓦に紋の入った建築を目にすることがあります。
時に近代的なビル建築の入口に、ご当家の紋どころを豪快に
表札のごとく掲げているのを見かけることもあります。
老舗といわれるお店、暖簾に看板に使われる紋どころは、
それだけで古さと信頼をイメージさせるという効果もあるようです。
近所の天ぷら屋さん、○に十の字でサツマイモ、薩摩藩の紋ですよね。
天皇家の象徴である菊家紋、着物のお好きな方なら小紋のお召もの、
交通違反でぺったんと捺す指紋、本人であることを確認できる声紋、
家紋こそ薄れてきましたが、今でも「紋」のつく言葉は身の回りに健在です。

少し遡ってご家庭の紋どころの由来を訪ねると、
意外なルーツを発見するかもしれません。
温故知新?そんな紋どころの旅も面白そうな春です。

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  J's B-press VOL.36(2016.03.30)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「レース鳩」

時たま寄る鮨屋の大将、趣味の話になりました。
「実はレース鳩が趣味なんですよ、あまりメジャーな遊びではないんですが
これが面白くてねぇー」
お仲間とかれこれ30年近く続けているとか。
「どんなところが面白いんですか?」
「・・・相手が生きもの、やっぱり毎日面倒見てるとかわいいんですよ、
もう理由なんて無いですよ・・・」
隣で聴いてる女将、些か呆れ顔で「ちょっとおかしいんですよ」と
無言の目線が飛びます。
鳩舎は店から歩いて30分くらいのところ、ビルの屋上を借りて作ったもので、
往復の歩きと、鳩舎の清掃、飼料の面倒で毎日二時間は要する由、相手は生きもの、
だから休みなし、この30年家族旅行にも一度も出かけていないとおっしゃいます。
そもそも昔は伝書鳩、遠隔地間での通信文のやりとりやフィルム、薬品の
輸送手段に鳩の持つ帰巣本能を利用したもので、その歴史は古く
江戸時代、明治の記録が残されています。
ITの時代、通信手段は日進月歩、鳩に頼る必要もなく、今では伝書鳩の習性のみを
残した、スピードと距離を競う鳩レースが一部マニアの間で行われています。
鳩が遠隔地からなぜ自分の巣に帰ることができるのか、太陽の位置だとか地球の
磁気との関係、いろいろ言われていますが未だ正確なことは解明されていません。

さて、鳩のレースとはどんなものか。参加者ご自慢の健脚鳩?をそれぞれ籠に入れ
500km、1000km離れたスタート地点で一斉に放鳩、自分の鳩舎に帰り着く時間を競う
といった競技です。
レース規則には距離(100kmから1000km超まで)だけでなく、雄鳩、雌鳩のみ、
若鳩、成鳩のみやら、いろいろと条件の制約が設けられています。
なにやら競馬の世界とよく似ていますが、馬券ならぬ鳩券の発売はありません。
もっとも、最近話題のプロ野球界はじめ人間賭け事がお好きなようですから、
勝ち負けのある鳩レースでギャンブル? さてどうでしょう?
ちなみに、鳩レースの盛んな諸外国では、参加者がそれぞれお金を出し合って
勝者が一人取り、そんなギャンブルが行われているのだそうです。
さて肝心の鳩ですが、人間同様快足鳩、鈍足鳩、遥か彼方に連れて行かれ放鳩され
ますから持久力も必要になりますが、その優秀さは血統がすべてなんだそうです。
まさしく競走馬の世界と酷似してますね。鳩のディープインパクトはギステリング
とかスーパーレディといった血筋で、その産駒、じゃなくて産鳩の中には数百万で
取引されるものも少なくありません。
(ご興味のある方、詳しくは鳩レース協会のホームページをお訪ね下さい。)

おやじさん、語るうちに更に熱気がこもってきます。
「何百キロも離れたところから全部戻ってくるんですか?」
「いやいやとんでもない、1000km位になると5%~10%戻ってくればいい方。
でもねぇー、戻ってきたときは嬉しいんですよ~、涙が出ますよね、
ようやったー、って」
「他の鳩は?」
「力尽きたり、猛禽に殺られちゃうんでしょうねぇー」
一羽何万円もする鳩を飛ばして、わずかな生還率、こうまでのめり込むのはきっと
素人にはわかりかねる魅力があるんでしょうね。
実にお金のかかるマニアックなレース鳩の話でした

桜の季節、城北信用金庫のシンボルマークも桜、都内城北を走る都電も
この季節は誇らしげに走っているように見えます。
近所の公園、水飲み場で鳩が水を飲んでました。逃げる気配すらなく。駄鳩?
ともあれ、新年度、マイナス金利からの脱却、少しは景気の回復を期待したいものです。

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  J's B-press VOL.35(2016.02.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「活鰻の店T庵」

二月、一年で最も寒い季節です。お取引先に知る人ぞ知る活鰻の店T庵、
話だけでは温まりませんが食べた気分になって頂いて・・・

この道五十年、大ベテランの店主、「鰻の骨抜きで痛めてねぇー」一日に
十匹を捌くのが限界と、痛む肘をさすりながら話を聞かせてくれました。

ネット社会でのカキコミはいつしか最高ランクの絶品、活鰻の店として有名になり、
北海道から沖縄の国内はもちろん、韓国、中国、香港、東南アジアからの予約も
入るようになりました。
ITに疎いとおっしゃる前期高齢者の店主は、そんな外国からの電話に「こんな
看板も出してないような鰻屋なのに、どうなってるんだろうね?」と首を傾げます。

鰻は養殖もの、天然鰻はとてつもないお値段なので使いませんが、
養殖ものでもうなぎの美味しさを最大限に引き出す工夫を凝らしています。
鰻の美味しさは、まず捌かれる鰻の気持ちをわかってあげることだと言います。
「鰻だって痛い思いをして捌かれるより、あれっなんだか知らないうちに針を
打たれちゃったな~、そしてさっと包丁を入れる、これが一番大事なんだよね」
このお店、予約以外は受けません。というのも、鰻は焼く約六時間前に生簀から出し
て、捌かれることを感づかれないようにするための準備が必要だからだそうです。
「落語じゃないけれど鰻も生きもの、そりゃーエラの張った人相?の悪いヤツ、目つきの
悪いヤツ色々だけど、どいつも怖がらせて開くと身がふっくらと仕上がらないんだよ。
できるだけ自然の状態に近いままにしておいて、時間をかけずにするりと針を刺し、
鰻に気づかれないように?さっと捌く、これがまあ技術かね」とおっしゃいます。
焼き上がりの肉厚の食感は、この段階でほぼ決まっちゃうそうです。

そして焼く一時間ほど前に軽く蒸して、小骨をすべて手作業で抜き取ります。
うなぎには小骨がつきものと思っていましたが、
生まれて初めて小骨が口に刺さる心配のない鰻の安心感を味わいました。
店内に『宮内庁御用なし』とシャレた能書きが貼られてます。
店主曰く「骨なしの鰻を食べられるのは陛下とこの店のお客さまだけ」と、
目黒のさんまの鰻版を教えてくれます。
一匹に百本くらいの小骨、一日に千本も抜いてるからねぇーと
肘をさすりながら串をひっくり返します。
丁寧に脂を落としながら焼き上げること三十分、いい塩梅にタレをつけ
焦げ目がつく頃には店内に旨そうな匂いが溢れます。
「昔は備長炭で焼いていましたが、できるだけリーズナブルに召し上がって
頂きたいからと、今は遠赤外線のガスで焼いてます」下町の職人らしい言葉です。
うな重のごはんは食べる人数分だけ都度炊き上げます。良質なお米を使用しているのは
当然のことながら、時季によって微妙に水分の調節をし炊き上がりを一定にします。
口の中に放り込まれたほっこりとした鰻とタレの香り、ご飯の微妙な歯ごたえ、
絶妙のバランスに思わず「旨いっ!」

タレはお好みでしょうが甘さ控えめの割合にあっさりしたもの、
鰻自体のしつこさが減殺され、また食べたいという気持ちにさせてくれます。
料理コラムではないので食に対する表現力の乏しさにもどかしさを感じますが、
とにかく鰻はほろほろに柔らかいわけでもなく、ふっくらした中に鰻らしい
歯ごたえがなんともいえず、そこに店主の講釈が更なる食感を演出してくれます。

「こんな手間ひまをかけて食べる鰻は日本だけなんだよねぇー」
鰻特有の泥臭さは蒸して焼いて、臭いのきつい脂を落とすいわゆる蒲焼きに
してこそ旨さが出てくるといいます。
世界広しといえどもここまで丹念に調理するのは日本人の味覚の鋭さゆえ、
そしてこだわりの職人技、日本の品質はこんなところにもありました。
城北信用金庫は典型的な地域ブランドですが、
お取引先のこの鰻屋さん、小さいながらもナショナルブランド、
こんなアンバランスさも信金の面白さなんです。

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  J's B-press VOL.34(2016.01.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「フェンシング大会の日に」

明けましておめでとうございます。株価連日の暴落、波乱の幕開けとなりましたが
「下がったものはいつか上がる」あまり悲観的にならずに、市場は少し長い目でみて
いくことが大切です。
今年も一年、あまりお役には立ちませんが、ご笑読くだされば幸いです。

さて昨年の暮れになりますが、フェンシングの日本選手権が世田谷区の駒澤競技場
体育館で開かれました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、城北信用金庫はJOCと連携して、世界に
羽ばたくスポーツ選手を、また現役を引退した選手たちを職員に採用し、スポーツの
発展と健全な社会人の育成に微力ながら協力をしております。
このフェンシングの全日本大会には当金庫からも2名の選手が出場しました、屈指の
選手たちが出場する中、健闘しましたがベスト4への戦いで涙を飲みました。
これでリオへの道が閉ざされたわけではありませんが、険しい道のりであることは
確かなことです。これからも皆様の応援をよろしくお願いいたします。
(詳しくは当金庫ホームページ・アスリート選手をご覧ください)

さて、当金庫の選手を応援するために駒澤体育館に出かけました、
日頃城北地区に埋もれておりますので、田園都市線駒澤大学前で下りて地上に出ますと
交通量の多さに尻込み、林立するビルに方向がわからずちょっと迷いました。
きょろきょろしていたところに通りがかった若い男性の二人連れ、いかにも駒澤大学
の学生さんです。
「競技場体育館にはどのように行けばよろしいんですか?」
きちんと立ち止まり方向を指差しながら
「この道を真っ直ぐ行きますと左側にコンビニがありますから、その交差点を右に
曲がりますと体育館がみえます」
「どのくらいかかりますか?」
「10分くらいです」
「ありがとうございました」軽く会釈をして一歩踏み出そうとした背に
「お気をつけて~」
いやー久しぶりに耳にしました、素晴らしい響きの日本語「お気をつけて~」を。
それも十代の今風の男の子がごく自然に口をついて出たことば、体に電流が走った
ようなショックがありました。
「ざけんなよー、」
「それってヤバくない?」
女子高生の発することば(全部がではありませんので念のため)が耳障り、声をかけよう
ものなら『このクソおやじ、気安く口きくなよ~』と睨まれそうな世の中、
LINEの超省略の窮みのスタンプ、お正月です「あけおめ」はなんとなくわかるとして
「てへぺろ」(てへっと照れ笑い、ペロッと舌を出す)、、
「おしゃかわ」おしゃれでかわい、
「かまちょ」かまってちょうだいに至ってはこれ日本語なんでしょうか?

さて、駒澤大学の学生さんの話に戻ります、
感動的な言葉をかけてくれた男の子、どんな教育がなされているんだろうということに
興味津々、駒澤大学は仏教を建学の礎としているのはよく知られています。
ちょっと調べてみますと、「仏教」の教えと「禅」の心を現代的教育に活かしてゆくこと、
物事を正しく理解し、それを慈悲の心で周囲に役立てることを目指すとあります。
困った人あらば手を差し伸べる、まさに禅の慈悲の心そのものなのでしょう。

書店に近著「日本のやまと言葉を美しく話す」が平積みにされていました。こころが
通じることばの美が見直されつつあります。
耳に心地よく響いた「お気をつけて」がやまと言葉かどうかは定かではありませんが、
さりげなく口にされた若者に会釈を返したとき、彼の頭が五郎丸カットであったこと
に意外性と凛々しさを感じました。(ちなみに「凛々しい」は大和言葉の流れを汲むよう
です)
もって範を示す、将来を背負う若者たちへの教育は社会に生きる大人たち全員の責任で
あり大命題でもあります。世界にも例のない美しい日本語を私たちは残すことに努力を
しなければいけない気がします。

今年一年、みなさまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

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  J's B-press VOL.33(2015.12.28)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「年賀状」

今年も残すところ僅かとなりました。
一年間ご愛読ありがとうございました。
お陰さまで城北信用金庫が誕生して12回目の年末を迎えることができました。
偏に、応援して下さいました地域の皆さまのご支援の賜でありまして、心より
厚く御礼申し上げます。
業績につきましても、ここ数年は全国の信用金庫の中でもトップレベルにあり、
業界でも注目される存在となっております。
古来「継続は力」と言われますように、この水準を来年以降もしっかりと維持し、
徹底したお客さまサービスができますよう役職員全員で努力して参る所存です。
どうぞ安心してお取引のほど、よろしくお願い申しあげます。

さて、この時季になりますと年賀状で頭を悩ませる方も多いことでしょう。
年賀状の起源は平安時代、庶民同士のお付き合いが増えてきた江戸時代には、
飛脚の活躍と共に富裕知識階層に広がり始めたそうです。
明治になり郵便が制度化されてからは今の原型ができ、一般的習慣となりました。
年賀状の発行数自体は2003年の45億枚をピークに、2015年には33億枚と
減ってはきているものの、やっぱり賀状は欠かせないという方も多いと思います。
かなり古い記憶ではありますが、風刺漫画にこんなのがありました。
とあるお父さん、年末にコッソリ自分あての年賀状作りに精を出され、元旦に
配達された年賀状を積み上げ、子どもたちに「年賀状こそ人脈の厚さである、
父を見ならえ」と自慢げに訓辞を垂れる姿が描かれていました。年賀状の多寡が
一家の主の尊厳であると思われていた時代らしい可笑しさですね。

この十年、いやっもっとになりますか?年賀はがきという形の年始の挨拶は
減少していますが、通信インフラによる年始の挨拶は爆増しているといいます。
LINE、メール、SNSを利用したmixi、Twitter、Facebook…。郵便や音声電話
以外に伝える方法のなかった時代とは、まさに隔世の感があります。
海外にも瞬時に伝わる、年末ぎりぎりでも間に合う、切手代も節約できる、
相手の住所がわからなくても発信できる、なるほど利点は限りなくありますね。
幼いころ、1月15日のお年玉はがきの当選番号発表を待ち遠しく思った時代、
下2桁の当選がお年玉切手小型シート、それ以外では手に入らない貴重なもの
でした。昭和の時代の切手シート、プレミアがついて3,000円以上で取引されて
いるとか、年賀はがきには年賀はがきなりの楽しみもあるようです。

日頃疎遠になっている方の齢をとらないあの頃の顔を思い浮かべながら、自らの
近況を認めるのは、年に一度、年賀状ならではの喜びであり、楽しさでもあります。
諸外国にも似たようなものとしてクリスマスカードはありますが、全国民的習
慣としてこれほどの数で定着しているのは日本だけ、はがきもよし、スマホ、PC、
なんでもよし、季節の挨拶、和の伝統として面倒臭がらずにいつまでもあり続けて
欲しい習慣です。

今年一年、株価、金利、為替それなりに変動がありました、景気は上向きと
マスコミは書きたてますが私たちには実感の湧かない景気のようです。
五郎丸選手、羽生選手、ノーベル賞受賞者、あさが来た…。明るい話題も多い一年
でしたね。かたや消費税前夜、医療費自己負担増等、身を引き締めていかなければ
いけない問題も残されております。

さて来年はどんな年になるのでしょうか?
昨晩通りかかった人気上昇中の赤羽居酒屋タウン、もうもうと上がる焼き鳥の煙が
目に染みる中、忘年酒でしょうか大きな笑い声で盃を傾ける老若男女、その圧倒
的な活力を見る限り、来年の運気は旺盛、間違いなくいい年のような気がします。

みなさまのご多幸をご祈念申し上げ、年末のご挨拶とさせて頂きます。

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  J's B-press VOL.32(2015.11.27)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「偽装」

世の中何を信じればいいのか・・・
仏さま、神さまを信じるんだよ、小さいころ言われたそんなことを言われた
記憶がどなたにもあるでしょう。
ガソリンに比べて軽油は安いからコストが下がりますよ、それに今のディーゼルは
パワーだって十分、燃費もグーンとよくなってるし、黒い煙?昔と違い
ますからそんなの吐き出すわけないじゃないですか…
きっとこんなセールストークが交わされていたのでしょう。
本当は規制値の40倍、PM2.5がどうのなんて言ってられないですよね。

まぁーそれにしても次から次へと明るみに出てくるのはウソ偽りの数々、
大きなマンションが傾き始めた、基礎のくい打ちが十分でないのが原因、
ああいうのっていつかバッターンとひっくり返っちゃうものなんでしょうか。
最上階の方はどこか遠くに飛んでっちゃう?
使われる免振・耐震ゴムも性能偽装が明るみに。大きな揺れには耐えられず
ぼろぼろ崩れちゃうということなんですかねぇー?

有機栽培、無農薬、低農薬、オーガニック、こんな表示を確かめて買い物
かごに入れる奥さまたちが増えています、そんなことをついこの間書いたばかり
なのに、JAが農家に販売した肥料に偽装が発覚。「この肥料、妙に効くねぇー、
農薬使用と書かなくていいレベルなのに・・・」生産農家ですら騙され
ちゃうんですから、いくら無農薬ラベルを確認しながら野菜や果物を籠に放り
込んでいても、普通の主婦たちが太刀打ちできるはずもなく。

どこぞの郵便局では年利10%のウソ貯金が発売されて、爆売れしたそうですね、
ちなみに一年物の定期預金金利0.025%、えぇーっと何倍になりますか、
400倍???そりゃー喜んで預けますよね、おまけにお国の保証付きの郵便局
ですから。でもこれは、他人さまの貯金を流用して一応利子が支払われた
ようですから偽装にはなりませんか?それとも受け取った利子を返せという
ことになるんでしょうか?

事実が明るみに出ると関係者がお詫び、腰を直角に曲げ頭を下げてる姿勢は
みな同じ、しかもどちら様も口をつく言葉は歯切れ悪く、言い訳めいたもの
ばかり、あまりハッキリ偽装を認めると業界全体に波及してしまうからみんな
で渡る赤信号パターンなんだよとは水面下の声。

世の中の正しさを見守って下さるはずの神さまも仏さまも少子高齢化?
消費者側にいる私たち、そんな偽装をどう見破っていけばいいのか、
スコップで掘って杭を確かめる?排ガスマフラーに鼻をつけ臭いを嗅ぐ?
どうも偽装発見の妙案は見つかりません。

「大丈夫?」「ホントなの?」猜疑心ばかりが強くなってしまう世の中、
人の心には生まれつき良心が備え付けられていると信じたいのですが。

さて今年は十一月に三回の酉の日、火事が多いというのが昔からの言い伝え、
どちらさまも火の用心怠りなく。

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  J's B-press VOL.31(2015.10.30)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「摘果」

築地市場に支店のある当金庫、TPPについてお取引先の青果仲卸業の方たちから
声をお聞きしました。
TPP・食べ比べてみれば国産の良さがわかるよという自信たっぷりの声と、安もの
流入による価格の下落が懸念されるという心配げな声、入り混じっているようです。
とにかくふたを開けてみなければわからないとそれぞれ身構えています。

さて今回は「世界的に見て日本の果物は最高水準だからねぇ」自信たっぷりの
市場の方からお聞きした話を少しお披露目したいと思います。
品質を何で表現するか、色・形・糖度・酸味・フレーバー、大きさ、ざっとこんな

ところのようですが、もうひとつ大事なことは安全です。

今年はとんでもなく高値のついた松茸、国産、中国産、カナダ産とそれぞれ手に
しながら築地仲卸のおやじさんの講釈、「ものの二・三日してごらん、国産はすぐ
虫がつく、食わないんだよねぇー外国産は・・・」使われる農薬の量に比例する
という意味なのでしょう。(断定的に書くことにちょっと戸惑いもありますが、お聞き
した話なのでこの際ストレートに書いちゃいます、まぁ独り言のようなものですから)

最近は主婦の間でも食の安全を気にする人が増え、有機栽培や低農薬栽培の野菜・
果物を買い求める層が増えてきたといいます。
確かにデパ地下やスーパー、また道の駅でも生産者の名前・顔写真入りの青果を見
かけるようになりました。ルーツを明らかにすることや有機栽培表示で安心感を生
みだし、中には売り上げを飛躍的に伸ばしている農家もあるようです。
安全性に加え、日本の農業における高度な交配技術は品種改良を促進し、美味しさ
の基準の一つである糖度はぐんぐん上がっています。
リンゴの「とき」や「こみつ」、みかんの「紅まどんな」や「デコポン」、ぶどうは
「長野パープル」「ピオーネ」「シャインマスカット」etc、もちろん野菜もですが。
言葉でその美味しさを表現するには残念ながら筆力不足は否めません、とにかく
一度口にしてみて下さい。
日本の果物イコール高級品、台湾、香港、東南アジアではすっかり定着している
評価であることだけは確かなことです。

高品質を生みだす方法の一つに「摘果」という技術があります。
読んで字の通りですが一つの枝、ツルに生る果実の量をコントロールすること、
そして今はロードバイクにはまり、佐渡を走ってきたという冒頭の話になるのです。
いわゆる間引きです。ミカンですと果実が6月~10月にかけて毎日少しずつ
大きくなります。この時期に極端に大きな果実・小さな果実を落とすことにより、
果実の大きさをそろえ、木の疲労を最小限に抑え質の高い果実を作る手法です。
東海地区で生産されるマスクメロン、一本のツルには一個しか残しません。
リンゴも摘果によって品質の高いものが生産されます。
広大な農園を機械化に頼って大量生産を旨とする外国の農家では、農薬も使わざる
を得ず、細かい摘果作業は省かざるを得ないというのが実情のようです。

TPPの行方、日本は品質で勝て、こんな見出しの記事をよく見かけます。こと果物
に限って考えれば十分太刀打ちできる気がします。優位に立つための試金石が輸入品、
そうあって欲しいと願っています。

摘果、企業にも言えるんでしょうね、腐ったミカンは早めに処理しないとカビが
伝染します。悪貨は良貨を駆逐する、組織も大人数になるとそんな傾向無きにしも
非ず、不要は早めに見切りをつけてハサミでちょっきん。
なかなか勇気のいる決断ではありますが競合の激しくなるご時世、見切り千両
ともいいます。成長の陰には涙もあるんです。

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  J's B-press VOL.30(2015.9.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「逞しいヤツ」

「佐渡って小さな島だと思うでしょう、一周180kmもあるんですよ、
凄い暑さでしたけど最後の20kmは土砂降りの中、いやー参りましたよ」
八月の終わり近く、月に一度くらい寄るレストランのオーナーM君との話。
もうかれこれ10年以上になる付き合いの中から、彼の話をちょっと披露
しちゃいます、個人情報だらけですが彼には事後承諾ということで。

学生時代は世のブームでもあったカントリー音楽にとりつかれ同好会に、
持ち前の器用さでベースを覚えいつしかプロの道へ。
一年も過ぎたころどうもカントリーミュージシャンでは食えないことに
気づき、将来レストランでもやろうかと全く経験もなしに
料理の世界に飛び込みます。
銀座、青山とフレンチの店を渡り歩きますが、やっぱり本場で腕を磨かにゃあと
渡仏、ミシュランの星の店で修業すること二年、日本に戻ってきて自宅を改装、
今のレストランをオープンしました。
多趣味の彼、店内のテーブルや装飾はすべて自分の手作り、器や卓上の
ディスプレーも自分で土をこね、自前の窯で焼き上げています。
そんな彼が一昔前に凝っていたのが海釣り、毎週の休みには必ず自分の船を出し、
趣味と実益を兼ね釣果を楽しんでいました。
とあるとき、船の操舵を一緒に連れて行った若い従業員に任せたところ、
ちょっとした操作ミスで急発進、Mさんは船外に放り出され、悪いことに
スクリューに足を巻き込まれてしまいました。
「船っていうのはねぇー、どんなことでも全て船長の責任ですから・・・」
片足を失っても豪快に笑いながら「めげてなんかいられないっすよ」とおっしゃる。
もって生まれた運動神経と才能、そして豪胆な肝っ玉で周囲を常に笑わせながら、
常にチャレンジ、一昨年はスキーの大回転で惜しくも二位になりパラリンピック
の切符を逃したと悔しがっていました。
そして今はロードバイクにはまり、佐渡を走ってきたという冒頭の話になるのです。
きわめつけは今の奥さんと(別に二度目ということではありませんから
「今の」は余計ですね)一緒になった時の話です。
足を失った時に担ぎ込まれた病院、なにごとにも屈しないキャラはいつも病院の
人気者、退院の時看護婦さん(当時はそう呼んでましたので)も一緒に
連れて帰ってきちゃったという信じられないようなホントの話。
今はその奥様との間にできた高校生の男の子と女の子の親として子育ての日々、
子供たちのことも気にはなりますが、一回ぽっきりの人生、
目一杯戦わないと損しちゃいますよねぇー、
逞しく日焼けした顔がまぶしく輝いています。
この原稿をキーボードで打ったその晩のニュース、皮肉のように
「昨年も25000人を超す自殺者が」との報道がありました。
「何に懸けるか」を両親から期待されて生まれてきた、たった一つの命なのに・・・

話は変わりますが、ここ数年秋の風物詩になりつつある北区花火会、
隅田川や東京湾の花火のように大規模ではないので「花火会」としています、
今年も地域が少しでも元気の出るようにとの願いを込め開催されます。
その花火会に城北信用金庫もささやかな応援をさせて頂いております、
当金庫ホームページから花火会をクリックして頂きますとクラウドファンディングで、
皆様もご参加いただけます、よろしくお願い申し上げます。

地域の多くの方にお目にかかり色々な話を聞かせて頂けます、
信用金庫生活も満更じゃありません、学ぶことの多い日々です。

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  J's B-press VOL.29(2015.8.28)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「ペンキ屋のご兄弟」

お向かいに住むペンキ屋のご兄弟、
歳のころは還暦を少しでたあたり、
仕事帰りに会うと屈託のない笑顔で「暑っいねぇー」
と挨拶を交わす下町のオヤジさん。
昨年の秋頃だったでしょうか、弟さんが少し痩せて
きたように見受けたもので「痩せた?」と問いかけました。
「そうなんだよー、実は肺がんで手の施しようがないって
余命四か月だって医者に言われちゃったんだよなー」
人間そう言われたときに瞬間返す言葉が出てこないものです、
「・・・」、
「でも元気そうじゃないですか」かろうじて噛み合わない言葉
をつなぎます、あれからすでに10か月、
仕事は極力少なくしているようですが、至って元気そうな振る
舞い、よく自転車に乗ってる姿に出会います。
心なしかあの頃より顔色もよくなってるように見えるのは夏の
日焼けのせいでしょうか。
一時は背中と言わず腰と言わず痛みが走り、
「モルヒネ打ってもらってるんだよ」と言ってたのに。

暑さの少し陰った夕暮れに、頂戴ものの桃を手渡しながら
五分ばかりの立ち話。
「どう?」
「最近調子いいんだよね、お腹も空くし食べられるから
一週間に1kくらい増えてるんだ。」
「奇跡が起きてんじゃないの?」
「まさか、そんなこともないんだろうけど」
痛みの激しい時を除いて普段と変わりなく仕事をしているそうです、
「昔は時間になればここまで、さっさと仕事を切り上げたけど、
最近真面目になっちゃってさ、なんとかもう少し、できれば完璧に
仕上げて帰りたいと思うんだよね。
若い頃は考えたこともなかった、明日が来ないかもしれないなんて」
語る笑顔に不思議なくらい翳りが見られません。

いつかは一度だけやってくる日、そんな日がやってくるのを
全く意識しないままに生きてきている私たち、
目の覚めない明日があるかもしれない、だから今日をしっかり
生きよう、やり残しのない一日を過ごそう、前向きに。
そういえば目も鼻も口も、耳だってみんな前向きにしかついて
ないんですよね、首も真後ろには回らない、
今日できることを明日に延ばすこと勿れ、身を以て語るペンキ屋
さんの言葉はやけに説得力がありました。

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  J's B-press VOL.28(2015.7.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「湯煎」

湯煎、温め方の一つです。
小さい頃母が牛乳をこんな方法で温めてくれました。
容器で湯を沸かし、その中に牛乳瓶を入れ温めるという
間接的温め方、沸騰させることのないやさしい方法です。

医学的知識の殆どない私、小さい頃から周囲が体温以上に
なれば湯煎の原理と同じ、体温も周囲と同じ温度に染まっ
てしまうと思っていました。
実際は体温調節機能が働いて、汗を出して体温を下げよう
としますし、空冷式呼吸を採り入れるのも人間の知恵、で
も口から入ってくる空気も熱いわけで、調整機能が追いつ
かなくなると熱中症で倒れます。
テレビで熊谷、前橋で最高気温39度記録、暑さのメッカと
してよく耳にしますが、その39度は人間の平均体温をはる
かに超えていることに気づきます。

高熱を伴うインフルエンザ、普段平熱の低い私なんか38度
を超すとだるくて動けません、外気温39度、湯煎同様体温
も39度に近づいてきます。どうなっちゃうんでしょうか?

土と緑の多かった町、あの頃と太陽の照り加減は変わらない
はずですが、近代化によるアスファルトの照り返しとエアコ
ンや車の排気熱が外気温を上げている理由といいます。
熱中症で亡くなる方も多い猛暑の夏、日傘、帽子、水分補給、
くれぐれも対策を講じ自己防衛して下さい。

さて最近の報道でT社の組織的な利益操作が大きな問題にな
っています。歴代三代に亘り当期利益至上主義を貫き不適切
経理を強いていたという内容のようです。
社内に上司の命令に逆らえない風土があり、監査法人に対し
ても一切報告をしない巧妙な組織ぐるみの粉飾、トップから
末端まで違法認識はまるでなかったと第三者委員会は発表し
ています。
誰も咎め立てせず、それが当たり前になってしまった職場環
境に、悲しいことながら誰もが幼いころに躾けられた「正し
いことへの憧れ」は失われてしまいました。
法令遵守感覚を目覚めさせようといくら温めても、不正とい
う湯で湯煎するのでは煮詰まるばかり、中身も徐々に不正色
が濃くなって、ついには不正か否かの判断まで麻痺してしま
いました。赤信号みんなで渡ればなんとやら、ふとこんな言
葉を思い出しました。
悪いことは悪い、人に何を言われても胸を張って言えるよう、
自分の物差しの目盛りは磨いておくことが大切なんですよね。

我ながらいつもしょうもないことばかり、読み返す気にもな
らずこのままon air、お読み頂いてありがとうございました。

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  J's B-press VOL.27(2015.6.30)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「城北信金のイベント」

城北信金のイベントの一つに、こども旅行があります。
共稼ぎが増えている世の中、かぎっ子をなんとか外に引っ張り出そう、
たまにはお爺ちゃんと孫が一緒のバスでふれあいをもって頂こう、
そんな趣旨で企画をして五年もの時が経ちました。
子供たちをエスコートするのは、社会人になって一年生・二年生、
普段は勝負服に身を包む若い女性職員です。
これぞ地域に根を下ろす信金魂発揮の場、密着なんて生ぬるい、一緒に
歌って騒いで、バリバリ食べて、まさに一つ屋根の下の仲間感覚を味わ
ってもらおうということなのです。
過去のバス旅行では、横浜中華街で自分の作った餃子や中華まんじゅう
を食べてお腹をいっぱいに、自然の素材からジャムやバターづくりを体験、
カブトムシ狩り、押し花つくり、粘土細工に陶芸、そば打ちやらと、
多々彩々チャレンジしてきました。
参加した子どもたちから【すっごく楽しかった】、【また来たい~っ】
おじいちゃん・おばあちゃん達からも【何十年も取引しているけど
初めての感動的な企画だったよ】
そんな絶賛の言葉を頂戴してすっかり気分を良くしている当金庫、
地域とのふれあい方についてもっと凄いことを考えています。

ところで緑の少なくなってきた都会、子どもたちの遊ぶ公園には「大声禁止」
「ボール遊び禁止」などの注意事項、ゴルフ場では芝の上をのっしのしと
歩くのに「芝生に入らないで下さい」の看板。
サッカー、スケボー、ローラースケート、野球、バドミントン、
とにかくやたら禁止だらけ…、
もう少し伸び伸びとやらせてあげればいいのにと思いませんか?

公園が禁止だらけにしている理由として、噴水で遊ぶ子どもの声が
うるさいと近隣住民が裁判を起こし、騒音が認められ噴水を止めた、
飛んできたボールで怪我をした、させた、親の責任云々で裁判もありました、
それぞれの言い分で腰が引けてしまっている自治体、とにかく禁止に
してしまえば難問にはならない、さてさて難しい世の中ですね。

都会でよく見かける塾通いのお子さんたち、小ざっぱりとしたおしゃれな
格好をしていますよね、少し前、昭和の時代だったかもしれません、
暗くなるまで泥んこになって飛び回る子どもたちがいました、見るからに
逞しかった姿が懐かしい夏です。

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  J's B-press VOL.26(2015.5.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「感動品質」

当金庫では毎年この時期になりますと、前年度の業績優秀店
舗、個人の表彰が選考されます。
業績表彰は預金部門、貸出部門、収益部門その他のそれぞれ
上位が受賞しますが、数字として計量化される表彰とは別に、
数年前からお客さまアンケートに基づくお褒めによる表彰が、
個人表彰のグランプリに位置付けられるようになりました。

サービス業ですから、お店での笑顔の応対、感じよさ、商品
説明の的確さ、親切さ、そんな業務に関連するものはもとよ
り、電話や、集金でお邪魔した時の所作、駅で、路上で、あ
らゆる場面でお褒めやご批判をたくさん頂いております。
ご批判は改善の母、お褒めはなによりもの元気薬として明日
の活力の源になります。
金融機関の取り扱う商品、確かに品ぞろえや金利、多少の差
はありますが、あまり大きな差はありません。
何を基準にお客さまは金融機関を選択するのか、親切さ、感
じよさ、明るさ、そんなことを選択基準にするお客さまは少
なくありません。
日常の中に頂いたお褒めを、担当セクションは、当たり前品
質、感動品質等に分類し評点していきます。
そしてポイント獲得の最高位に年間グランプリが与えられる
のです。

テレビでよく採り上げられています浜松フラワーパークの
塚本こなみ理事長、経営の傾きかけたパークを、世界一とお
っしゃる「桜とチューリップ」で見事に復活させました。
「来て下さったお客さまに体が震えるくらいの感動を与える
こと」
そこそこきれい、他所にもあるよ、その程度ではダメ、図抜
けて凄い、世界一、体を震わせ涙を流す、そこまでいかなけ
ればホンモノの感動じゃないのよね、
「でもね、感動分岐点を遥かに超えた感動なんてその気にな
れば誰でもできるのよ」と、塚本理事長は笑顔でおっしゃる。
世界一は自分たちで徹底して追求すればできるんだから・・・

金、プレミアム、エクセレント、商品の冠にすることが流行
りのような世の中ですが、当金庫も乗り遅れずに最上級のお
もてなし金庫づくりを目指しております。
「お客さまへのおもてなしにコストは不要」
今後とも城北信用金庫への忌憚のないご意見をお寄せ下さい。

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  J's B-press VOL.25(2015.4.27)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「時間つぶし」

四月もそろそろ月末、突風、局地的豪雨、時に雹、大荒れの
天気が続いているこの頃ですがお元気にお過ごしでしょうか。
全国的に四月の降水量としては記録的なものになるだろうと
予報士さんたちが口を揃えます。
日照時間の短さは、農作物の生育を遅らせ、価格の高騰を
招き、私たちの食卓への影響が心配です。
また春の多雨は、猛暑や台風の多発、短い秋をもたらすとも
言われ、穏やかに四季のうつろいを楽しみたいと思っている
やさしいお年寄りにとっては、厳しい一年になりそうです。

そんな四月は、入学式の季節でもあります。
大学では学長さんの式辞、中でも信州大学の山沢清人学長の
挨拶はマスコミにも採り上げられ話題になりました。
『昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。
その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらで
も無為に時間を潰せる機会が増えています。
スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物で
もありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取
り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。
「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」 
スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。
そして、自分で考えることを習慣づけましょう』(一部抜粋)

「時間を潰す」、時って有限です、齢をとると潰すなんても
ったいない、もっと時間が欲しいと感じるのが普通です。
若者は一日のうちで163分スマホに触れているという統計を
ネットで見ました、これってかなりの時間ですよね。
ラインがなければともだちの輪から外される、ラインでゲー
ムの得点を競い合う、町では危険な「ながらスマホ」も見か
けます。
昔はこんな統計も移動時間や、食事時間は外すのが常識でし
たが今や移動時間はスマホに最適な時間のようです。
片やスマホのカメラで講義資料を撮影して復習、なるほど賢
い?スマホで調べ考えなくなる、山川学長が心配なさること、
それも肯けます。
日本では学校も企業も三月を区切りにして四月から新年度で
す。
新年度を迎える覚悟、それぞれの年代で時のとらえ方は違う
ようですが、少なくとも「無為に時間を潰す」これだけは避
けたいものです。

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  J's B-press VOL.24(2015.3.30)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「春」

続発するテロの脅威、ドイツの航空機がアルプスに墜落、
騒然としたニュースの多い中ではありますが、それには
触れずに春らしく。

昨日は20度近くまで跳ね上がったのに、今日は北風に身を
縮ませています。
三寒四温、こんな繰り返しで春は確実にやってきているよう
です。

さて、ごく最近の話です、私の職場の女性が結婚しました。
新婚生活も落ち着いたかなと思い、
「どう、新婚生活は?」と何気なく声をかけました。
「ええ、お陰さまで毎日楽しくやってます」
そんな答えを想定していましたが案に相違して
「他人と一緒に住むって大変なんですねぇー」しみじみと
おっしゃいます、
想定外の返答、どうリアクションしていいのか些か戸惑って
しまいました。
女性は更に続けます、結婚する前に分担を決めていたんです、
食事を作るのは私、後片づけは旦那、掃除も曜日を決めて交代で、
ゴミ出しだけはなんとかやってくれていますが脱ぎっぱなし、
出しっぱなし、散らかしっぱなしで平気、分担の約束は守らないし、
朝はなかなか起きない、帰りは毎日のようにお酒の臭いぷんぷん
させながら遅いご帰還、私だって働いてるんですから不公平、
変ですよねぇー?

相槌を求められても「確かに変だ、あなたが正しい」と素直に
言えない昭和生まれ、些かの「ズレ」これを時代遅れというん
でしょうか?

確かに男女雇用機会均等法以降、社会に女性登用の風潮が強くなり、
さらに企業に数値目標を定めるような女性活躍推進法が今国会に
提出されるといいます。
といいつつ家庭の掃除や洗濯、お料理はなんとなく女性の分担と
考えている方も多いはずです。

日本の古典的な女性教育とは、「優雅な立ち居振る舞い・言葉は
少なめ、やさしく丁寧に」とまぁこんな感じでした。
世の中のトレンドは女性像も変えていくようです、ネットに
「ここ数年、草食系男性が増えて、女性は肉食系に変容」前述の
新婚さんも???

さて当金庫は春から新しい制服になります、そのポスター
「毎日・勝負服」
なんとも刺激的な肉食的コピーでしょ、なかなか思いつかない
言葉です。只今店頭に掲示中、ぜひぜひご覧になってください。

希望を膨らませやってくるニューフェース
溢れる笑顔、やさしさとちょっぴりお色気で「勝負っ」大いに
期待しています・・・

あっ、忘れているわけじゃありません、男性の採用も多数です、
念のため

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  J's B-press VOL.23(2015.2.27)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「個性化教育」

わが家の玄関先にある小さな盆栽、
白梅がたくさんの花をつけ、ほのかな香りが心おだやかに
させてくれます。
「こちふかば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春をわするな」
(拾遺1006)
太宰府天満宮に祀られる菅原道真公の句、この季節になると
なんとなく思い出します。
学問の神様として有名な道真公、受験生の多くがそのお守り
を握りしめ、答案用紙ときっと戦ったんでしょう、
お疲れさまでした。

歓喜の涙あり、無念の涙あり、毎年この季節は悲喜こもごもの
人間模様が繰り広げられます。
志望校に見事合格なさった方たちには心から「おめでとう」と、
残念な結果となった方たちには「人生、それがすべてじゃない
から」 と励ましの言葉を掛けたいと思います。

その入学試験、最近はひたすら偏差値に拘る傾向が強いようです。
でもそんな偏差値なんて社会において大した意味もなく、普遍的
な価値を持つものでないというのは言い過ぎでしょうか。
AO入試と称し、出願者の個性や、適性を多角的に判断して合否を
決定する学校も徐々にではありますが出てきています。
卒業生全員がハンコで押したような偏差値をもっているから
社会に出て大いに活躍するかというと、必ずしもそうとは限りま
せん。
勉強はまるでダメだけど、彫刻刀もたせたら凄いもの彫るよ~っ、
あの子のバック転の見事さ、ボールコントロールは大人顔負け、
ラケット持たせたら天才的、とんでもなく面白い絵描くよー、
とかとか、ほとばしる才能をもった子たちはたくさんいます。

小学生にも偏差値という尺度で教育を施し、学校だけでは足らず
にひたすら塾通い、とにかくものをどれだけ知ってるかでふるい
落とすのが今の受験制度のようです。

泥だらけになって走り回る子どもたち、ビー玉、メンコ、
ザリガニ捕りに夢中になり、そんな子どもたちだけの集団から、
弱い子の面倒をみることや、捕った蝉を幼い子に分けてあげる、
自然と社会の基本的ルールを身につける、
一番覚えなければいけない大切なことが置き去りにされていますよね。

今、ものづくりの創業・起業支援に力を入れている信用金庫です、
個性的なものづくりの発想は幼い頃の遊びから生まれてくるのかも
しれません。

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  J's B-press VOL.22(2015.1.27)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「新年」

あけましておめでとうございます。

「初雪や隠れおおせぬ馬の糞」 正岡子規の18歳頃の句です。
重く暗い色に染まった真冬の町、初雪というのはすべてを白く染め
景色を一変させます、
その頃の町には馬車が往来し、米や野菜を運搬していたのでしょう。
言葉の魔術師・正岡子規はちらつく初雪を見ながら、あまり積もらない
といいなぁー、寒いのも嫌だね、そんな思いが込められているような
気がします。

ところでこの冬は全国的な寒波に見舞われ、
昨年暮れから広い範囲で記録的な積雪が確認されています。
高速でのスリップ事故渋滞、航空機のフライトキャンセル、鉄道網の寸断、
予定を大幅に変更させられた方も多かったようです。
今のところ東京近郊には積雪はありませんが、昨年は二月に大雪が
降ったことは記憶に新しいところです。
家の前の雪かき、特に湿気の多い東京の雪は重いので、かなり重労働です。
北海道出身の方からお聞きしましたが、雪かきの極意は少し積もったら
さっと寄せる、また積もったら寄せるという繰り返しが一番、
積もってからでは重労働になります、マメに片づけることが秘訣だそうです。
また大切にしていらっしゃる植木、少しの積もった段階で竹ぼうきでサッと
払うのが賢い枝折れ防御策、雪が降りましたらお試しください。

雪かきでの下町美談、ネットにみつけました、ちょっと拝借します。
近所に住む大工さん親子、高校を卒業し今年から父親と一緒に仕事を
せがれさんが手伝っています、
夜半から降り始めた雪、起きてみたらなんと20センチも積もっていました。
「家の前の雪を寄せなければ」と外に出たらびっくり、きれいに片づけら
れているではありませんか、お向かいのおばあちゃんが
「朝早くそこの棟梁親子がこの辺りを片付けてくれたんだよ」
聞いた瞬間、恥ずかしさと、申し訳なさとで体が熱くなりました。
通りでお目にかかると元気な声で挨拶をしてくださる棟梁、
せがれさんに背中で教えているのでしょうね、いなせに生きるということを。
こんなお話です、殺伐とした事件の多い世の中、ほのぼのとしますよね。

みなさまのご健勝・ご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

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  J's B-press VOL.21(2014.12.26)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「宅配便」

年末は大忙しの宅配便のドライバーさん、
ネットでの買い物が増えて顔なじみも多くなりました。
即日配送、日にち指定、時間指定、冷蔵便とサービスも
広がり、居ながらにして受け取れる仕組みは実に便利で
ありがたいものです。
宅配便の仕組みは、発送元の支店から各地の支店に運ばれ、
営業所から担当区域ごとに配送され、何人かの配達チーム
でそれぞれのお客さま宅にお届けするようになっています。
同じ家に二度足を運ばないよう配達表には住所から1-1-1、
1-1-2と番号が振られており、配送前に伝票を並べること
によって、異なった発送元からの複数の商品でも一度で
お届けできるように効率的な工夫をしているそうです。
勿論、荷を積みこむのもきちんと手前から配送順に積み込
まれ、短時間で数多くの配達を可能にしています。

つい先日家内が風邪で寝込んでいる時に、荷が配達されま
した。
数日前から風邪をひき寝込んでいたものですから、着替え
に手間取り少しお待たせしたようです、
「ちょっと寝込んでいてお待たせしてすみません」
数日後、別の担当の方が荷を届けて下さいました、
「お風邪の具合はいかがですか?お大事にして下さいね」
家内「どうして知ってるの?」些かびっくり、
気遣いの一言に思わず顔がほころんだといいます。
地区を何人かのチームで担当しているドライバーさん、
地域の情報がきちんと伝わり、自然に出る気遣いのたった
一言が街を明るくしてくれる、もてなしの心を見たような
気がしました。
効率優先でとかく失われがちな暖かさ、ふれあい、人の心
の優しさは社会の潤滑油そのもののようです。

大きなマンション、お隣の住人が、階上の方がどなたか
わからないというのが当たり前になっている世の中、
ちょっとした町のふれあいが景色を明るくするのかも知れ
ません。

今年も一年、ご愛読ありがとうございました。
羊に羽が生えると翔びたちます、新年が飛躍の年であります
ようお祈り申し上げます。

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  J's B-press VOL.20(2014.11.28)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「信金ビジネスフェア」

11月の12日・13日に信金秋のビジネスフェアが
東京ドームで開催されました。
全国から188信用金庫の参加、取引先企業582が出展、
二日間で約四万人の来場者を数え、予想をはるかに上回る
賑わいをみせました。
地域発見フェアと銘打った今回のビジネスフェアは
アベノミクスに示されるところの「企業の成長力強化」を
支援していくための信用金庫の心意気であります。

IT、建設、住宅、健康、医療福祉、機械、金属、繊維、木工
様々な分野からの出展、それぞれのブースで企業紹介、商品
説明、一歩踏み込んで商談に至るもの、活力あふれるフェア
としてマスコミからも高い評価を得ることができました。

中でも多くの人が足をとめ、列を作ったのは食のブースでした。
北海道の海の幸、昆布、いくら、たらこや、酪農製品バター、
チーズ、京都からはもみじと称される鹿の肉、九州からは
鶏や野菜と多彩な展示、実演、即売がありました。

数多くの食の展示で、ひとつ特徴的なことに気づきました。
それは企業のキャッチコピーです、
オーガニック、有機栽培、ナチュラル、無農薬、自然栽培、
保存料・酸化防止添加剤なし、質のよい、手づくり、
国産100%、産地の明記、生産者記名写真入り等々、
以前も産地偽装、品質偽装のことを書きましたが、現代日本人
の食のキーワードは、農薬や防腐剤、食品添加物との縁を断ち
切ることにあるようです。

大量の食の生産、販売には保存の必要性が出てきます、
中小企業ならではの小ロット生産、販売だからこそできる日もち
はしないけれど、安全・安心をお届けしますという戦略です。
地域が、小規模の生産者が生き残る道の一つを見たような気が
します。

ニッチ、規模は小さいけれど、多少高くても安全には根強い購買層
が存在するということなのでしょう。
中小企業とニッチ、語りつくされた言葉ではありますが、改めて
見つめると新たなビジネスが見えてくるようです。

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  J's B-press VOL.19(2014.10.28)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「御嶽山」

「木曾の御嶽山はなんじゃらほーい」
木曾節に謳われる御嶽山、長野県の木曽川に沿った町村では
盆踊りの季節になると木曾節が流れ、踊ります。
その御嶽山が突然の噴火、多くの犠牲者を伴う大惨事となりました。

神国日本には昔から雄大な山や湖沼、自然には神さまが棲んでいる
との言い伝えが多く、頂きや湖岸に社を造り信仰の対象としている
地方が多くみられます。
御嶽山も例外ではありません。
頂上に御嶽神社が祀られ、登山者は山頂に辿りつくと本殿に手を
合わせ六根清浄の心境になるのでしょう。
世界でも有数の火山国日本、現在86の活火山があり、御嶽山も
その一つに挙げられています。
特に火山には火の神さまが棲んでいるといわれ、昔の人たちは
噴火の火柱を見ると
「神さまがお怒りになっている、供え物をして収まって頂こう」
村人たちは真剣に祈り、供え物をするのが慣習になっていました。
このように、集落に住む人々は常に神さまの棲んでいる山から授
かる、食獣や山菜、渓流の水、森林樹木の恩恵に感謝しながら、
今も生活を営んでいます。
そして大きな恵みをもたらせてくれる山に畏敬の念を祓う山岳信仰は、
今も全国各地に残っているのです。

今回の噴火、神さまはなにかに怒っているのかもしれません、

便利になり過ぎた世の中、人間のあくなき快適さのためへの開発、
御嶽山の麓からケーブルカーが敷設され、森林を伐採しバス道路
が開通、軽装で山を歩き回る人たちの姿、スキー場がオープンし、
更にスノーリゾートの開業、神さまの住まい、そして庭である山を
もっと大事にしなさいとの暗示なのでしょうか?
便利になることに夢中な世の中、とかく汗することを忘れさせる
文明社会に、ひょっとすると警告を発したのかもしれません。

未だ行方不明の方がいらっしゃいます、
亡くなられた方たちのご冥福を衷心より祈ります。

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  J's B-press VOL.18(2014.9.29)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「インターンシップ」

情報化社会といわれる今、産業構造も大きく変わり、能力主義の徹底など
雇用慣行も、そして求められる人材についても大きく変わってきています。
こうした状況の中、産業界のニーズに応える人材育成、創造的人材の育成を
目指して、大学教育もその一環として産学金連携によるインターンシップ
が導入されています。
そもそもインターンシップとは、学生が企業等において実習・研修的な就業
体験をする制度のことです。
特に難しい定義があるわけではありませんが、
就業体験を通して学生たちに高い職業意識をもってもらい、
将来の職業をもつことに対する不安を取り除くものでもあります。
大学で学んだことが実社会では役に立たない、よく言われることですが、
インターンシップを通じで大学と企業の接点が増えることにより、
相互の情報の発進・受信の促進につながり、企業等の必要とする能力、
ノウハウついて学生や大学が理解を示す一つの契機になるはずです。

当金庫でも毎年お取引先の協力を得て、手を挙げた学生たちを中小企業に
送り出し実務を経験してもらっています。
わずか数日ではありますが信用金庫での営業と、取引先の企業での仕事体験、
グループで学んだことをまとめて発表、学校にレポートを提出、単位を取得す
ることになります。
学校生活の中での学習、いわゆる座学と、実社会での体験、大きなギャップ
を感じるようですが、異文明に触れてはじめて進歩があることは確かです。
目を輝かせながら発表会に臨む学生たち、気のせいか一皮むけて大きくなっ
たような気がします。
以下、学生たちの忌憚のない言葉です。
信用金庫について
「信金ってお客さんとの距離が思ってた以上に近いんですね」
「もっと若者層に受ける企画をした方がいいですよ」
「ホームページに専門用語が多すぎます、
金融機関というイメージが強すぎませんか?」
中小企業について
「規模は小さいようですが技術力はあるんですね」
「人材育成しないと先ゆき心配です」
「同業他社との競争が激しく、差別化が必要です」
「ブランド戦略を検討し、海外進出も視野に入れないと将来は厳しいのでは?」
どれも的を射たことばかり、「老いては子に従え」でしょうか。

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  J's B-press VOL.17(2014.8.25)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「子供たちの夏休み」

子どもたちの夏休み真っ盛り、真っ黒に日焼けした元気な顔で二学期を
迎えて欲しいものです。
そんな小学生を対象に板橋区は毎年「こども起業塾」を開催しています。
小学校の高学年生を中心に区内外からたくさんの子どもたちが集まり、
模擬会社を設立して、世の中の経済の仕組みを学んでもらうことが、
主催者側の意図するところです。
今年も夏休みに入った七月の土曜日に板橋区舟渡に父兄に付き添われた
子どもたち30名程が猛暑の中集まりました。

元気に挨拶を交わした子どもたち、指導する先生の下、それぞれ6~7名の
グループに分けられます。
そのグループが一つの会社を作るのです。
会社ですから先ず役職を決めます、社長、企画部長、製造部長、経理部長、
広告宣伝部長、営業部長といったように。
次にその会社は何を作れば売れるかを協議します、「暑い夏はうちわが売れるよ」
「家の中にボールペンがごろごろ転がってるから鉛筆立てが必要、売れるよ」
「買い物袋、かわいいのは売れるよ」、こんな調子で議論が続きます。
周囲には製作用の紙、木工品、レンガ、ハサミ、カッター、マジック、ボンド
色々な工作材料を区の職員さんが売っています。
概ね方向が決まると材料の仕入れにかかりますが、仕入れるにはお金が要ります、
さてどのくらい必要なのか社長と製造部長、経理部長は鳩首会談、信用金庫の
おじさんが座るテーブルに借入の申し込みに行きます。
「何に使うのですか?」「いくらで仕入れるんですか?」
「作ったものは売れそうですか?」「売る値段は決まってますか?」
「儲かりますか?」そんなことを聞かれながらお金を調達します。
そのお金をもって仕入れに行くのですが、一回の仕入れだけでは不足する姿を
見かけます、段取りの学習ということでしようか。
昼食をはさんで三時間余り、社長以下全員が製作に夢中な時間を過ごします
さぁー販売です、お客さんは同伴して見えた父母たち、模擬紙幣を2000円ずつ
渡され、これからPRの始まる商品の買いものに歩きます。
「私の会社Aは暑い夏を涼しく過ごしてもらおうと思ってうちわを作りました。
飾りの沢山ついたかわいいうちわです、これを使って涼しい夏を過ごして下さい」
なかなか堂にいった宣伝部長の口上、手づくりポスターを掲げてのセールスです。
そして販売タイム、お値段は高くても父兄たちは笑顔で買ってくれます。
完売、さてこれからが大変です、お金勘定をして帳簿につけ、借り入れをした信金の
おじさんのデスクに返済をするのですから。
残ったお金が儲けになります、ゲームは一応ここで終わります、
先生から講評をいただき、主催者側からグループに対しアイデア賞やら
一番儲かった会社の表彰が行われ、後片付けをしてお開きになりました。

父兄からは、世の中のしくみに体験的に触れることができる貴重な機会だった、
親や学校では教えきれない貴重な経験をさせてもらった、
また子供たちからは
仕事って大変なんだ、お金を稼ぐって大変だからもっと節約しないともったいない、
そんな声に交じって「将来は代表取締役になってもいいな」頼もしい言葉もありました。

自ら考え行動し他を思いやる心や社会性を育てる、
少しは地域社会のお役に立てた気のする一日でした。

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  J's B-press VOL.16(2014.7.25)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「歩きスマホは危険がいっぱい」

少し前になりますが、愛知工大工学部の学生さんたちが
渋谷の駅前交差点を全員歩きスマホをしたらどうなるかという
演算シミュレーション画像がyoutubeにアップされていました。
ご覧になった方も多いと思います。
横断歩道を普通に歩く方たちの視界は30m前後、
ところがスマホの画面に気をとられると視野は1/20、1.5mと極端に
狭くなるそうです。
つまり歩きスマホの方は周囲の障害物、対象物が1.5mに接近しなければ
認知しないということになります。
さて、障害物を認知した時にとる行動、演算シミュレーションに与えた条件は、
1)避ける 2)立ち止まる 3)そのまま突き進む と設定しました。
その結果1500名の歩行者の547名がぶつかり、そのうちの100件以上が
転倒、20件のスマホ落下という結果が出ました。

スマホは確かに便利です、
いつでもどこでも仕事関係で、友人との約束、家族との連絡はもとより、
現在の位置情報、エンターテインメント、読書、動画観賞、ショッピング、
お財布代わりに、交通機関の利用、金融取引も・・・とにかく便利です。
知る、見る、調べる、読む、書く、撮る、聴く、訊く、遊ぶ、楽しむ、探す、
頼む、預ける、買う、売る、借りる、思いついたところを並べてみましたが
きっとまだまだあるんでしょう。

なるほど便利です、こんなに便利なものを使わなければ現代人として
失格なのかもしれません、でも操作している時のあなた、忍び寄る危険にも
ちょっと配慮する必要があります。
歩きスマホで自転車とぶつかった、ホームから転落した、
運転スマホで止まってる車に追突した、人身に関わる事故は急上昇しています。
くれぐれもスマホは安全に操作できる環境でお使いになることをお勧めいたします。
梅雨空の朝、合羽を着てスマホ片手にヘッドホン、チャリンコに跨っている女性
を見かけました、事故らないでくださいねぇ~

人身以外の事故トラブルも急増です、それはまたの機会に、
すぐそこ猛暑の夏です、暑さにはくれぐれもご用心下さい。

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  J's B-press VOL.15(2014.6.25)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「詐欺ファンドにご用心」

大雨警報や洪水注意報を伴うような今年の梅雨、
夏場に水枯れになる空っ梅雨も困りますが、記録的な雨量も悩ましいものです。
こんな季節、とかく体調を崩しがちです、くれぐれもご用心ください。

さて、今月は最近の振り込め詐欺の傾向の話です。
もう一年ほど前になりますが、相手を確かめるために
「合言葉を決めておきましょう」そんな話をお書きしましたが、
相変わらず被害は増加、手口もかなり複雑に、高度に?なってきています。

今年に入って城北信用金庫の窓口で起きた事件です、
ある時とある男性のご自宅に、投信会社の封筒が届きました、
中を開けて見るとA社の私募投信の案内です、
私募ではありますが早い時期に換金でき、元金も数倍になるとの謳い文句、
ご本人「そんなバカな」とそのまま放り投げていたところ、
数日後その投信会社から電話がありました。
「いかがですか?A社は水面下でかなりの人気です」
なぜか男性に資産があるのを調査済み、話もそれなりに噛み合っています。
そしてさらに数日後、今度は別の証券会社を名乗る男から
「A社の私募投信お持ちですか、お持ちでしたら即刻買い上げます、
価格は交渉させてください」、その後で再びA社から電話「いかがですか?」
これらは登場人物が複数いる劇場型という典型的な詐欺例です。
ご家族の反対があって寸前で思いとどまったこの男性、投信会社からインサイダー
になる、警察沙汰になる、違約金を支払え、と執拗な脅し電話がありましたが難を逃れました。

他にも、直ぐ上場する未公開株式をお分けします、「やるなら今でしょ」詐欺、
騙された損を取り戻してあげますよ詐欺、次から次へとよくまあ考えるものです。

金融庁が五月に草案を公表しました
「適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案」、
ちょっと長ったらしい案ですが、ファンドを募集できる業者の適格基準を
引上げ、厳格にしようとするものです。
なぜでしょう?
厳格にすることによって、世の中にはびこる偽ファンド詐欺被害を
抑え込もうとする意図もあるのです。

真面目にベンチャーとして未開の分野にチャレンジしている企業や、
応援してなんとかものにして市場を活性化させようとしているファンド関係者たちは、
一部の詐欺集団が健全なファンドマーケットを潰してしまうと、挙って猛反対しています。
ネットオークション、モバゲーで急成長したDeNA、設立時にファンド支援で
今日に至ったのは有名な話です。

騙されるのはお年寄りばかりじゃなくなってきています、
みなさんの直ぐ傍にいるかも知れません、甘い話にはくれぐれもご用心を。
おかしいな、と思ったら最寄りの城北信金にご相談下さい。

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  J's B-press VOL.14(2014.5.21)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「スポーツマンシップ」

テニスの錦織選手、マドリードオープンの決勝戦、ランキングno1の
ナダルを追い込みながら腰を痛めて途中棄権、残念な結果でしたが
ボールを追う迫力満点の姿に喝采を送りたいと思います。

そんな熱戦を見ながらふと昨年のできごとを思い出しました。
あるブログのコピペであることを予めお断りしておきます。

25/9/24 テニス東レパンパシフィックオープン、シングルス2回戦で
クルム伊達選手は豪州のサマンサ・ストーサーと対戦しました。
タイブレークで迎えた第2セット伊達選手がダブルフォールト、
その瞬間観客から「あーっ」という大きなため息が漏れた瞬間
伊達選手観客に身振りで抗議をしました。
「どうして『がんばれー』と言ってくれないの、一番がっかりしているのは
選手自身なのにー」
その後ご自身のブログで「ため息のないサポートをお願いします」と
お書きになっていました。

もうひとつ、
1981年、ジャン・スティーブンソンは日本女子ゴルフツアーのある
トーナメントに参戦し、僅差ながら日本選手をリードしていました。
最終ホールでウイニング・パットを決めた瞬間、ギャラリーたちから、
「あ~あ」というため息まじりの落胆の声、そしてまばらな拍手。
テレビのインタビューでマイクを向けられた時、目頭を押さえながら
「私はこうして優勝したけれど、
日本の皆さんに喜んでもらえなくて悲しいです」

1984年の秋、同じく女子ゴルフの有名な話です。
広島で行われたマツダクラシック、
日本のマスコミは、岡本綾子さんの年間賞金女王の快挙達成に大きな
期待を寄せていました。
最終日、勝負を分ける重要なホールのグリーン上で、女王を競い合って
いたジャン・スティーブンソン選手が短いパー・パットを外しました。
その時です、岡本さんを応援する一人のギャラリーが、ジャンに向かって
「ナイスボギー!」と叫びました。
耳にした岡本さんはギャラリーに向かって、
「なんということを言うんですか!
私たちは皆さんにいいプレーを見て戴こうと一生懸命頑張っているんです。
これじゃあ、やっている意味がないじゃないですか」
と叫び、グリーン上で大粒の涙をこぼし声を上げて泣き出しました。

スポーツの目的は、平等なルールの下に技を競い合い、フェアプレーを
通じて青少年に団結力・忍耐力・責任感・規律・勇気・スポーツマンシップを
身につけさせることといわれています。
前述のシーンには些か問題があるようです。

初夏を迎えスポーツの季節になりました。
大相撲は遠藤の登場で満員御礼の垂れ幕が下りました。
プロ野球は交流戦が、サッカーのワールドカップも始まります。
ご自身で実際にプレーをしながら、また観戦をしながらスポーツマンシップを
学ぶことは人生にとって大事なことのようです。

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  J's B-press VOL.13(2014.4.24)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「真新しいランドセル」

真新しいランドセル、交通安全のマークをつけた黄色の通学帽をかぶった
ピカピカの一年生、三歩歩いて後ろを振り返りママに手を振って、
そしてまた三歩歩いて手を振りながら、
学校に遅れちゃうよと心配になります。
そんな光景に、改めて四月を感じます。
学生生活を終えて社会人としてのスタート、
町に黒のスーツの若い男女が氾濫するのも今、
何故かそろいもそろって黒だらけ、
中身がそれぞれ違うんだから、身に着けるウェアも
もう少し特長があってもよさそうなのに。
目立つこと、周囲との違いはリスクが高いということなんでしょうか、
企業側がダークスーツを指定してるわけでもないと思います。

さて、大人も子どもも新入生にはそれぞれ基本的な教育を施します。
その基本は「しつけ」です。
国語の辞書で「しつけ」を繰りますと、
縫い目や折り目を正しく整えるために仮にざっと縫いつけること(しつけ糸)、
と記されています。

つまりしつけをしなければ、将来折り目が曲がったり、不揃いな縫い目の着物
が出来上がってしまう、
子どもも社会人としての新人も、しつけができていないと
周囲と馴染めない、歪んだ子どもや、社会人になってしまうという意味なのでしょう。

ところでそのしつけとは一体なにを指すのでしょうか?
私が昔、先輩から習ったことのひとつに
挨拶・返事・後始末この三つを「しつけ三原則」というのがありました。
挨拶は元気よく、爽やかに、返事は明瞭に、
そして一番大事なのは後始末だと。
何ごともやりっ放し、出しっ放しにせず、きちんと処理をすることが肝心、
ものごと自分で考え、自分で選択をし、自分で思い切り行動をする、
自分で選んだ道ならばその結果は自分自身で責任をとる、これぞ後始末と。

しつけ教育には規則正しい生活をすることや、
善悪の判断ときまりを守ることなどもあります
もう少し大きくなりますと、法やきまりの理解と遵守や
社会に参画することの意義等を教えるのもしつけの範疇でしょう。

コンビニの前に座り込み声高の飲食、傍若無人な自転車走行、
歩きながらの喫煙、ところ構わずのスマホ操作、優先席の占領、
車内で大股開き座り、時に見かける光景ですが
しつけ教育はこのままで大丈夫なのかちょっと心配です。

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  J's B-press VOL.12(2014.3.24)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「ソチ冬季オリンピック」

ソチのオリンピックが終わりました。
メダルの数も冬季史上二番目、
成田空港に笑顔で降り立った選手たち、笑顔がいいですね、
日本選手の活躍に素直に拍手を送りたいと思います。

沙羅ちゃん、真央ちゃん、メダルには届かなかったけれど
ご両人とも懸命に飛びました。
四年に一度というホンの僅かなチャンスに、
持つ技術のすべてを出すことの難しさ。
やり直しの利かないオリンピックの
プレッシャーは想像を絶するものがあるのでしょう。

羽生選手の四回転、失礼ながら中年の輝ける星・葛西選手のジャンプ、
竹内さんのスノボGS、みんなかっこよかった。
メダルを胸に流れる涙、メダルはなかったけれど終わって
ホッとした涙、汚れのない涙っていいものですよね。
閉会式、マスコットの北極クマの目からぽろりと涙、
感動がよみがえります。

多くの犠牲者の出ている内紛のウクライナ。
女子のバイアスロン・リレーで見事な金メダル、
「心の底から勝ちたかった、祖国に自分たちにできることはこれだけ」
棒高跳びのブブカさん、ウクライナのオリンピック委員として
「この金メダルは、祖国はひとつというメッセージ」。
青と黄色の国旗に思い思いの都市の名を刻み、誇らしげに掲げる選手たち。
彼女たちは戦場と化しているウクライナに笑顔で帰ったのでしょうか?

パラリンピックでは車椅子のウクライナ選手の胸に大きく【PEACE】の文字、
スタジアムの観衆から温かい拍手にも笑顔はなく、なんとも複雑な思いです。

安心して帰ってこられる日本のよさ、改めて噛みしめるべきかもしれません。

オリンピック憲章には(3条)
スポーツを人間の調和のとれた発育に役立て、人間の尊厳を保つことに
重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある、とあります。
ウクライナの金メダルが、祖国の平和に魔法のような効果があることを
祈る思いです。

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    J's B-press VOL.11(2014.2.21)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「喝采・ヤマザキパン」

二月に入って関東地方に二週連続の降雪がありました。
想定外の積雪量で、東京の多摩地区、山梨、群馬、長野では
未だに雪害孤立している方たちが9000人以上と報道されています。
一日も早い救助とインフラの復旧を願っています。

家の屋根が潰されたり、駐車場の屋根が落ちたり、
しかしながら救助に辿りつけない道路状況を伝えられますと、
住人のみなさんの安否が気懸りです。
また、道路上に立ち往生している車両の長い列、
ガソリン切れや食料不足、車内に取り残されている多くの人たち、
中には赤ちゃんもいるだろうと思うと胸が痛みます。

特に山梨県。普段はあまり雪の積もらない土地柄は大雪に対する
備えが十分ではなかったようです。
一部では断水、停電、救援の緊急車両も動けずという状況、
本当に心配です。
消防・自衛隊の方たちの除雪作業が少しでも捗ることを祈っています。

そんな中、談合坂SAの規制解除待機中で立ち往生している山崎パン
配送トラックの運転手さん、積荷のパンの全てを立ち往生している
車両に閉じ込められている人たちにタダで配ったというホットな
ニュースがありました。
その決断力と暖かさがツイートで爆発、
「ヤマザキパン、かっけー」
「これからは山崎パン以外は食わない」
「リアルアンパンマン現る」
こんな記事を読むと、危機に陥った時にこそ表れるその人の剛毅さ、
胆力の凄さに感動します。

鉄道、道路、交通機関の一日も早い復旧と、雪害孤立された方たちの
救助を願うばかりです。
備えあれば憂いなし。私たちもまさかの時を想定して長靴、
スコップくらいは用意しておいた方がいいかもしれませんね。

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     J's B-press VOL.10(2014.01.21)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「ブランドショップ質屋のDX」

コラム明鏡止水、今年もご愛読よろしくお願い致します。

私の小さな頃の正月は玄関先に松飾り、
神社に詣で、羽つきの音を耳にしながら炬燵にはいり
家族団欒の時を過ごした記憶があります。
世の中の動きは元日の新聞、リアルタイムには程遠いラジオ・
テレビからのニュース、せいぜいそんなところでした。
実に静かな正月、日本全国すべての時が止まってしまった
ような感じがありました。

しかし時代は移って現代。
ITの進化、メディアの進歩、コンピューター機器の普及は
時の停止を許さなくなりました。

ここは都内にある質屋さんの楽屋裏、正月のご挨拶にお邪魔した
ところ、ご主人がキーボードを操作しながら
「これ見て下さいよ、今わが社のホームページを見にきている人の
状況です、リアルタイムに出てます、
人数が52人、国内が30人、中国は9、フィリピン3、タイが3、
おぉーっ地球の真裏ブラジルも1人、」
画面にはグラフ化されたサイトへのアクセス状況、国名、人数等が
示されています。
楽しそうに続けます、
「中国はワンクリックで通り過ぎる人が多いけれど、フィリピンや
タイは一人7~8分、購買意欲が強いということでしょうね」

最近の質屋さん、その昔は担保金融が専業であったのに、
今はブランドショップ化しつつあります。
ヴィトン、エルメス、グッチは言うに及ばず、ロレックス、ピケだ
ブライトリング、とにかく手に入りにくいブランドがずらーっ、
直営店では取り扱っていない直輸入物、ちょっと前の時代のもの、
とにかくその品揃えの豊富さは全てのお客さまの要求に応えられる
といいます。
ホームページにはそんな品物の画像と価格、状態が、これでもか
と掲載されています。バッグを時計を欲しいと思っている人たちが
こんな質屋さんの中古市場ページにアクセスしてきているのです。

正月もリアルタイムに動いているデータを見ながら戦略を立てて
いるご主人、タイ語のホームページを作ろうかな、シンガポールの
youtubeに掲載しようかな、今年はフィリピンに出店しようかな・・・
仕入れも工夫しないとなー。

一年365日フルに世の動きに反応し続ける現代、
お正月の風景もだいぶ変わってきたようです。

コンピューターを軸にデジタル文明はとどまるところを知りません、
確かに便利な世の中にはなってきました。
しかし、たまにはキーボードから手を離し、海を眺め、
山を見ながら温泉で酒を酌み交わす、ぼーっとする一日があっても、
いいと思いませんか?
すべての人がデジタルロボットになっちゃいそうで・・・

役に立たないコラム、
今年もよろしくお付き合いください、新年のご挨拶とさせていただきます。

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  J's B-press VOL.9(2013.12.19)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「チャリの暴走」

2013年も残すところわずか、
みなさまにおかれましてはどんな一年だったのでしょうか?
政権交代の行われた昨年、脱インフレの掛け声から株価上昇、
円安に振れた今年ですが、消費増税、TPP等々、難題山積の
2014年、安定した生活の築ける社会であって欲しいものです。

さて本年4月に発刊しましたJohoku shinkin メルマガ、
早いもので9号目となりました。
発刊号では振り込め詐欺にご注意をと呼びかけましたが、
相変わらず被害に遭う方の多さが気になります。
次から次へと新たな手口が登場しているようです。
家族同士の合言葉を決めておく、一呼吸おいて冷静に考える、
自分一人で判断せずに身内や知り合いに相談する、
くれぐれも騙されぬよう、ご用心ください。

話は変わりますが毎朝通勤時にハンドルを握っている筆者、
最近の自転車の傍若無人な走りに些か憤りを覚えているところです。
今年の6月から道路交通法が改正され、
自転車は車道の左側を通行するようにルールが定められました。
また、右折時は二段階右折、一時停止・信号は厳守、
携帯電話やヘッドホンを使用しながらの走行禁止等々が
走行するときの決まりです。

管内警察の話によりますと自転車の事故が急増しているそうです。
傘を差しながらヘッドホン、一時停止なんてどこ吹く風、
交差点は二段階どころか斜めに渡り、車の隙間を軽業師の如く・・・
危ないですよねぇー、自転車にも「止まる」「曲がる」「減速する」等
手信号があります、マナーを守ることが安全につながります。

自転車は省エネ社会のスターです。大いに活躍が期待される乗りものですが、
安全運転のルールだけは徹底して欲しいものです。

寒本番、巷ではインフルエンザが猛威を振るっているようです。
くれぐれもご自愛召され、素敵な新年をお迎えください。
来年もよろしくお願い致します。

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  J's B-press VOL.8(2013.11.19)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「偽装表示」

最近の新聞、テレビ報道、偽装表示の文字にお目にかからない日はありません。
偽装とはある事実を覆い隠すために周囲のものと似た色や形にして
見分けのつかない状態にすることだそうです。

中国の動物園でライオンと書かれた檻の中に長毛の大型犬が、
豹の檻には白キツネが、笑い話のようなホントの話として報道されました。
ライオンと犬、果たして見分けのつかない状態なのかどうか、
これは偽装というより詐欺と言った方がいいような気がしますね。

世界的にも基準の厳しい我が国、とりわけ食の安全は高い水準が維持
されていると誰もが信じていたはずです。
どうやら水準の高さは過去のものとなりつつあるようです。

関西の有名ホテル、鮮魚のムニエル実は冷凍魚のムニエルであったり、
沖縄産豚肉、霧島産豚肉と称して高い値段のついた料理も産地の偽装が発覚、
ブラックタイガーを車エビ、ロブスターを伊勢海老に至ってはモノ自体が
違うというお粗末さ、牛肉、野菜、魚、とにかく枚挙にいとまなしとは
まさにこのことでしょう。

信用とは「昨日までがそうであったから、今日も明日もそうであると思わせる状態」
といいます、度重なる報道に業者やブランドの信用は一気に失われました。
信用を築くのにこつこつ長い年月を要します、崩壊するのはたった一夜です。
いかに人を欺くことが企業の存続にとって致命的なことなのかを知ることになります。

その昔、うさぎを一羽・二羽と数えるのは、
四足を食べることを禁じられていた時代「羽」と数えることによって
鳥を食べていると偽ったという説があります。
落語の目黒のさんま、殿様のお食べになったのはホンモノのさんまです、
しかし産地は少なくとも目黒ではないはずです、
産地偽装のはしりということになるのでしょうか?

産地偽装、食材偽装、賞味期限偽装・・・
プロも騙されるといいます、素人を騙すなんて赤子の手をひねるようなもの、
世の中なにを信じればいいのか、住みにくい世の中になったものです。

似たような話ですが、消費者の目をひく50%、70%オフの特売品、
実は元の価格を引き上げての不当表示でお詫び会見、
消費者を愚弄するにも程があります。

さて金融機関を舞台にした振り込め詐欺、息子や娘に「なりすまし」が登場します、
「おれおれ」「大変なんだ」「急ぐんだ」「携帯落とした」「番号が変わった」
偽装です、深呼吸一番、ちょっと冷静になって考える、くれぐれもご用心願います。

しかしまぁ~色々あるものですね。

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  J's B-press VOL.7(2013.10.17)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「風立ちぬ」

宮崎駿さんの手によるアニメの大作「風立ちぬ」、
NHKはプロフェッショナル仕事の流儀という番組で
「風立ちぬ」1000日の記録としてその制作過程を報道しました。
飛行機作りに憧れる主人公堀越二郎と奥さん菜穂子の儚いラブロマンス、
大人向けのアニメとでもいうのでしょうか、
見応えのある作品だと思います。

原作は堀辰雄さん、時代背景は大正から昭和初期、
零式戦闘機の設計から戦後の民間機YS11に至るまで
その製作に携わった優秀な頭脳については残された文献に譲るとして、
作品の中に実に美しい日本語が流れます。
二郎と両親、二郎と妹、二郎と妻である菜穂子、
忘れかけている日本語の美しさが耳に心地よく響きました。
原作から脚本を起こし、制作・監督とすべてをこなす宮崎監督の
美学が全編に貫かれています。
画面の隅々まで気を抜かない、全てに完璧主義を貫く宮崎流は
現代社会の言葉をも批判しているかの如くに響きます。

長幼の序という言葉があります、
年長者をきちんと敬い、幼いものを慈しむという意味です。
「にいにいは薄情者です、菜穂子さまをもっと大切にして
さしあげないといけないと思います」妹の兄への言葉、
そして妻が夫に、夫が妻に語りかける言葉、現代人が忘れかけている
日本語のような気がしました。

その後、宮崎さんの引退報道が
NHKの番組の中で
「時がボクを追い越していくんだよねぇー・・・」
監督はしみじみと語り、制作を手掛けるには時に置いてきぼり
にされた過去の人であることを揶揄するようなコメントでした。
ついていけないんだよねぇー、時の流れの速さに・・・
「日本語の美」も時に追い越され色が褪せていく、
「いただきます」
「ごちそうさまでした」
世界中を探してもこんな言葉で食事をする民族はいないと聞きます。
ショートメールに溢れる略語、言葉の進化?というより些か心配に
なるのは歳のせいでしょうか?

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  J's B-press VOL.6(2013.09.19)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「竜巻」

F1、F2、カーレースではありません。
このところ猛威を振るっている竜巻のレベルの話です。
千葉の野田市や埼玉県の越谷を襲ったレベルはF2、
翌日栃木矢板近辺で発生したのはF1、
ちなみにF1というのは渦の中心風速が33m~49m、
F2は50m~69mと言いますから屋根が飛ばされたり、
電柱がへし折られるのは当然想定内のこととなります。

もう長いこと日本に住んでいますが、台風や突風、地震
の被害は過去に多く報道されています、しかし竜巻というのは
どうも馴染がありません。
竜巻は米国南部の特産品、日本には縁がない、
そんな素人考えを持っていました。

ちょっと調べてみましたら竜巻の発生件数は米国では
年間1000個、それに対して日本では20個くらいとあります。
従ってなじみの薄いのも当然のことです。

しかしながら城北信金の店舗周辺で実際に発生し、
お取引先の何軒かが被害に遭われ、職員の家でも車が
全損になったという報告を受けていますから
のんびりはしていられなくなりました。

そんな竜巻に出くわしたらどうすればいいのでしょうか。
幸い私たちの都市部には近所に堅牢なマンションや、
オフィスビルがありますから、まずはその中に逃げ込むことです。

近所に建物が無かったらどうするか、
竜巻は直線で動く傾向のあることから横に逃げるというのも
方法と言います。

それでも逃げ切れない場合は水路や、窪地に身を伏せる、
橋の下や、大きな木の下はかえって危険だと言います。
自宅にいるときは風呂場やトイレ、頭から布団をかぶって
なんとかやり過ごすというのがとるべき方策だそうです。

今まで対岸の火事のような気分でいました竜巻、
頭の隅に逃れる方法をちょっとだけ刻んでおくのも必要な
ことのようです。

英語でトルネード、メジャーで大活躍した野茂投手の
投球フォームがトルネード、バッタバッタと三振の山を
築いたトルネードは実に爽快でしたが、ホンモノは要注意、
戦いを挑むような真似はお止めになって素早く逃げて下さい。

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  J's B-press VOL.5(2013.08.12)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「ハワイの盆ダンス」

お盆の季節になりました。
故郷へお帰りになる方も多いことと思います、
大渋滞の高速道路は恒例行事、運転にはくれぐれもお気をつけ下さい。
寺の関係者ではないので詳しくはわかりませんが、
お盆にはご先祖さんがそれぞれの家庭にお戻りになるといいます。
ご先祖さんたちに思いを寄せながら共に時を過ごす、
故郷には日頃疎遠になっている親類や、幼馴染もいらっしゃる、
飲んで、歌って、踊って、語り合う、
よく見かけるお盆の過ごし方のようです。

さて、夏の風物詩として挙げられるのが盆踊り。
寺の境内や商店街にやぐらが組まれ、
流れる楽曲に合わせ太鼓や鐘を打ち鳴らし、
その周囲を浴衣姿で輪になって踊る盆踊り、
ご先祖さんもきっとその輪の中で一緒に踊っているのでしょう。

ところはハワイ・ホノルル、
ハワイ王朝のプランテーション政策に惹かれ、
多くの日本人が楽園を夢見て、移民として渡ったのは明治のころです。
住みなれた故郷を離れ、サトウキビ畑での重労働、
謳い文句とは隔たりのある移民の苦労は歴史書に詳しく残されていますが、
そんな彼らの心の中には生涯忘れ得ぬ故郷の山河が残っていました。
盆の季節になるとみんなで故郷に思いを馳せ、別れてきた親類や友を懐かしみ、
幼い頃から親しんだ郷土料理に舌鼓を打ったようです、そして盆踊り・・・

今もホノルルには盆踊りの習慣が残っています。
やぐらも太鼓も日本の盆踊りとまったく同じではありますが、
シャイな日本人と違ってノリのよい三世四世の踊りは迫力満点です。

ダンスグループの中でも福島県出身者をルーツにもつ福島盆ダンスは
呼吸ぴったりの華麗なるステップ、キレのいい踊り、掛け声の迫力、
そして周囲を魅了するノリのよさは群を抜き、
超絶人気グループになっています。
人気の秘密ですが、そもそもハワイの町には「盆ダンスクラブ」があって、
彼らは一年を通してハードな練習を積んでるからなのです。
本場フラダンスの激しい訓練、スポーツジムでの鍛錬、
盆ダンスのお稽古はまったく同じレベル、つまり体育会系なのです。
季節になると付け焼刃で俄か練習だけの日本の盆踊りとは
ちょっとわけが違います。
炭坑節、東京音頭に加えてカメハメハ音頭も流れます。

七月から八月にホノルルを訪れる機会があれば、是非ご覧になってください。
ワイキキビーチ・カビオラニパークのやぐら太鼓のリズムに乗って、
Shall we Bon dance?

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  J's B-press VOL.4(2013.07.16)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「参議院選と活舌」

タイトル「明鏡止水」は編集の方が勝手につけたものでして、
「邪念なく、澄みきった心」には程遠い俗人のつぶやきです。
「空気は読めてる」つもりです、従って端からお役には立ちま
せんとお断りしております。

参議院選、アベノミクス対批判票、どんな結果が出るのでしょうか、
それにしてもこのところの選挙、低い投票率が気になります。
国政選挙に関していえば北欧のノルウェー、デンマーク、
スウェーデン辺りは投票率70~80%、
投票に罰則を付し義務化しているシンガポール、オーストラリアは
90%以上、政治批判をする前にたった一つの投票という権利を行使
するのが民主主義のような気がします。
といいつつ、二大政党制が主流の世界、九つの多政党が乱立する日本
さてどの政党に、些か戸惑うのも事実ですよね。

町を走る選挙カー、候補者の声、応援者の声が流れます。
さすがにマイクによく乗る声の主が多いようです。
「○○党、△△です、よろしくお願いしま~す」
手を挙げる人を見かけると「応援ありがとうございま~す」
TPP、消費税、社会保障、財政、公共投資、憲法改正、国防、
難題山積にっぽん、賛否両論賑やかな舌戦が繰り広げられています。

それにしてもマイクを持つ方の滑舌のよろしいこと、もっともそんな
方ばかりを選んで車を走らせているのでしょう。
その滑舌、歳をとると経年劣化による歯の摩耗、損傷により、空気が
漏れたり、微妙な噛み合わせの狂いから著しく悪化します。
きゃりーぱみゅぱみゅ、早口言葉じゃないけれど流行りの芸能人、
正式には「きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ」が
本名だとか。
選挙の話がいつしか滑舌の話になっちゃいました、
やっぱり役に立ちませんねぇー・・・

資産デフレが落ち着いて、緩やかに景気が回復する、そして人々が
平穏な暮らしのできる世の中を、だれもが願ってます。

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  J's B-press VOL.3(2013.06.10)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「梅雨の季節 カビにご用心」

5/29、関東地方の梅雨入り宣言が出されました。
例年より十日ばかり早い梅雨入り宣言、
皮肉なもので六月に入ってからは夏日が続いています。
気温の変化の激しい季節です、体調を崩さぬようお過
ごし下さい。
この時季の雨、もともとは五月雨とも呼ばれ、毎年東
北地方辺りまでを帯状に覆い、一か月ちかく雨を降ら
せます。
じめじめして黴(カビ)の生えやすい季節、中国ではこ
の頃の雨を黴の雨と書き「バイウ」と読ませました。
わが国では「黴」という文字の与える印象がよろしく
ないということから「梅」という字を当て「梅雨」と
書くようになったそうです。
この梅雨、農作物には重要な役割をもち、適度なお湿
りとこれからやってくる夏に水の備えをしてくれます。
雨は私たちの生活に密接な関係のある大切なものでは
ありますが、屋外で行われるイベントには不都合なこ
ともあります。
子どもたちの遠足、運動会、ピクニック、ウォーキング、
ペットの散歩、できれば好天の下で楽しみたいものです。

幼いころ、雨が降りませんようにとてるてる坊主を作
り軒下にぶら下げた記憶のある方も多いと思います。
元々は中国から入ってきた風習で、雲掃人形とよばれ、
見事晴れると目を描き込み川に流しました。
前の号で童謡の歌詞にちょっと触れましたが、今回も
「てるてる坊主」の歌詞にいちゃもんです。
てるてる坊主 てる坊主
晴れたら 甘いお酒 飲ませるよ、
もし雨だったら そなたの首をチョンと切るぞ♪
かなり過激な歌詞ですね、
本気で真似しちゃう人のいそうな現代、流行らないこ
とを祈ります。

さてアベノミクスの影響でこのところ株価乱高下、
金利も為替も激しく揺れています。
見通しの難しい金融環境です、こんな時期にはと
かく無責任な景気予測報道が出回ります、
自己責任の世の中、くれぐれも慎重な選択をして
ください。

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  J's B-press VOL.2(2013.05.09)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「スポーツと体罰」

体罰 について

大阪桜宮高校バスケット部の体罰自殺事件、女子柔道の体罰、
それがきっかけかどうかはわかりませんが剣道部が、野球部がと
連鎖反応のように明るみに出てきます。

ところが中高年の方で、その昔体育会を経験してきた方たちは
仲間同士声を潜めながら語らうようです、
「なの当たり前だよな、監督、先輩、先生、ビンタの一つふたつは。
そうやって強くなってきたんだぜ、おれ達は」と。

学校の先生に立たされた、頭を小突かれ、
助けを求めたはずの母親に「あんたが悪いに決まってるっ」
軽く一蹴され、体罰が大手を振って歩いていた時代が昭和でした。
先生方に子の育成を任せた親たち、逞しくなる子供の姿の裏に体罰の
あることは当然の如く承知していました。
自立を促すためのスポーツ、親のできない教育を先生方に託したわけです、
まさに信頼関係です、その代り先生方も負託に応えようと懸命でした。
そして社会に出ても通用するように、少しずつ強くなっていったのでしょう。

勝って泣き、負けて泣き、何十年後にそれを肴に大笑い、
きっと肯かれる方も多いはずです。
親が家庭内でしなければならない「しつけ教育」、
足りないところを学校に「よろしく」とお任せする、
社会人としての自覚はそんな信頼関係の中に育まれていくのかもしれません。

度の過ぎた体罰はよろしくないというのは誰しも思うところですが、
悪質化傾向にある青少年犯罪の増加、学校・スポーツ教育のあり方とが
まるで無関係ではないような気もします。

小さい頃よく歌った童謡「すずめのがっこう」、
「すずめのがっこの先生は~ ムチをふりふり ちーぱっぱ♪」
これって体罰なんですかね?今ムチなんか振るったら大変ですよね。

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  J's B-press VOL.1(2013.04.01)

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~☆ コラム 『明鏡止水』 ☆~

「詐欺から守る家族の合言葉」

遅ればせながら城北メルマガ発刊の運びとなりました。
地域の皆様のお力添えを戴きながら、愉しい内容のマガジンに
していきたいと思っております。
ホントは発刊に先立ち「ためになるメルマガ」と書きたいところ
ですが、あまり気負ってスタートしますと息切れしちゃいそうな
ので、「あまりためにはならないかもしれません」とお断りをして
おきます。

「継続は力」のんびり長い目でおつきあい下されば幸いです。

さて、昨年暮れに政権交代が行われました。
資産デフレに歯止めがかかり、多少なりとも景気が上向いて
くれることを誰もが期待しているところですが・・・

こんな世の中で相変わらず忙しいのは「振り込め詐欺」屋?
次から次へと新手の手法を編み出し、お年寄りに忍び寄っています。
「急ぐんだ」「携帯の番号が変わった」、どの事件にもこんな
共通項が見られます。
冷静に「一旦切って掛け直すから」「あなた本当に息子なら合言葉は?」、
この程度の防御策は常に用意しておいて下さい。

それにまつわる親しくしている友人の話です。
毎朝犬の散歩が彼の日課。
雪のうっすら積もる朝、お散歩の途中わんちゃんに引っ張られ
足を滑らせ転んでしまいました。
運悪く転んだのは歩道橋の横、階段の角に頭をぶつけ頭頂部を
割ってしまいました。
血だらけになってしまった彼、通りがかりの女性にお願いし
自宅に電話をしてもらいました。
親切に電話をして下さった彼女、電話口に出た奥さんから
「最近怪しげな電話で騙されるケースがあると訊きます、
ホントに主人かどうか確かめたいので犬の名前を言わせて下さい」
彼、血だらけの頭を押さえながら「寛太って言うんです」・・・
暫くして奥さん迎えに来られた由、今の世の中このくらい用心深く
なければいけませんという例です。
ちなみにその後奥様と医者に行き十数針縫った彼、
今はすっかり元気になりゴルフをやっています。

ねっ、大してお役に立たない話でしょ?

これからも肩の凝らない話をお伝えしていきたいと思います、
末永くお引き立て下さいますようお願い申し上げます。

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