コラム『明鏡止水』
VOL.51~VOL.100

城北信用金庫メールマガジンJ's B-press
タイトル 『J's B-press』 掲載号
VOL.100(2021.07.30)
VOL.99(2021.06.30)
VOL.98(2021.05.31)
VOL.97(2021.04.30)
VOL.96(2021.03.31)
VOL.95(2021.02.26)
VOL.94(2021.01.29)
VOL.93(2020.12.30)
VOL.92(2020.11.30)
VOL.91(2020.10.30)
VOL.90(2020.09.30)
VOL.89(2020.08.31)
VOL.88(2020.07.31)
VOL.87(2020.06.30)
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VOL.82(2020.01.31)
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VOL.80(2019.11.29)
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VOL.52(2017.07.31)
VOL.51(2017.06.30)
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J's B-press VOL.100(2021.07.30)

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コラム『明鏡止水』~みゆちゃん、感動をありがとう~

アスリート職員・テコンドーの山田美諭さんの活躍、見事でした。
会場で応援したかったけれど、コロナ禍のため無観客試合、
ライブ配信でのリモート応援になってしまいましたが、
熱き戦いに、感動を覚えた方も多かったのではないでしょうか。
普段隣り合わせで仕事をしている仲間が、画面の中にいる、
それも世界が注目する晴れの舞台で・・・。
ピンとこないけれど、紛れもない「みゆちゃん」でした。
戦い終わってヘッドギアを外したみゆちゃん、
額にうっすら浮かぶ汗は、アスリート色に輝いていました。
まぶしかった~。感動をありがとう、お疲れさまでした。

進化し続けるAIが人間を支配する世の中がやってくる、
そんな表現を見かけることがあります。
しかし、テコンドーの熱戦が私たちに与えてくれたわくわく感、
ドキドキ感は、いくらAIでも創り出せるはずはありません。
改めて人間力のもたらすパワーのすごさに気づきました。
世界に挑戦するまなざしにあふれる闘争心が、見ている私たちにも伝わって
一つ勝ち上がるたびに、手に汗どころか体を揺すり、足を蹴り上げ、
ともに戦っているような興奮が、体を駆け巡ったのではないでしょうか。
「人生は闘いだ」時折り耳にする言葉ですが、戦うことに臆病にならずに、
無限の可能性にチャレンジする心の大切さを、教えてくれたような気がします。
「人間力」という不思議な力が生み出す感動は、誰もが気づかずにもっている
意欲を奮い立たせてくれることがよくわかりました。

「あしたのジョー」で知られる漫画家、ちばてつやさん、御年82歳。
ちばさんは満州で終戦を迎え、大変な苦労をしながら
両親や弟たちと共に日本へ引き揚げてきました。
幼い弟たちの面倒を見るのは7歳になったばかりのちばさんの役割、
弟たちにせがまれて毎日のように絵を描き、お話を創ったことが
漫画家としてスタートだったと言います。
繰り返しちゃいけない、愚かなことをしてはいけないと、
戦争体験に基づくたくさんの作品を、ちばさんは描きあげています。

そんなちばさん、「人間としてできることって?」と問いかけられると、
穏やかに「漫画を通じて、人を元気にしてあげられたらいいな~」
「そういうことに気がつかなければ、タダの干からびた爺さんになっちゃうよ」
だから、ちばさんの作品にはエログロはありません。

私たち凡人には、みゆちゃんが教えてくれた闘争心や、
ちばてつやさんのような、漫画で人を元気にする才能も力もありません。
でも人間には、感情を表現できるコミュニケーション能力が備わっています。
やさしい目で、やさしい表情・笑顔で、そしてやさしい言葉で
話しかけてあげることって、AIにできるのでしょうか?
相手の言葉にうなずきながら、時に相槌を打ちながら耳を傾けることも
たまには年老いた親の手をつないで、いっしょに歩いてあげることも・・・。
伝わる温もり、人間だからできることですよね。

AI色に染まりゆく世の中、
うっかり人間力を置き去りにしてしまうことのないようにしましょう。

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J's B-press VOL.99(2021.06.30)

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コラム『明鏡止水』~コラム『明鏡止水』~テコンドー「好きは強さだ」 山田美諭さん~

アスリート職員・テコンドー女子-49kg級の山田美諭さんに、
いろいろとお尋ねしました。
身長168cm、スラリとした体形、手足の長さは短足短躯を旨とする
古典的日本人とは大きな隔たりがあります。
ホームページでも、営業店に掲示されているポスターでも
スラリと伸びた長い美脚は見る人の目を捉えます。

山田さん、空手道場のお嬢さんとして1993年愛知県に生まれ、
幼いころより門前の小僧、空手に親しんできました。
テコンドーはその空手が韓国にもちこまれ、アレンジされたスポーツで、
山田さんは中学に進学してからテコンドーを始めました。
体形や、空手で鍛えた運動神経は図抜けたものがありましたが、
今日までには、じん帯の損傷やリハビリ、幾多の試練があったようです。

さてテコンドーという競技、ルールは至って簡単、足のけり、拳の突きで
防具をつけた相手の胴や頭部を殴打するというものです。
試合は1分の休憩をはさんで2分3ラウンド、試合の様子などは当金庫の
アスリートサイトをご覧いただければお分かりになると思いますので、
サイトに載っていないことを少しご紹介しましょう。

体重別競技で山田さんの出場するクラスは-49kg級、
試合の3週間前くらいから徐々に体重を落とします。
食事の量と、炭水化物の制限、激しい練習によって減量をしていきますが
急激な減量は精神面で戦闘意欲にも影響しますので、
体重とメンタル面のバランスが崩れぬよう、苦労を要するとのことです。
以前は、前日計量でパスをすれば、試合当日は制限体重を何キロオーバーしても
不問とされていましたが、昨年から試合当日の体重も超過リミットは5%以内と
厳しく改正されました(一晩で7~8kgも増えてくる選手がいたためです)。

もう一点、よく問題にされるドーピングについてです。
ドーピングとは、筋肉増強剤といわれる薬物を使用して
筋肉を異常に増強させたり、興奮させたりすることを言いますが、
使用することによって、スポーツの公平性を損なわせる可能性があります。
現在スポーツ界での薬物使用は全面的に禁止されていますので、
ドーピングに対する検査はきわめて厳格に行われ、
違反者は即失格の処置がとられます。
禁止される薬物の中には私たちが身近に手にし、口にするものも多く、
市販されている漢方の風邪薬や滋養強壮剤も、
薬物として反応が出てしまいますから、
選手たちは使用する医薬品に神経をとがらせています。

試合前が緊張感のピーク、応援してくれている家族、友人、職場の人たち、
皆さんの顔を思い浮かべ「負けられない」と闘争心に火がつくそうです。
試合が始まると平常心が戻り全力を傾けての戦い、
特にポイント負けしているときは、
みんなの声が、ガツンと前に突き進む勇気をくれると言います。
強さの原動力は「テコンドーが大好き」、小さな顔とすっきりしたボディ、
目元やさしく肌のきれいな大和なでしこの山田美諭さん、
とても格闘技の選手には見えませんが強いっ!
活躍を祈りみんなで応援しましょう。

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J's B-press VOL.98(2021.05.31)

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コラム『明鏡止水』~なりたい職業「会社員」~

「大人になったらなりたいもの」アンケートの結果、
男子は小学生・中学生・高校生のいずれも「会社員」が1位で、
女子も中学生と高校生で1位だった、と話題になっています。

「会社員」という職業があるのかどうか、些か疑問に感じますが、
果てしなく続くコロナ禍、先行き不安の募る世の中に、「会社員」なら
安全・安心・安定を手にできるだろう、と考えての選択かもしれません。
昭和の高度成長期に「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~♪」
そんな歌が流行りました。
雇われるってしんどいけど、組織の中なら余計なことは考えなくていい、
出世なんかしなくたって、多少のことじゃクビにはならないし・・・。

ただ、現実はそんな甘いものではありません。
先輩後輩、上下の信頼関係とか責任とか、中堅になればそれなりに
背負うものも大きく重くなり、精神的に負荷がかかるのは当然です。
会社員に限らず、共通して難しいのは人間関係ですよね。

また、会社員といっても職種はいろいろ。
営業職もあれば企画・管理系、技術職や研究職もあります。
でもごく一般的な意味で、自分自身が独立してなにかをなす、というよりは
組織に寄りかかれる、そんなイメージがあるのでしょうか。
マズローの欲求の原則に「所属の欲求」がありましたね。
孤立しないように集団に紛れる、そんな感じかもしれません?

さて、社会人として世の中に出れば、
何らかの仕事に就かなければならないわけですが、
コロナ禍の世に「接触」「対面」を避けることのできない仕事もあります。
飛沫を防ぎつつも、問診・触診をしなければならないお医者さん、
口の中に手を入れなければならない歯医者さん、もちろん看護師さんたちも。
どんな現場でも駆けつけてくれる消防士さんや救急隊、時には下の世話も
しなければならない介護のお仕事、大工さんだって電気屋さんだって、
宅急便のお兄さんたちだって、とにかく挙げればキリがありません。
エッセンシャルワーカーの多くが、
何らかの組織・会社の中でご苦労されているのです。

先の調査で、会社員に次いで多いのはYouTuber、
チャンネル登録者数の多い動画には、露出度を期待してスポンサーがつきます。
その広告掲載料を糧とするYouTuber、職業として登場したのは2015年頃と
いいますから歴史は新しく、それで生計を立てられるのはホンのひと握りなのに
上位にランクされています。そしてプロゲーマーも。
こんな一攫千金志向もある反面、自信がなく安全志向に走る子供たちが
あまり深く考えずに「会社員」と記入したような気がします。
起業して失敗するよりは、はなっから「寄らば大樹」とリスクから遠ざかる、
そんな傾向は現代の風潮なのでしょうか?

澁澤榮一翁は「不自由が世の常と思えば、別に苦情も起きないし、
下らぬ心配もする必要もない、自分が志すところに進むべき」
こんな言葉を残されています。
コロナ禍、事業縮小・廃業・破綻の嵐の中、思い通りになんか
いくはずもありません。不自由を怖れためらう前に先ず一歩踏み出す、
人のもつ無限の可能性を信じたいものです。

(今回のコラムは、第一生命、日本FP協会、進研ゼミの調査を参考にしています)

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J's B-press VOL.97(2021.04.30)

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コラム『明鏡止水』 ~格差社会~

人生楽ありゃ苦もあるさ~♪  ご存じ水戸黄門の主題歌です。
勧善懲悪「水戸黄門漫遊記」は日本人の心根にぴったりなのでしょう。
テレビの世界では、かれこれ50年以上も繰り返し放映されています。
何十人でかかっても、助さん角さんは絶対に負けません。
人生涙と笑いあり、涙を拭いてさあ歩け、七転び八起きで最後にきっと
幸せをつかむことができるのが人生さ、黄門様は教えてくれました。
しかし、激しい格差社会の訪れは、苦があっても楽は約束されない、
ずーっと苦ばかりの人生を目のあたりにするようになってきました。

「K字型経済」「K字型決算」「K字型社会」・・・こんな言葉が、
メディアに最近よく登場するようになりました。
上と下に拡がるKの文字、つまり二極化という意味です。
そもそもは、コロナの影響で企業業績に大きな隔たりが生まれ、
株価に大きな格差が生まれていることを指すようですが、国民の間に
資産格差や所得格差が急激に拡大しているという意味でも使われています。
かつて、高度成長期のわが国は「一億総中流」の社会、失業率は最低、
所得は右肩上がり、住宅ローン花盛り、誰もが中流の幸せに浸った時代でした。
しかし、資本主義の世の中は、競争原理が基本の世の中でもあります。
世界で遅れていたといわれる中国、インドはIT大国といわれるまでに急成長、
築いてきた日本のうぬぼれ経済を、あっという間に追い越してしまいました。

市場を奪われた日本企業、遅ればせながら正規/非正規を問わず人員削減、
ITやAIによる合理化・省力化を進め、企業防衛を急ぎ始めています。
さらに、飲食・観光・小売などの業種にはコロナ禍が大きな打撃と変化を与え、
規模の縮小・廃業・破たんが増加、膨大な数の失業者が溢れ出る結果となりました。
2015年頃には15%程度であった年収200万以下のいわゆる貧困層、
コロナ禍の今、アルバイト・フリーターとして生活を凌いでいる貧困層は
40%を超えているのではないかともいわれています。

拡大する貧富の差に加えて、もうひとつ考えなければならない「K」、
それは、個人を取り囲む情報や知識の格差です。
この格差はそれぞれの「やる気」という意識に支えられるものですから、
やる気のあるなしが、優劣の拡大に加速度をつけていきます。

さて、4月は新入生の季節です。
学びましょう、若い頭脳にはいくらでも知識が詰め込めます。
これからの社会、他人に頼って生きる時代ではありません。
学生時代は、あなたたちが授業料を収め、先生を雇っていたわけですから
その対価として、いろいろなことを当然のように教えてもらえました。
立場が変わって、仕事をしてお給料を受け取るようになったあなた、
お給料の源である仕事とは、たくさんのお客さまに役立つ情報を提供し、
サービスを実践して、その対価を頂戴するという意味です。
お客さまは百人百様、求める「もの」や「こと」はすべて異なります。
金融・非金融問わずあらゆることに対応できる知識豊富な職員でなければ、
とても対価なんか頂戴できるわけがないでしょう。
黄門様がいれば助けてくれる? いえいえ、
苦の後に楽が向こうからやってくるなんて、あり得ない時代です。

貧からの脱出、苦からの脱出、それは学ぶこと以外に方法はありません。
寝食忘れ、目の色変えてもがき、苦しみと闘うことです。
これからさらに拡大していく社会の格差、自分の可能性を出し惜しみすると
格差のどん底をさまようことになる、それだけは確かなことです。

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J's B-press VOL.96(2021.03.31)

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コラム『明鏡止水』 ~身近に押し寄せるコロナ禍~

2020年7月のこのコラムに、
ブルックスブラザーズとレナウンの破たんをとり上げました。
消費者の購買パターンが、路面店からネットショップへと変化したところへ、
追い討ちをかけるようにコロナ禍による買い控え、売上の激減が引き金でした。

いつ終わるともわからないコロナ禍、一都三県の緊急事態宣言が
解除されたからといって、ワクチンの効果もいまだ怪しげな世の中、
マスク・密回避、外出自粛は心がける必要があります。
不透明で不安定な先行きに対し、誰もが不要不急な消費を避け、
少しでも手元にお金を蓄えておきたいと考えるのは当然のこと、
消費マインドに支えられた好景気は、戻ってこないような気がします。
そんな世の中の予兆は、信金をメインとしてくださる中小企業にも
襲いかかってきています。

江戸川のほとり。
「男はつらいよ」で、さくらと博の結婚披露の席が設けられた
柴又帝釈天の料亭「川甚」、コロナ禍と戦ったものの、
「いくらシミュレーションしても、明るい兆しが見えなくて」
との社長のことばを残し、今年1月、231年の歴史に幕を閉じました。
谷崎潤一郎や夏目漱石の小説にも、「川甚」で食事をするという場面が
描かれるほど、川魚料理ではご当地一流老舗料亭だったのに。

また、弊金庫尾久中央支店と長年のお取引を頂いた「割烹熱海」様も
2月末をもって103年続いた暖簾を下ろすことになりました。
目の前を都電荒川線が走り、庭のあるおしゃれな料亭割烹、
うなぎ、てんぷら、松花堂を気軽に楽しめるお店として
雑誌やテレビに何度も採りあげられていました。
ごひいき筋への長年のご愛顧に感謝しながらも「諸般の事情により」
店主の閉店ご挨拶がホームページに掲載されています。

西新井支店のお取引先、西新井大師の門前にある割烹料亭「武蔵屋」様、
こちらも江戸時代から続いた175年の歴史に幕を下ろしました。
新年に、商売繁盛、健康祈願の護摩札を受け、大混雑の武蔵屋さんの
お座敷で、雑煮やおでんに箸をつけたのも懐かしい思い出です。
名代の草だんごやくずもちが飛ぶように売れた昭和のころ、
弘法大師ゆかりの門前町の核として栄えた西新井の料理屋さんは、
残念なことに、ほとんどが姿を消してしまいました。

さて当金庫では、お取引先の景況感を
四半期ごとの調査誌にまとめ、発刊しております。
全般的業況、売上・収益の状況、経営上の課題、今後の戦略など、
日頃のお取引の中で伺うお取引先の実感をまとめた、地道な調査報です。
その調査では、先行きについてはほとんどが「回復は難しい」という
雪だるまマークばかり、日銀短観や、銀行・証券会社から公表される
中小企業の調査報より、遥かに厳しい雰囲気が読み取れます。
東京圏の商業地の公示地価も8年ぶりの下落報道、景気悪化の象徴ですね。

リモートワーク関連で一部にコロナ景気もあるようですが、
冷え切った庶民のマインドは、そう簡単に復活するとは思えません。
ニュースでは、巣ごもりに飽きた方たちが、花見酒を酌み交わす姿も
流れていますが、ホンの一部が誇張されているだけのこと。
失業者があふれ、収入が大きく減る、依然高水準のコロナ感染者、
ほど遠い安心、この解決できない不安は一体いつまで続くのか・・・。
しっかり足元を見つめ直して、生活設計を急がなければなりません。

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J's B-press VOL.95(2021.02.26)

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コラム『明鏡止水』 ~覚悟のことば~

いってきます  いってらっしゃい
ただいま  おかえりなさい

家庭で、職場で、何の気なしに日常的に使われている言葉です。
でも、こうした言葉の裏側には、「一期一会」の想い、
もう二度と会わないかもしれない、会えないかもしれない、という
人間としての覚悟を確認しあうような響きが秘められています。
「そんな大げさな~!」と思うでしょうが、
コロナが蔓延するご時世では、決して大げさな話ではありません。
志村けんさんも、岡江久美子さんも、ご自宅を出るときには
二度と会えない、帰れないなどと、思ってもみなかったことでしょう。

人々が、日々繰り返す小さな節目、
送りだす人の「いってらっしゃい」に、「いってきます」と応えます。
「いってらっしゃい」の言葉には、
「いいことがありますように」「嬉しいことがありますように」
そしてもっと大事なこと、「元気な笑顔で帰ってきてね、
コロナに抱きつかれないように」そんな思いがこもっています。
それをしっかり受け止めて、
「心配してくれてありがとー!」「心強い応援、嬉しいよ、頑張ってくるね~」
と思いを返すのが「いってまいります」なんですよね。

「でもオレ(わたし)一人暮らしだから」
そうのたまう、ちょっとおへそが横に曲がっているあなた、
今日までどれだけの人たちのお世話になったでしょう?
ちゃんと見てますよ、八百万(やおよろず)の神さまになって・・・。
ドアを開ける前に振り向いて、「いってまいりまーす」と
雄叫びをあげてごらんなさい、今日一日への覚悟がきっと変わるから。
言葉の力って拳より強く逞しいということ、忘れないようにしましょう。

私たちの仲間にも、仕事帰りの夜道で事故に遭った働き盛りの営業マンや
遠い昔、営業中に暴漢に襲われ命を落とした若者がいます。
「ただいま~」と口にできなかった無念さが思い偲ばれます。

思いがけないことの多い世の中です。事故、事件、災害はもちろんですが、
今は猛烈な感染力をもつコロナウイルスに、最大限の警戒が必要です。
思えば、首都圏に最初の緊急事態宣言が発令された昨年4月7日、
東京都の新規感染者数は87人でした。夏の第2波のピークでは470人前後、
二度目の緊急事態宣言が発令された1月7日には
なんと2,520人の新規感染者、前回の30倍です。
そして、このところ新聞の見出しは「二週連続で新規感染者500人を下回る」
ちょうど、梅は咲いたか桜はまだかいな~の季節、警戒心も緩みがちです。
「おおっ大分減ったな~、外出も三密も、そろそろ再開して大丈夫かな?」
報道に誘導される市民の心、
「一都三県の減少スピード鈍る」「宣言期間の最後まで対策徹底を」と
戒めを促すのが正しい報道ではないでしょうか。

戦に向かう戦国武将は、きっと「もうこの屋敷に戻ることはないだろう」
そんな覚悟をもって兜の緒を締めたことでしょう。
コロナ禍の今、同じ覚悟が必要な時代です。
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  J's B-press VOL.94(2021.01.29)

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コラム『明鏡止水』 ~梅のほころび~

頬をきるような北風に揺れながらも、梅のつぼみがほころび始めました。
わが家の小さな梅の鉢植えも開花宣言、
顔を近づけると、ほのかに春の香りが漂います。
誰にいわれなくても季節になると目を覚ます、「花に学べ、木に学べ」
どんな困難にも負けるな、昔からの格言ですが
コロナ禍のいま、あらためて胸に刻まなければいけませんね。

そんな梅の花、紅梅の方が早く咲き、ちょっと遅れて白梅が咲く、
ずっとそう思っていましたが、違うことを知りました。
そもそも300種以上ある梅、花の色とは関係なく、
品種によって早咲きとゆっくり咲きがあるそうです。
「梅に鶯」古典的な構図ですが、
ビルの林立する都会で、鶯を見ることはめったになくなりました。

そういえば、荒川の河川敷に散らばる小さな水たまり、昔なら
一月二月は厚い氷が張り、その上でスケートのまね事ができたものですが、
今は、踏めば割れる薄い氷しかお目にかかれません。
きっと温暖化のせいですね。
地球破壊につながる温暖化阻止のために、
CO2ゼロの社会を目指して世界が立ち上がっています。
カーボンフリー、再エネ、EV・・・ 残念ながらわが国は、
コロナワクチン同様、いささか立ち遅れの感は否めません。

便利になることを、豊かさだと勘違いしている多くの人たちを目にします。
一年で最も寒いこの時季、暖房器具が大活躍する頃でもありますが、
みんなが気にせず使い放題となれば電力逼迫、火力発電に頼らざるを得ない
我が国では、モクモクと煙をあげて大気汚染、温室効果ガスも排出します。
また、私たちが出すゴミ、産業廃棄物も同じこと、無造作に使い捨て続ければ
マイクロプラスティックが深刻な海洋汚染・生態系破壊を招きます。
寒ければ重ね着して、靴下も二重にはいて、電気や石油暖房の節約を、
ごみだって、ちょっとリサイクルに配慮すれば半減できるといいます。
「努力と工夫」とよく言われますが、
「我慢と工夫」の方が、いまの世の中には必要な気がします。

人間、生まれたときから死ぬことが約束されています。
葬式の主人公になるとき世話になる葬祭場、新設するとなれば
うちの近所はダメ!と反対運動、
ごみはたらふく出しながら、近くに焼却施設ができるのは猛反対・・・。
便利になることや都合のいいことには甘く、不都合なことや
己の環境が悪くなることには目を三角にしますよね。

すぐに「キレる」、これは我慢が足りない、まさに現代病かもしれません。
勝手がネクタイ締めて、スーツを着て歩いているような今の社会、
なんでも「速く、急げ」「怒りっぽい」「自己中」、ややもすると
苦労して今日を築いてきた多くのアナログ人間たちが置き去りにされてしまう。
人々の心が乾いてカサカサになってきているような、そんな気がする昨今です。

人にやさしいのが信用金庫、そうですよね。
一日も早いコロナ収束と、みなさまのご健康を願いつつ、
今年も役には立ちませんが、「明鏡止水」よろしくお願い申し上げます。

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  J's B-press VOL.93(2020.12.30)

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コラム『明鏡止水』 ~2021年に向かって~

「Go To トラベル」の全国的停止で、混乱のなか迎える年末年始、
皆さまにおかれましては、密の初もうでを避け、
静かに巣ごもりで年を越されることでしょう。
新型コロナ一色に染められた2020年、やっとワクチン治験が開始され、
効果に期待を寄せる段階となりましたが、人々の願いはただひとつ、
「感染の収束」です。

本稿では政治的な話題や思想的なものには触れない、という約束の下に
8年前スタートしたこのコラムですが、ことコロナ対策については、
政府の優柔不断さに憤りを隠せない文章になってしまいます。
人命にかかわるコロナ対策と、経済的に窮地に陥る企業の救済、
いずれも大事ながら、天秤にかければ人命の方が遥かに重いのは自明の理。
持続化給付金だって、小出しに増額して「こんなもんでどう?」
無いよりはマシでしょうが、十分というには程遠い額のような気がします。
どうせ将来に回るツケ、2~3ヵ月休業できるくらい支援をして、
徹底的にコロナを封じ、完全終息の暁に戻る国民の活力こそが、
目指すべきゴールのはずなのに。
陰に各方面からの陳情圧力があるのでしょうが、収束も見えぬうちに
接触を助長し密を加速させる「Go To」の採択、ネズミ算式に増える感染者、
その医学的対応や、委縮した世の中のマインド修復に、
どれだけのコストが必要になるのか・・・ 「大丈夫なの?」
政治への不信ってこんなことなのでしょうね。

コロナ封じ込めに成功しているオーストラリアの友人から
12月にこんなメールが届きました。
「当地豪州は、3月からのロックダウンが成功し、隣国ニュージーランドと
ともにコロナ抑制成功国でしたが、2ヵ月前、メルボルンを中心に再び
クラスター発生!間髪を入れずに2度目のロックダウンで抑制に成功。
日々、新規感染者数は10人前後で推移しております」
腹の括り方が、日本とはまるで違うことがお分かりいただけると思います。

かたや日本では重症患者が増え続け、病床は満杯、一般入院患者の
受け入れが不可能になると、病院関係者が悲鳴を上げています。
いくら巣ごもりをしても、ひたひたと巣の周囲にやってくるコロナ、
クリスマスコンサートに充満する密の報道を見るにつけ、
私たちも、緊張感や危機感が明らかに欠落している気がします。

常に新たな課題に囲まれるのが人間社会、AIの時代といえども
先進技術は決して万能ではありません。
何を優先すべきか、重要度をわきまえた剛毅な決断と実行、そして
それを事態が解決するまで徹底し、結果をだすことが大事です。
重要度の順番のつけ方、これを間違えると時に迷路に踏み込み、
解決どころか取り返しのつかない事態を招くことになります。
明らかに限界を超えている医療現場、今もし私たちが感染しても、
診てくれるお医者さまはいないかもしれません。
私たちにできること、徹底して密を回避し、清潔を保つ、
それぞれが全力でコロナに立ち向かう新年にしていきましょう。

もう二つ寝るとお正月、半分くらいのめでたさですが、
初春のお慶びを申し上げます。
あまり役に立たない「明鏡止水」、
2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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  J's B-press VOL.92(2020.11.30)

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【 1 】コラム『明鏡止水』 ~年の瀬に~

北区王子で、毎年大晦日の深夜から元旦にかけて行われる「王子狐の行列」、
お面やメイクで狐に扮した人たちが、行列をつくって練り歩きます。
「大晦日の夜、関東に棲む狐が集まり装束を整えて、王子稲荷に初詣」
という伝承を元に1993年から始められたものですが、
今年の行列は、残念ながらコロナのため中止となりました。

もうひとつの王子名物、春に花見客で賑わう飛鳥山は、約280年前に
8代将軍徳川吉宗公が、江戸庶民の行楽地として整備・開放したものですが、
今春の「北区さくらSA*KASO祭り」は、やはりコロナのために中止、
2021年も今のところ開催は難しいとのことです・・・

ところで、SARSやMERSなど過去のパンデミックでは、
潜伏期間の二倍の期間に新たな患者が出ないことをもって
WHOが終息宣言を出しています。
コロナに当てはめて考えれば、14日間の二倍、
28日間新たな感染者が出ないことが、終息の目安となるようです。

東京・大阪・北海道???未だに毎日数百人の新規感染を数える今、
終息という終着駅はあるのでしょうか?
思い返せば、小池都知事は3/30の記者会見で、都内の感染者数が
13人だったことを明らかにし、夜間から早朝にかけて営業している
バー、ナイトクラブ、酒場など接客を伴う飲食店での感染が疑われる事例が
多発しているので、密集・密着・密閉の「3つの密」を避ける行動を要請する、
と呼びかけました。
同じころ、当時の官房長官であった菅氏は、国内の現状について
「まだ緊急事態宣言が必要な状態ではない」と強調していましたが、
明らかな認識の甘さ、とんでもない状況を招いてしまいました。

そして11月下旬の三連休、日本医師会会長の感染爆発警告を無視するような
go toキャンペーンを囃し立てておきながら、都内の感染者数が連日500名を
超えると慌てて中止宣言、さらに飲食店に再度の時短要請をするお粗末さ。
国や地公体の優柔不断さには、いささか辟易とするものがあります。
助成支援を多額にして、一か月ロックダウンするくらいの気迫を込めた
「闘いの意思決定」がなければ、失われつつある国民の緊張感は
取り戻すことができないような気がします。

そうこうしているうちにもう師走、
昨年の年末は小学生とスマホ、SNSの危うさを取り上げ、
2018年の年末には、北海道を襲った地震とブラックアウト「災」の話題。
「コト」は異なりますが、人間社会はどうやら「危うさ」と常に隣り合わせ、
コロナに罹っても病院は満杯です。誰も手を差し伸べてくれないかもしれません。
君子「密」に近寄らず、己のことは己が守る、肝に銘じていきましょう。

正岡子規の随筆「夢」です。
『先日徹夜をして翌晩は近頃にない安眠をした。
その夜の夢にある岡の上にしだれ桜が一面に咲いていてその枝が動くと
赤い花びらが粉雪のように細かくなって降って来る。
その下で美人と袖ふれ合うた夢を見た。
病人の柄にもない艶な夢を見たものだ。』

夢でもいいからコロナが終息し、飛鳥山の満開の桜の下で、
友と思いきり肩を抱きあい、マスクもなしで密に返杯を重ねたいものです。

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  J's B-press VOL.91(202010.30)

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コラム『明鏡止水』 ~ミニストップ完全無人化~

コンビニ中堅のミニストップが完全無人化、との報道がありました。
深刻な人手不足に、非接触を求められるコロナウイルスへの対応も重なり、
無人化店舗への見直しを急いでいます。
他のコンビニも無人化を模索、ローソンは生体認証とスマホアプリを
組み合わせ、事前登録したクレジットカードで
レジを通さず支払いを済ませる仕組みを検討中だといいます。
高級スーパー紀ノ国屋では、欲しい商品を手に取ると
AIがカメラや商品棚の重量センサーで来店客と商品を感知、
無人レジで手早く精算・決済が完了する店舗を、今月オープンしました。
在宅勤務が増えた昨今、特に都心店舗で来店客の減少や売上低下を招き、
無人化によるコスト削減が最優先課題となっているようです。

このように儲からなくなってきたのはコンビニだけではありません。
金融機関もまったく同じことです。

菅内閣になって「地銀再編」という活字をよく目にしますよね。
つまり、金融機関の数が多すぎると競争が激しくなって収益が悪化、
結果的に経営不安が世の中に走る、そんな心配からです。
そこで、地銀に限らず金融機関は経営の効率化を急ぐことになります。
特に不経済なリアルの店舗は、デジタル化による合理化・効率化が急務、
これは会員組織の中小企業専門金融機関の信用金庫も同様です。

三井住友銀行は、2022年度までに国内店舗の7割を現金レス店舗にすると
発表しています。窓口の行員は、原則として現金の受け渡しを行わず、
どうしても現金が必要な方は、高性能の次世代ATMに委ねる計画です。
りそな銀行もみずほ銀行も経費率上昇から収益が大きく減少、
防衛策として、個人・法人の分離や店舗のスリム化に取り組んでおり、
今までのような総合型の店舗から機能別店舗へと、大きく様子が変わります。

このように、現金を一切取り扱わない金融機関店舗はもう珍しいことではなく、
預金の預け入れ、払い出し、為替、ローンの利用、資産運用などの相談も、
ご自身のスマホ・PCからネットで処理する日常が、間違いなくやってきます。

さて、ここで大きな問題がおきることになります。
スマホやPCはもとより、キャッシュカードやクレジットカードにも
懐疑的な方が多数いるという現実です。
言葉巧みにキャッシュカードを騙し取る詐欺が横行する昨今、
持っているから騙される、持ってなければ大丈夫。最新情報には疎いけど、
日常生活は今まで通り、現金だけで何も困らないし・・・。そうおっしゃるのは
お年寄りだけかと思ったら、中年の方にも意外と多いというデータもあります。

でも、そうした方たちにも、デジタル化の包囲網は忍び寄ってきています。
増えてくる無人店舗、現金不可での買いものには、クレジットカードや
プリペイド型のカードも必要でしょうし、そうなれば残高管理、
セキュリティーやID、PWの管理、次から次へと難題が押し寄せてきます。
使いこなせなければ日常生活に大きな差がついてしまう、
いわゆるデジタルデバイド、情報格差が大きな問題になるのです。

高齢化が進む中、金融庁は金融機関に対し、こうしたデジタル化の恩恵を
受けることが難しい特定の利用者へ配意せよと、促しはじめていますが、
どこの金融機関もどうしたらいいのか全くわからず、手つかずの状況です。
信用金庫のお取引先には、デジタルに疎い方たちも多いはず。
情報格差を解消するお手伝いも、私たちの大事な役割です。

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  J's B-press VOL.90(2020.09.30)

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コラム『明鏡止水』 ~ちはやふる~

少し前になりますが、かるたクイーンを目指すコミックを映画化した
「ちはやふる」、広瀬すずさんを主人公とする高校生のかるたバトルが
話題になりました。
「ちはやふる」は、後ろに「神」がワンセットになって導かれる
万葉のころからの枕詞(まくらことば)です。

ところでその神さま、十月には島根県の出雲大社で「全国神さま会議」が
開かれるために、私たちの周囲からいなくなっちゃうといわれています。
困ったときの神頼みができない、ちょっと不安な十月、神無月です。
出雲大社での議論には、健康祈願、病気治癒、金運上昇、縁談成就・・・
皆さんが日頃、神社でお願いするようなことが持ちよられます。
青森のカレと鹿児島のこの女性どう?
そんな話も真剣に討議されているかもしれません。
古典的なアナログの出会い系、お見合いサイトですかね。
案件処理の順番はお賽銭の多い順、人の世も神の世界もきっと同じです。
5Gの時代、地元にいながらリモート会議もできるはずなのに、
なぜか三密でのアナログ処理、宮司や巫女さんの衣装も古式豊かだから?

さて、全国神さま会議ではありますが、私たちの周辺の神さまが
全員いなくなっちゃうわけではありません。
ちゃんと留守番役の神さまも決められています。
恵比寿さん、金毘羅さんたちは大昔からお留守番役の神さま、
私たちの街や人々を守ってくれています。
間違っても貧乏神、厄病神は留守番せずに、
全国会議に参加して、悔い改めて欲しいものです。

平穏な年ならば秋祭り、収穫祭と神さまの出番が多い季節が秋なのに、
いずこの神事も、密を避け中止のおふれが出されています。

新しく発足した菅内閣、コロナ禍への対応も、かなり傾いてきた景気対策も、
どちらも重要ですが、どちらも解決は困難を極めます。
GO TOキャンペーンで戻ってきた人出、いろいろ検討を重ね決断した
規制の緩和ではありますが、少し前に開放策を打ち出したヨーロッパ諸国では、
コロナの猛威復活、再度ロックダウン実施の報道も耳にします。
新かんせんを利用して、人数制限が緩んだスポーツかんせんに、
そしたらコロナかんせん再び増加・・・なんて、シャレにならないですよね~。

「ちはやふる~、ちはやふる~」みんなで大合唱すれば神さまの登場?
ヤマトタケルがヤマタノオロチを討伐したように、
コロナのオロチを退治してくれることを願って、
とにかくマスク手洗い、密からの逃避、
ご自身でできる防御策は徹底してくださいね。

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  J's B-press VOL.89(2020.08.31)

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コラム『明鏡止水』~日の丸背負って~

まるで餌を狩る猛獣のごとく、歯をむき出しにして剛速球を投げるマエケン、
前田健太投手はMLBミネソタ・ツインズのエース。
コロナで試合数短縮のMLBで、今季はや4連勝の活躍です。
広島カープからロサンゼルス・ドジャース入り、
どう猛な表情からもわかるように、負けず嫌いが看板、中継ぎ要員を嫌い、
今年2月、先発投手での起用機会が多いツインズに移籍しました。
選手仲間からも愛されるマエケン、試合前に見せるマエケンダンス、
8月18日にはブルワーズを相手に8連続三振の快投、年俸11億円。
奥さんは女子アナの前田早穂さん、2歳年上のチャーミングな女性です。

2012年、日本ハムからテキサス・レンジャーズに移籍した
ダルビッシュ有投手、幾たびかの肘の故障を乗り越え、現在は
シカゴ・カブスでエース背番号11を背にマウンドに立っています。
8月13日にはブルワーズを相手に11奪三振、5連勝はメジャートップ驀進中です。
たてがみ揺るがすライオンもびっくりの長髪、
ハーフの魅力(?)小さな顔に195cmの長身、モデルも真っ青。
華麗なフォームから繰り出されるボールは変幻自在、その数10種以上。
対戦する打者に不気味がられています。
豪胆な投球とは裏腹に、災害への超多額の義援金、
大阪府羽曳野市に設立された「ダルビッシュ有・子ども福祉基金」などなど
ひたむきに社会貢献活動に取り組む姿は、ファンを一層惹きつけます。
奥さんは女子レスリングの元オリンピック選手・山本聖子さん、
年俸23億円。ふーーーん・・・。

マーくん、神の子、不思議な子、亡き野村監督の後世に残る代表的名言(?)、
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手も頑張っていますね。
楽天イーグルス最後の年の24勝0敗は、まさに神がかりでした。
ヤンキースに移籍してからも、昨年まで連続二桁勝利、名門チームの
先発ローテーションの一人として、その地位を揺るぎないものにしています。
重みのあるツーシームという変化球と制球力を武器に、MLBで通算75勝、
今シーズンはコロナの影響で渡米が遅れ、戦績はイマイチですが
これからの活躍が期待されます。
いかにも剛腕タイプのマーくんですが、実は無類のアイドル好き、
デミグラスソースのオムライスが大好物で、トマト・牡蠣が嫌いとは
なんともお子さま的?
マーくんとダルビッシュは仲良し、二人の滑稽なからみに
多くのフォロワーがついていることも、広く知られているところです。
奥さんはタレントの里田まいさん、年俸は23億円。
23億円って積み上げると何mなんでしょう?
それにしても、なぜか美人の奥さんばかり、中には何度か交換修理(?)
している方もいらっしゃいますが、所得に幸せも近づいてくるのでしょうか?

メジャー挑戦の先駆者には、野茂さん、長谷川さん、伊良部さん、佐々木さん、
イチローさん、松井さん、松坂さん、黒田さん、岩隈さん・・・そして大谷くん。
(なんとなく「さん」という雰囲気じゃないんですね、可愛いすぎて)
海を渡り、歯を食いしばって頑張った数多くの選手たち、
その活躍ぶりは、私たちに計り知れない喜びと自信を与えてくれました。
打たれてもっと速いボールを、
それも打たれるならバッターが驚くような魔球を・・・。
言葉の壁をも乗り越えての活躍、
「盤根錯節に遭いて利器を知る」強い男たちです。

収束が見通せないコロナ禍ですが、
きっと晴れる明日を信じて、今日も全力投球でいい汗かきましょう。

※盤根錯節に遭いて利器を知る(ばんこんさくせつにあいてりきをしる)
 根が絡まり節が入り組んだ木を切るときに、初めて斧の切れ味が分かるように、
 人間も困難な事態を迎えて初めてその真価が分かるということ。

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  J's B-press VOL.88(2020.07.31)

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コラム『明鏡止水』~ブルックスの破たん~

オックスフォードの生地でボタンダウンシャツ、三つボタンのブレザーに
ストライプのネクタイ、コットンパンツにコインローファー・・・
こう書いて「そうそう」と肯かれる方は、昭和の時代に青春を駆け抜けた方たち。
いわゆるアメリカン・トラッドの源流、
ブルックスブラザーズの経営破たんが伝えられました。

プールサイドに夏がくりゃ~♪ 
1960年代には「レナウン・ワンサカ娘」のテレビCMで一世を風靡した
かつての日本最大のアパレル企業、レナウンも破たんが報じられました。
市場で飽きられ始めていた昭和のビジネスモデルを引きずり続け、
過去の遺産を食いつぶしてしまったようです。

アパレル業界は、ユニクロの登場で市場が一気に塗り替わりました。
また、SNSの時代を迎え、LINEやTwitterが消費者の購買傾向に
大きなうねりを生み出しています。
伝統という大きな財産があるビジネスも、時代の流れを読み取りながら
対応のスピードを上げる工夫をし続けなければ、
あっという間に置いていかれてしまうという典型です。
そこにコロナ禍の追い討ち、破たんの嵐が吹き荒れ始めました。

海外旅行でハーツのレンタカー、ニューヨーク発のおしゃれなデパート
バーニーズ、そしてブルックス、レナウン・・・。
誰もが知っている業界大手が、次々に崩れ落ちていくのは大きな恐怖です。

そして相も変わらずコロナの猛威、東京だけでも感染者は連日200名を超え、
根本的な戦略のないまま8月に突入していきます。
全国知事会での賛否両論を尻目に打ち出された「Go Toキャンペーン」、
二転三転の末、東京除外という形で無理やりスタートしましたが、
東京からの観光客をあて込んでいた行楽地の観光業者の困惑ぶりは
気の毒の域を通り越しています。
ろくに根拠のないままアラートを解除したのが時期尚早、
感染爆発の第二波は、誰もが心配していたところじゃないですか。
補償とセットで営業を休止させればいいのに、自主的な判断と逃げるから
この体たらく、政治って、素人が考えるほど簡単なことではないでしょうが、
優柔不断とはまさにこのこと。
燃え盛る火に油を注げばクラスターは当然ですよね。

そんな中で迎えた7月後半の4連休、東京以外の地域の皆さんは、
日ごろの閉塞感を払拭しようと、行楽にでたご家族も多かったようですが、
どこに行っても手指の消毒と検温、ソーシャルディスタンス、
マスクにフェースシールド・・・ 十分に解放されたとはいえない感じです。
はて、これが「新常態」なのでしょうか?
積極接触を否定しなければコロナに対峙できないって、実に悲しいことですね。

大学では、入学してからずっと、オンラインを活用したリモート授業、
体温の伝わらない教室で、人脈もできず、進捗状況も確認できず、
教育格差が生まれると不満を抱く学生も多いと聞きます。
友情や愛情は、触れて伝わる鼓動やぬくもりから育つもの、
人と人の絆の大切さも、母親に抱かれ、父親に手をひかれ、
体温を感じながら肌で教えられたものでした。
隔たりを持ち何でもリモートの社会が、新常態なんかであって欲しくない、
そこを超えるもう一段の工夫が、今、求められているようです。

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  J's B-press VOL.87(2020.06.30)

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コラム『明鏡止水』~どぶ板からDXへ~

緊急事態宣言からアラートへ、そして6/19には休業要請の全面解除。
特効薬が発見されたわけでもないのに、
いかにもコロナを全面制圧したかの如くの緩和措置、
人の心理って甘きに流れるのは当然のこと、
週末の高速道路には渋滞が、観光地には人の密が戻ってきてしまいました。
世界ナンバーワンのテニスプレーヤー、ジョコビッチが
コロナに感染したという衝撃的なニュースが流れる中、
人数を制限しながら観客を入れると発表した日本のプロ野球。
確かに、無観客試合は観ていてもいささか間の抜けた感は否めませんが
ホントに大丈夫なのでしょうか?

世界の感染者は1,000万人、死者は40万人超、
都内でも毎日50名もの感染者を数え、収まる気配は一向にありません。
街頭インタビューでは「まだ早いのでは」「新たな感染者が増えているのに」
一般の方たちの極めて冷静なコメントが多く聞かれます。
「これ以上待てない!」「限界だ!」「破たんだ!」・・・と
事業者側から強い解除要請があったことは想像に難くありませんが、
専門家の多くは感染爆発第二波の可能性を否定していません。

緊急事態宣言の発出で、人々の自己防衛意識が高まったのは確かなことです。
私たちの日常生活においても、朝晩の検温、外出時のマスク着用、
石鹸での手洗い、うがいの励行、ソーシャルディスタンスの定着、
不要不急の外出自粛、3密の回避その他諸々、
感染予防に十分注意しながら、新たな日常に取り組むことが求められます。

さて、私たち信用金庫も、多くの制約を強いられたまま7月を迎えます。
地域密着、人との密着face to faceを旨とする信用金庫、
「密は禁」のコロナ時代では、仕事の進め方も見直さなければなりません。

地域の皆さんと肌を接しながら神輿を担ぎ、一緒に唄ったり踊ったり、
耳の遠いお年寄りには耳もとまで寄って喋り、必要ならば手を取って支え・・・
こうした日々の積み重ねで、地域とスクラムを組むことを
金科玉条としてきた信金ではありますが・・・。
コロナが世の中のDX(デジタルトランスフォーメーション(※))を加速させ、
信用金庫にも、密な仕事ぶりから距離を置き、リモートワークを駆使して
非接触取引の機会を増やすよう求めています。
集金にお伺いして、膝突き合わせて世間話、
地域のあれこれを教えていただくよい機会でもありましたが、
「会うことは暴力」こんな言葉もささやかれるように、
密着機会の多い仕事は、これから少しずつ消えていくのかもしれません。

会員組織の中小企業専門金融機関である信用金庫、
人縁地縁に支えられて、今日まで歩んできた私たちですから、
地域に「密着」して共に生きることは、これからも大事なことだと思います。
アフターコロナの世界では、仕事の進め方は明確に変えていかねばなりません。
しかし、すべてに一元一律の接し方、進め方があるはずもありません。
これまで訪問活動の積み重ねによって築いてきた濃密な「つながり」を、
デジタル技術を活用しながら、どのように築き、実現していくのか・・・?
足で稼ぐ伝統的どぶ板戦術からDX時代の戦略へ、
自身で考え工夫をしていくことが、時代の要請なのです。

(※) デジタルトランスフォーメーション(DX):
企業が、ビジネス環境の激しい変化に対応するために、データと
デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革していくこと。

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  J's B-press VOL.86(2020.05.29)

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コラム『明鏡止水』~日本の清潔水準~

2020/4/7に緊急事態宣言が発出され、
国民に対し、不要不急の外出自粛要請があってから約1か月半、
東京でも、5/25に緊急事態宣言解除の決定が発表されました。
誰もがホッとしたというのが本音でしょうが、油断大敵、気を緩めれば、
感染拡大の第2波・第3波を招く危険性があることを忘れてはいけません。
つまり、新型コロナウイルスは壊滅されたわけでもなく、
WHOが警告する通り、治療薬もワクチンも見つかっていないからです。
今まで通り「3密」は避け、マスク・手洗い・うがいは当然のこと、
Social Distanceも、新しい「日常」として励行しなければなりません。

さて、世界ではこのコロナウイルスによって多くの死者が出ています。
国別で多いのはアメリカ、イタリア、スペイン、フランス等、
いずれも、数万名の多きを数えます。
(武漢発といわれている中国は、情報統制があるのでよく分かりません?)
それに比べて、我が国の死亡者数は、5/27現在で公表 約850名、
諸外国と比べると圧倒的に少ないことに気づきます。
どうしてなのでしょう?
ウイルスの種類が違うという話もありますが、素人なりに考えてみますと、
日本は諸外国に比べて清潔な国なんだという結論に達しました。

例えばトイレひとつとっても、中国や東南アジアでは
なかなかお目にかかれないウォシュレット、日本ならば、
今やどんな田舎に行っても、当たり前のように設置されています。
欧州の一流ホテルでも、ウォシュレットが設置されている部屋には
殆ど出会いません。
またわが国では、蛇口をひねって出てきた水をそのまま飲むこと自体、
特に問題はありません。
この水道水、実は水道法という法律によって水質基準が定められ、
飲み水に適するよう、水道事業者がルールをしっかり守っているのです。
(水道法第4条「水道水の水質基準」)
上下水の品質とコロナで亡くなった方の数、相関ありと考えるのは
強ち見当はずれのことではないような気がします。
つまり我が国は、清潔度に対する基本的水準が高い
ということなのではないでしょうか。

コロナという災禍から、「もの」や「こと」に新たな景色が見えてきました。
医療、経済、国交、法人・個人の社会への参加の仕方・・・
なかでも一番大切なのは
「社会に対する人間としての覚悟」のような気がします。
マスクの買い占め、トイレットペーパーやティッシュの過剰な買い込み、
3密回避への自粛不足・・・。ひとりで生きてるわけじゃないのに
「自我」「欲」「勝手」に溺れかけている人を多く見てしまいました。

世界的に見ても清潔水準の高い「日本の水」に育てられた私たち、
社会に生きる人として、心の清潔水準も高めるきっかけになればと思います。

緊急事態という大きな試練から新たに見える形、
「一歩前に」  どなたも耳にしたことのあるクレジットですが、
勇気をもって強く前進することが大切です。

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  J's B-press VOL.85(2020.04.30)

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コラム『明鏡止水』君子危うきに近寄らず

若葉の香りを乗せた風に泳ぐ鯉のぼり、都電荒川線のバラが目ざめ、
菜の花が土手を染め、ホントは一年で一番うれしくなる季節なのに・・・。
いまだコロナウイルスを完全に制圧することのできない状況に、
だれもが戦々恐々の日々を送っていらっしゃると思います。
メディアの報道も「緊急事態宣言」「クラスター感染」「医療の崩壊」等、
ネガティブなものばかり、景気は著しく悪化が予測され、
明鏡止水もいったい何を書けばよいのか、戸惑いを覚えます。

素早くかつ豊富な情報社会です。
みなさま既にご存じのことばかりかもしれませんが、緊急事態につき、
米国ジョンズ・ホプキンス大学が公表している、
コロナに関連する説明や注意事項の一部を転載させていただき、
今月の明鏡止水とさせていただきます。

【以下、公表記事等の抜粋です】------------------------------------------
*コロナウイルスは生物ではなく、何層もの脂質(脂肪)でできた
 保護膜に覆われたたんぱく質分子(DNA)です。バクテリア
 などの生物ではないので、殺菌剤、抗生物質は役に立ちません。
*脂質の保護膜を破壊することができる石けんや洗浄剤は有効です。
 (石けんをたっぷりつけ20秒以上泡立てて擦ることで破壊されます)
*熱はたんぱく質を覆う脂質を溶かします。・・・25度以上の湯で
 手や衣服、その他、洗うことは効果的です。
*酢(酢酸)は脂質の保護膜を破壊できないので有効ではありません。
*より狭く限られたスペースではウイルスも集中しています。
 広い場所で換気をすることによってウイルスも少なくなります。
*食べもの、鍵、ドアノブ、スイッチ、リモコン、時計、パソコン、
 スマホ、机、テレビ、トイレなど手指で触る前、触った後も
 石鹸で手を洗うことは大事です。
*紫外線ライト(UVlight)や光線はウイルスたんぱく質を破壊します。
 たとえば、マスクの殺菌には紫外線ライトを照射すると完璧です。
 ただし、紫外線は肌や目に悪影響がありますので注意して下さい。
------------------------------------------------------------------------等々。

世界各地で800以上ものワクチン研究開発が急がれていますが、
未だ臨床段階、実用化には一年以上かかるといわれています。
既にある「アビガン」や「レムデシビル」等が、
抗コロナウイルスの治療薬として有効であることを祈る思いです。
緊急事態をなんとか脱却する方法が見つかって欲しいものです。

今のところ、私たちにできる唯一の防御法は、無用の外出を避けること。
外国では「stay at home」が合言葉になっています。
自分から、わざわざ危険な状況に首を突っ込む必要はありません。
穏やかな生活や人間関係を維持したいと望むのなら、
それらを守るための選択・努力をしなければなりません。

「君子危うきに近寄らず」「石橋を叩いて渡る」「念には念をいれよ」
「転ばぬ先の杖」「一寸先は闇」・・・先行き何が起きるかわからない、
常に慎重に振る舞えと、先人たちは度重ねて警告しています。
目に見えないウイルスとの戦いにおいても、教訓となる言葉です。
「石橋を叩いても渡らない」「さわらぬ神にたたりなし」
とにかく徹底的に逃げ回る覚悟が必要な世の中です。
見えない敵との戦いですが、必ず勝利をもぎ取りましょう。

※引用部分は下記を参考にさせていただきました。
・ジョンズ・ホプキンス大学 コロナウイルスリソースセンター
https://coronavirus.jhu.edu/covid-19-basics/faq
・ジョンズ・ホプキンス大学の感染症教授が作ったコロナウイルスの説明の日本語訳
https://ameblo.jp/bluecubeworld/entry-12588790748.html

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  J's B-press VOL.84(2020.03.31)

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コラム『明鏡止水』スマホ依存症の危険性

「パンデミック」「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」
な~んか分かりにくい用語が続々登場、
すべて新型コロナウイルス関連ですが、震源地は厚労省でしょうか?
重篤になる感染者の多くは70歳代・80歳代のお年寄り、
こんな横文字を使うより「ウイルス感染が爆発的に広がっています」
「諸外国では、外出を禁止する条例で感染を封じ込めようとしています」
と表現してくれた方が、ピンとくると思います。
緊急事態なのに、外国の報道からパクった用語を使ったりして
2020年の流行語大賞でも狙っているのでしょうか・・・?

ともあれ、新型コロナウイルスの猛威は、未だ止まるところを知らず。
手洗い、マスク、手袋、帽子、あらゆる対策を講じて防戦してください。
人ごみを避ける、十分な睡眠をとる、免疫力・抵抗力を高める食生活、
どれも大切なことですよ。

さて、今月は「スマホ依存人間」の急増についてです。
幼児にスマホやタブレットを持たせ、YouTubeを見せている光景は、
今や当たり前になってきました。
2歳までの子供にスマホやタブレットを見せたことがある親は85%以上、
このような状況が、これからの世の中にどんな影響を及ぼすかは、
数年先にならないとわかりません。
しかしながら、幼児・児童段階でのスマホやパソコンの多用が、
人と人とのふれあいの中で習得するべきコミュニケーション能力を
著しく劣化させることが懸念されています。

香川県では、18歳未満の子どもを対象に、インターネットやゲームの
利用時間を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例」が、
3/18の県議会で可決成立しました。
インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用が、学力・体力の低下、
さらには睡眠障害やひきこもりといった問題を引き起こす、という指摘への
対策の一つです。
とりわけ、射幸性が高いオンラインゲームには終わりがなく、
大人よりも理性をつかさどる脳の働きが弱い子どもが依存状態になると、
大人の薬物依存と同様に、抜け出すことが困難になるといいます。

一方で、ネット・スマホ依存でカウンセリングを受ける「大人」が
目立ってきているという現実にも、目を向けなければなりません。
ゲーム、ブログ、YouTube、ひたすら画面にのめり込む人々、
食事中もスマホを手放さず、子どもの世話も家事も疎かにして、
いい大人が深夜までスマホ漬け。
イヤホンつけて飲みもの片手、スマホを見ながらチャリ運転、
お婆ちゃんを撥ねて傷害致死、有罪判決を受けた女子大生。
自転車で一日中あちらこちら、ポケモン捕獲に夢中になるお年寄りも・・・。
見渡してみると、子どもたちばかりではありません。大人の世界でも、
新たな社会問題になっていることがお分かりいただけると思います。

若年・中年層のスマホ依存が急増し、テレビ離れが顕著になり・・・
世の中の情報取得の動きが大きく揺らぐ世の中、
メディアから発信される情報が、すべて正しいわけでもありません。
コロナ情報にしても、慌てず騒がず、落ち着いて行動選択をしたいものです。
しっかりと自分を見失わずに生きる、大変ですが、大切なんですよね~。

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  J's B-press VOL.83(2020.02.28)

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コラム『明鏡止水』コロナと免疫力

どこに行ってもマスクは売り切れ、本日の入荷はありません。
コロナウイルスによる新型肺炎の猛威は止まるところを知らず、
検査で陰性陽性を判定するのも追いつかず、
ウイルスを完全に叩く特効薬も見つかっていない今、
みなさまマスクや手洗いで精いっぱいの感染予防をして下さい。

ところで、このウイルスに感染して、
重度の呼吸困難に陥り、お亡くなりになる方がいらっしゃる一方、
陽性反応が出ても、無症状・軽症で済んでしまう方も多くいらっしゃいます。
この差って何だろう? 素人なりに考えてみました。
糖尿病や高血圧、呼吸器系に持病をお持ちの方、風邪をひいていたりして
体調を崩していた方たちが感染すると重症になるようです。
若く体力のある方、いわゆる抵抗力のある方の症状は比較的軽く、
快方に向かっているといわれます。

人間には、生まれながらにして母親から受け継いだ免疫力があります。
そして、それがどんな薬よりも強力な自己治癒力であるということは
誰もがご存じのはずです。
ところが現実には、痛けりゃ痛み止め、腫れれば抗生物質、関節痛や
皮膚病には副腎皮質ホルモン・・・、あまりにも薬に頼りすぎるきらいがあります。
世の中にウヨウヨしている風邪やインフルエンザの菌、
新薬で叩くから、菌も抵抗力をつけさらに強くなる、
その繰り返しが、現代の病と薬の関係なのかも知れません。

日本には古くからの「生薬」というものがあります。
どなたも耳にしたことがある、腹下しにせんぶりとかゲンノウショウコウ、
火傷にアロエ、できものにドクダミの葉をぺたんと貼るとか、
そんな野生の植物を生薬と呼んでいますが、
それぞれに効能があることはよく知られているところです。
これらは暮らしの中から生まれた薬の概念、原型なのでしょう。
風邪をひいたときに、擦りおろしたショウガと蜂蜜を湯に溶いて飲んだり、
のどが痛いとネギを手ぬぐいに包んで巻いたり、
歯痛にはこめかみに梅干しを貼りつけたり・・・。懐かしい思い出です。
春の七草・秋の七草、ニンニクやネギ等も、
それぞれ免疫力や抵抗力を強化させるご先祖の教えなのでしょう。

その免疫力の強化は、日々の食生活と密接な関係があります。
防腐剤や合成着色料、香料等、添加物まみれの食をあまり気にせず
召し上がってはいませんか? 少量だから大丈夫? いえいえ、
少量でも体内に取り入れ続ければ、免疫力は徐々に低下していきます。
最近はスーパーでも、小さなお子さん連れの奥さまが、
オーガニック野菜を手に取る姿が増えているそうです。
お子さんたちの免疫力・抵抗力を気にしてのことだと思います。

新型肺炎、感染予防の徹底が第一ですが、
運悪く感染してしまうことだってありますよね。
効果のある薬が見つかっていない今、
免疫力・抵抗力でウイルスを叩きのめし、治癒する以外に方法はなさそうです。
体の汚染をできるだけ避ける日常の食生活、健康で頑強な体作りを心掛けて下さい。

素人の勝手な思いですが、全く見当はずれなことではないような気がします。
目に見えないウイルス、くれぐれもご用心ください。
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  J's B-press VOL.82(2020.01.31)

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コラム『明鏡止水』令和二年のご挨拶

ちょっと遅い新年のご挨拶、令和の時代初の新年を迎えました。
風和らぎ、香しき花の香りただよう時代の到来を祈る令和、
万葉集にその由来をたどるとのことですが、
穏やかな時代の到来を誰もが願っています。

ところで、コラムをお読みくださっている方から
「マスコミではここ数年、不動産・株価に上昇の兆しがみられ
景気は回復基調、とする記事が多いのに、
明鏡止水では一貫して「中小の景気は極めてよろしくない」
としているのはなぜ?」そんな質問をいただきました。

別にリスクを過剰にみている訳でも、悲観論に偏っているわけでも
ありませんが、足で稼ぐ信金の真骨頂、営業マンが四半期ごとに
地域のお客さまから直にお尋ねした景況感を、独自にまとめると
こんな方向の結論になってしまうのです・・・。
そんな話をしていた矢先に、「企業倒産一転して増加へ」
日経新聞(1/10)に些かショックなタイトルを見つけました。
記事の概略は、リーマンショック以降減少傾向にあった企業倒産が
昨年辺りから急増したというものです。
人手確保の難しさ、後継者不在と競合激化、そして売上不振、
資金繰りの悪化、収益減少等々、中小企業は深刻な現実を迎えています。

また、身近な街角景気後退の実例もありました。
足立区の荒川河川敷にあった新東京都民ゴルフ場、
弊金庫新田支店の古い大切なお取引先でありました。
昨年十月の台風による大雨でコース全体が冠水、
水が引いた後に、ゴルフ場の皆さんが目の当たりにしたのは、
想像をはるかに超える堆積物がコースを覆い尽くしている様でした。
復旧には膨大な費用が見込まれ、再生はムリとの判断から
やむなく廃業の結論に至りました。
ゴルフ場、そして従業員のみなさん、
長年に亘るお取引、誠にありがとうございました。

世界の青木功選手が、キャディとして初めてゴルフクラブを持ったのが
このゴルフ場、年間二万人のファンが通った都心にもっとも近いゴルフ場、
輝かしい歴史をもつゴルフ場の廃業を惜しむ声が数多く寄せられています。
廃業という苦渋の選択をなさった社長さんは、
従業員さんの再就職斡旋に奔走、人減らしの世の中なのに、
年明けにはほぼ全員の再就職先が決まったとお聞きしました。
社長さんの涙ぐましいご努力に喝采を送りたいと思います。

信用金庫のメルマガコラムですから、お客さまから頂く身近な情報を中心に、
今年も足で稼いだ本音をお届けしていきたいと思います。
時には、マスコミの報道とは大きな隔たりがあるかもしれませんが・・・。

2020はオリパラの年、世界から大勢の人がやってきます。
インバウンド景気を期待する反面、新型肺炎など感染症の恐怖もあり、
マスク手洗い等、それぞれ自衛を徹底して下さいね。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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  J's B-press VOL.81(2019.12.27)

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コラム『明鏡止水』~幼児教育も信金戦略~

少子高齢社会の訪れ、信用金庫のホームページにも
その傾向を顕著に示す商品の文字が並びます。
年金定期、スーパー積金「熟年」、退職金複利定期、後見制度支援預金、
住み続けながら自宅売却、生活補填に「中高年応援ローン」・・・・・・。
(当金庫ではお取り扱いしていないものもあります)
世の中のターゲットがお年寄りであることは、紛れもない事実です。

地域に根を下ろす金融機関として、団塊の世代が全て70代に入った「今」
だけを見るなら、お年寄りに目を向けるのは間違いのない戦略だと思います。
しかし、ターゲットもいつかは世代交代していきます。
将来を見据えるなら、小さなお子さんたちに今のうちから
信金ファンになっていただく、そんな戦略も大事なことです。

過去にこんなお褒めの言葉を頂きました。
城北信金には、小さなお子さんたちが遊べるようなキッズコーナー
を ロビーの一角に設けている店舗があります。
ある日、埼玉県内のとある店舗に、シャッターが閉まってもぬいぐるみで
遊んでいる、小学校低学年と思われる女の子がいました。
そのまま帰すのは心配だから、と小学校に連絡したところ、
共働き家庭なので先生が迎えに来て下さるとのこと。
「待つ間、信金のお姉さんにお絵かきや折り紙で遊んでもらったの、と
とても嬉しそうに話していましたよ」
後日、校長先生やご両親から大変感謝されました。
この女の子の胸には、信金のお姉さんに優しく遊んでもらった記憶が
いつまでも刻まれることでしょう。

年金、介護、医療、とかく高齢者に目を向ける傾向の強い社会ですが、
子供たちの世界をもっと気にする必要がありそうです。

大阪では小学6年生の女の子が、SNSで連絡を取り合い
誘拐目的の男に拉致されるという事件が起きました。
遠く離れた栃木県で監禁されたものの、隙を見て逃げ出し無事に保護。
結果はめでたしなのですが、何とも不安の残る事件でした。

小学生がTwitterやFacebook、Instagramで見知らぬ人と連絡をとり、
親にも内緒でついていってしまう・・・。
子供とスマホ、どこまで許されるのでしょうか?
親子で利用ルールを作り使用制限をしても、子供たちの方が
スマホの操作には遥かに長けています。
親ならばSNSの危険性を詳しく知るべき、でも「言うは易し」で、
知ることができないから事件が起きるんですよね。
未知の世界に潜む危険、今後もっと大きくなる可能性があります。

親や学校とともに子供たちにしっかり手を差し伸べ、健やかな成長を
見守ることができるのも、地域に根を下ろしている信金だからこそ。
意識さえすれば、子供たちと触れ合う機会はいくらでもあります。
小児科に入院しているこどもたち、幼稚園、保育園、産科医院。
野球、水泳、サッカー、スケボー、スノボー、ダンスに音楽などなど、
ジュニアの試合や大会に足を運んで、一緒に時を過ごしてみるのもいいでしょう。
ネトゲ・対戦型ゲームに信金トロフィー、悪くはないと思います。

次世代の心をしっかりつかむこと。金融機関のみならず、
どんなジャンルであっても未来の繁栄はここにあり、です。

もう十二月、また師走! 複雑だからこそ、流れるときの速さが
さらに加速しているようです。今年も一年間ご愛読ありがとうございました。
向寒の砌、ご自愛召され、よき新年をお迎えください。
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  J's B-press VOL.80(2019.11.29)

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コラム『明鏡止水』~デジタルタトゥー~

私たちの周辺にある健康ランドやプール、スポーツジム、ゴルフ場等で
よく目にするこんな掲示。 「入れ墨のある方の入場はお断りします」
これはそれぞれの施設のルールによるもので、法的な制限はありませんが、
お見かけしないところを見ると、自主的に遠慮していらっしゃるのでしょう。
ちなみに町の銭湯では、背中全体に立派な彫りものを背負っている方を
時折お見かけします。
謝絶の理由は定かではありませんが、江戸のころ、前科者に入れ墨を
施したことから、現在も犯罪人の雰囲気が漂うということのようです。
近頃は、若者の肌にファッションタトゥーを見かけますが、
残念ながら、わが国では、欧米社会並みの社会的認知を受けているとは
言い難い気がします。

さて、今回のコラムは皮膚に彫る入れ墨ではなく、
SNSの世に彫られる「デジタルタトゥー」についてです。

ネットには毎日膨大な数の投稿が行われていますが、ご存知の通り
この投稿、一度upされた内容はそう簡単に消すことができません。
それどころか、好き勝手に背びれ尾びれを加えてあちこちに拡散され、
思いもよらぬ深刻な事態を招くことがあります。
SNSでの情報拡散は、災害時などに役に立つこともたくさんありますが、
反面、ネット掲示板や個人のブログ、ツイッターやyoutubeなどの
投稿内容から、誹謗中傷されたり、無実の罪を着せられたり・・・・・・
常に人目を気にしながら生活する羽目に陥ることだってあるのです。

このコラムでも何度か採り上げていますが、
SNS普及やAIの進歩によって便利さが加速していくことの反面、
人間の思考が追いついていかない場面も多く出てきています。

人間とAI、何が一番違うんだろう? 素朴に考えてみました。
どうやら記憶の正確さということになるようです。
人間の記憶って永遠ではありません。「あれっ、忘れちゃった!」
「そんなことあったかな~?」・・・よくあるパターンです。
齢をとればとるほど、その傾向は顕著になります。

ところが、ネットに書き込まれた投稿や情報は、ほぼ永遠に消えません。
情報が残り続ける様子が、身体に彫り込まれたら容易に消せない入れ墨と
似ていることから、「デジタルタトゥー」と呼ばれています。
ポジティブなものならばいざ知らず、ネガティブな情報を書き込まれると、
生涯引きずっていかなければならない・・・。大いにありうる話です。

小学校の先生が、後輩教師の顔面に激辛カレーを塗りつけたいじめは
記憶に新しいところです。その加害者4名の実名も、人となりも、
ほとんど瞬時にネットに晒されてしまいました。身から出た錆とはいえ、
彼らは多分、永遠に表舞台には戻ってこられないでしょう。
つまり、タトゥーを彫られてしまったと全く同じことなのです。

個人だけではありません、企業にも同じことが言えます。
職員の不用意な発言や行動は、凄いスピードで炎上、拡散していきます。
今まで築いた企業ブランドや商品イメージ、顧客の信頼は
一瞬にして崩れ去り、業績の悪化は避けられない状況となります。
最悪の場合、企業倒産に追い込まれる可能性すらあるのです。

一度書き込まれた企業の悪いイメージ、
これを払拭するには、長い年月と膨大なコストがかかります。
ネガティブなデジタルタトゥーを背負わされないように、
個々人は勿論、企業人としても自社に誇りを持ち、
常に清らかな言動を心掛けなければなりませんよね。
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  J's B-press VOL.79(2019.10.31)

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コラム『明鏡止水』~口コミの裏側~

神無月、あちこちの神さまがお出かけになっていたせいでしょうか、
台風や豪雨による河川の氾濫が、各地に大きな被害をもたらせました。
被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げると共に
一日も早い復興をお祈り申し上げます。

さて、ちょっとみんなで食事会を、飲み会を、そんな時のお店探しは
手にしたスマホでさっと検索、お店の総合評価を見て、メニューを見て
お値段を見て、そして口コミをご覧になって決めることが今流のようです。
ところが、この口コミ評価にいわゆる「ヤラセ」があるのではないか、
公正取引委員会が調査を開始したということをご存じでしょうか?

特に有料掲載サイトでは、運営側が恣意的に評価をコントロールしたり、
掲載順位を動かしたり、中には他の掲載サイトへのアップを制限したり・・・
そんな動きがあることはどうやら事実のようです。
確かに、口コミに誘導されてつい予約したものの、
「なんか違うよねー」と思いながら店を後にすることは少なくありません。
有料サービスの利用の有無が、掲載店の評価ポイントや掲載順位に
影響するような事実が認められれば、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に
あたるのでは、というのが公取委の主張です。

実際の購買者、使用者、利用者の口コミは、広告よりも信頼できそう、
その口コミがネットで簡単に読めるとなれば、購買行動への影響力は
今後ますます大きくなっていくことでしょう。
疑えばきりのないことですが、購買者・利用者を装って書き込みをする
ステルスマーケティングの罠も増えるはずです。
・・・と書いている最中にも、京都市出身の人気漫才コンビ「ミキ」の
2人がツイートした「大好きな京都の町並み!!だれでも京都市を応援
できるんやって!詳しくはここから!」という投稿が、やらせのステル
スマーケティングだとテレビで報道されています。
一般的ではなかったステマもどうやら社会的認知を受けたようです?

実はヤラセで書き込まれた広告宣伝を見破るには、高度な判断力を必要
としますが、みなさんくれぐれも慎重に、とだけ申し上げておきます。

また、商品の閲覧履歴・購買履歴を元にネット配信される広告宣伝、
削除や配信中止の手続きは意外と複雑、わざと分かりにくくしています。
継続的に購入していたサプリや毛生え薬(東国原さんご推奨の???)なども、
ほとんどが、ネット上のオペレーションだけでは停止や解除ができません。
最後は、手練手管に長けたオペレーターとの想像を絶する戦いを経て、
はじめて契約解除に至ります。それも「発送十日前のものは当月分支払え」と。
確かに解約条項には謳ってありますけど・・・。

老若男女、誰もがネットにすがらなければ動きのとれなくなる今、
思わぬ落とし穴にはまらぬよう、
購入者の意識をしっかり変えていく必要がありますね。

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  J's B-press VOL.78(2019.09.30)

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コラム『明鏡止水』~One for all All for one~

台風で送電塔が倒壊した房総半島は、ほぼ全域にわたり停電、
生活のすべてを電気に依存する今の時代、
多くの住人の困惑ぶりが伝えられています。
海と木々の緑にあふれる美しい房総、
病院や高齢者の介護施設も多いので、一日も早い復旧を祈ります。

10月、消費増税のスタート、コラムでも何度かとり上げましたが
実際に施行となれば、適用税率やキャッシュレス還元ポイント等々、
わかりにくさ故の混乱も多発するのではないでしょうか。
軽減税率の対象になるもの・ならないもの、ポイント還元率の低い
大販店の値引表示が招く混乱、月次集計還元ポイントの確認方法、
還元される時期・・・。統一されている訳でもなく、
安く手に入れる方法は簡単ではありません。
購入した際にはレシートをよく見ながら、疑問があればその場で尋ね、
しっかり理解をし、納得の上でお買い物をしていただきたいと思います。

話題の多い秋、北海道産秋刀魚が一匹500円!
昨年の倍近くのお値段に加えて消費税です。
不漁の原因は、温暖化による海流・水温の異変とも言われます。
国連でスウェーデンの高校生グレタさんが
「クリーンな地球にするために全世界が考えるべき」と唱えています。
私たちの住み続ける地球、よりよい環境づくりに対して何ができるのか、
真剣に考えなければいけません。
庶民の台所が、この先いつまでも、
秋の味覚の代表格「秋刀魚」の煙に包まれて欲しいですから。

そしてスポーツの秋。日本の各地で、ラグビーワールドカップ2019が
開催されています。ラグビー発祥の地、イングランドをはじめ世界の
強豪国が集まり、一流選手の豪快かつ華麗なステップを目の当たりに
できる機会は滅多にありません。
100kgを超す巨漢が、ボールを追いながら地響きを立てて
グランドを駆け回る凄さ、スクラムを組み激突する迫力、
また、NZのオールブラックスが試合前に演ずる
ハカという勝利への雄叫びダンス?
男の極致のような迫力を、ぜひご覧になって頂きたいと思います。
それにしても日本の快進撃、アナの絶叫「もう奇跡とはいわせない!」
私たちに勇気と感動をもたらせてくれました。

ラグビーの精神は「One for all All for one」という言葉に要約されます。
「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」
社会においても、家庭においてもそれは同じことだと思います。
それぞれ人間には課せられた役割があります。
その役割をしっかり認識して果たすことこそ大切なのです。
どんなことでもミスは必然的に起きるものです。
ミスを責めない、逆にフォローしていなかった己を責める、
紳士としての潔さ、そんな深い意味のある言葉でもあります。
For the team. For the community.
社会に生きる私たち、常に胸に刻んでおきましょう。
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  J's B-press VOL.77(2019.08.30)

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コラム『明鏡止水』~AIと人間力とのミックスバランス~

国内でいち早く無人レジを導入しているのがご存知ユニクロ・GUです。
既に利用なさった方もいらっしゃると思いますが、
確かに簡単でスピーディ!
店内を回り、自分の買いたいものをカゴに入れ、いくつか並ぶ自動レジ、
所定の位置に品物を置き「購入」のボタンをピッと押すだけ。
瞬時に「品数何点、トータルいくら」と表示されます。
後は指示に従ってオペレーションしていけばよし、
最終の支払方法画面にたどり着きます。
決済は現金、クレジットカード、デビットカード、何でもOK、
優待券、商品券との併用も、キチンと認識してくれるそうです。
支払完了後は商品を自分で袋に詰め、自動ドアから退店します。

速さの秘訣は、値札の間に仕込まれたICタグといわれる薄いチップ、
そのチップに一体化された小型アンテナから、
無線で店側のコンピュータに送られ処理されるのです。
ICタグには、商品内容はもちろん、価格に至る詳細が書き込まれて
いますから、瞬時にお客さまの見ている画面に表示されます。
その結果、今までレジに配置されていた人手は不要となり、
売上や収益計算、工場を出荷してから店舗までの物流管理も容易、
在庫管理や棚卸の手間を大きく省くことになります。

ところが、すべてをAIやコンピュータに支配させる無人店舗が
増えつつある一方で、そのような傾向にストップをかける動きの
あることも、知っておく必要があります。
中国では、顔認証とAIを組み合わせた無人店舗が、
次々に閉店するという現象が起きています。
「店が巨大なATMのようで暖かみがなく、
自分自身がATMに吸い込まれる一枚のカードになったようでイヤだ」
最初は物珍しく多くの買い物客で賑わいましたが、
徐々に客足が遠のき、閉店に追い込まれているのだそうです。

どんなにハイテク化が進んでも、自然な笑顔の応対、やさしい言葉の響き、
そんな人間のぬくもりが感じられないと、
物を買うお客は来ないということなのでしょうか?

確かにそうかもしれません。
店員のほとんどいない店内で、勝手に見て選んでレジに。
無言で支払いを済ませ自分でパッケージ、自動音声の
「ありがとうございました」に急かされて?自動ドアから沈黙の退出、
お客がたくさんいて、ざわついているのならまだしも、
人けのない建物の中でしんみり買い物、いくら欲しい品物を手にしても、
一人芝居のようで、なんとなく悲しい気がしませんか?

AIとIoTの融合が進めば、省人化・効率化経営はいくらでも可能になるでしょう。
でも、ときには野菜や果物、魚の鮮度やおいしさを、
プロに見立ててもらいたいことだってあるし、
「なかなかお似合いですよ」というお世辞の一言に
背中を押されて、買い物かごに入れるなんてことも・・・。
人間って、人間同士のふれあいがとっても好きなんですよね。

人は一人じゃ生きられない、人はたくさんの人で作られた社会に
生きる動物なんだよ・・・、幼いころに学校で習った記憶があります。
AIの進歩、人間社会とのミックスバランスがとても大事になりそうです。

暑さもどうやら峠を越え、秋の足音が聞こえてきました。
季節の変わり目です。皆さま体調には十分お気をつけください。

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  J's B-press VOL.76(2019.07.31)

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コラム『明鏡止水』~投資詐欺やら振り込め詐欺だらけ~

雨だらけの七月でした。
洗濯もの、やっぱり天日でカラッと乾かすのが一番ですよね。
すぐに立秋、季語に残暑が登場します。
海の家も人はまばらの夏でした。

十日ほど前の参院選、年金問題、消費増税の戦いでしたが、いずこの党も、
確たる論調もなしにいささか盛り上がりに欠ける選挙でした。
新たな政局に「景気はゆるやかな回復へ」と期待がかかるものの、
どうも掛け声ばかり、トンネルの出口は未だ見えていません。

今朝の新聞から拾い集めてみた言葉です。
工場閉鎖、減産、減速、減益、人員削減、純利益減、赤字拡大、
続く価格下落、値下がり、低迷、不振、衰退・・・etc.
もちろん「増収・増益」も登場しますが、影の薄さは否めません。
先行きの見通しが立たず、将来に不安を感じると、
なんとか安定した収益を求めたいと考えるのは人の常・・・。

空いている土地にアパートを建てませんか、
賃収は○%ですから銀行金利の100倍、200倍、
おまけに、貸家を建てることによって土地自体の評価が下がり、
相続税の軽減にも効果がありますよ・・・。
人口減で賃貸アパートの需要先細りが予想されているにもかかわらず、
必要資金は一括請け負います、賃料保証もします、そんな甘言に誘われて、
契約書に判をついてしまう資産家のなんと多いことか。
後刻、空室続出で賃料は見直し、挙句の果てに建築基準や消防法にも違反の
欠陥住宅と判明、建て主は憤懣のぶつけどころもなくオロオロ狼狽。

はたまた、年々10%価格上昇しているフィリピンの高層マンション、
完成する数年後に売却すれば、投資金額が150%で戻ってきますよ・・・。
ミャンマーやカンボジアも、似たような儲け話で溢れ返っています。

仮想通貨や海外事業への投資をめぐる「モノなしマルチ商法」、
SNSや友人の口コミに誘われて契約する若者が増えているようですが、
仕組みの実態が不明で損失が拡大することが多いと言います。
解約に多額の違約金を提示要求され、交渉が難航しているので助けて欲しい、
国民生活センターには、10代・20代からのそんな相談が急増しているそうです。

「総合消費料金未納分訴訟最終通知書」こんな葉書が舞い込みました。
要するに、「あんたが買ったものの代金を支払っていないから、
訴訟が起こされている。放っておくと給与や財産に差押がかかる。
イヤなら相談に乗ってやるから連絡よこせ」そんな内容です。
取り下げ最終期限は数日後、差出人は民事訴訟管理センターとやら、
連絡先は千代田区霞が関3丁目1番 03‐4329‐XXXX・・・。
まったく身に覚えのない通知、訴訟だ、差押だという文字に不慣れな方なら、
心配になって思わず電話をしてしまうかも知れませんね。
こんなものは無視して放置しておくのが一番です。
実際に電話をしてしまった方の体験談では、
多額の解決費用を振り込めとしつこく強要され続け、
中には支払った方もいらっしゃるとか。

不安につけこむよからぬ輩の多いこと、渡る世間は鬼だらけです。                         h
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  J's B-press VOL.75(2019.06.28)

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  コラム『明鏡止水』~安くない老後のコスト~

「夫婦そろって65歳から30年間生きると、
老後資金が総額で2,000万円不足する」と試算した、
金融庁金融審議会の報告書が話題になり、
大臣の問責決議にまで騒動が広がりました。

2,000万円不足というのは、総務省が毎年発表するデータ
「高齢夫婦無職世帯の家計収支」から弾き出されたものです。
65歳以上の夫と60歳以上の妻の夫婦のみの無職世帯における、
毎月受給する平均的年金から生活にかかる費用を差し引くと、
毎月5万円強の不足金が出る、というデータをもとに
向こう30年間生きると仮定すれば2,000万円程度の不足になる、
という単純な試算です。
サブの収入、家族構成、環境、欲する生活レベル等によって
家計の収支は異なりますから、目くじら立てて
どうこう議論するようなことでもなさそうです・・・。

ただ、信金マンとしてちょっと気になることがあります。
「明鏡止水」は責を問われるコラムではありませんから、
極めて現実的な発言もお許し願います。
先走って結論から申し上げますと、具体的にいくらという数字は
弾き出せませんが、少なくとも総務省の老後生活費の計算よりは、
遥かに高額なコストが必要になるような気がします。
人生は未知数だらけ、何歳まで生きられるかなんて誰にも分かりません。
医薬や医療の著しい進歩は、総じて長生き社会を作ることになりました。
ところが長生きはタダではありません。しかも、年々コスト急上昇という
ハードな現実があることも、覚悟しておかなければなりません。

また、現代ならではのコストもあります。
従来の考え方ですと、老後の生活で最大の支出は食費で全体の30%近く、
次いで住居費、光熱費、保険、医療、交通、通信、この辺りまでを年金で賄えれば、
後は預貯金の取り崩しでなんとかなる、というシナリオが一般的でした。
ところが、新たにデジタルコストが大きくのしかかってきたのです。

視力・聴力・記憶力・運動機能・・・高齢化は間違いなく衰えをもたらします。
日付時刻・スケジュール・お友だち交流・買いもの・生活関連情報の受信等々、
衰えつつある機能の補助ツールとして、否応なしにデジタル技術を
受け入れていかなければなりません。
つまり高齢であってもIT教育の受講は必要になりますし、
ハードはもちろん通信コストや初期設定費用も必要になります。
生活のあれこれがみなネット経由になりつつある現代、
デジタルコストは老後生活の基礎的支出といえるかもしれません。

とはいうものの、高齢だから・・・とネットを敬遠してきた人たちが、
使い始めて大いに若返った、なんて事例は、そこら中にいくらでもあります。
確かにコストはかかります。しかし、ネットによって豊かになる人の絆、
お金には代えがたい財産が、豊かな人生の支えにもなります。
積極的に学んで活用することが、最大の老化防止策ではないでしょうか。



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  J's B-press VOL.74(2019.05.31)

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コラム『明鏡止水』~女子やり投げ~

一昔前は、意味なく笑って、なんでも「sorry sorry」、
それが日本人だと、外国人から揶揄されていたころもありました。
簡単に人を信じ、騙すには格好のターゲットが日本人、
こうささやかれていたのも事実です。
しかし今では、そんな笑顔が日本人独特の「おもてなし」の表れであって、
信頼のスタート仕草であるということが、諸外国にも認められ始めています。
道を尋ねられたとき、遠慮しながら訊く相手に対して、
『大丈夫ですよ、教えてさしあげますから』と
微笑みながらやさしく応えている姿、
皆さんご自身も経験がおありだと思いますが、
私たちの周囲でよく見かける光景です。

学校内や街中で銃の乱射事件が起きるような外国では、
人に会ったらまず警戒しろ、
初対面でにっこりなんてまずあり得ないことだと思います。
先だってお帰りになったトランプ大統領、
安倍総理と一緒の画像がお茶の間に届けられましたが、
トランプ大統領の微笑みはホンのわずかでした。
日本独特で親しみを生むほほえみ文化、
初対面の人との間にもささやかながら信頼が芽生えているのです。
信用金庫の窓口でも、好印象を呼ぶクォータースマイル、ハーフスマイル、
警戒心を解きほぐし、信頼が芽生えるようトレーニングを繰り返しています。

さて、5月6日に女子やり投げで北口榛花さんが64.36mを投げ
4年ぶりに日本記録を更新しました。
北口さん、やり投げ歴は高校3年生からと浅いけれど、
小学生の頃はスイマーとして、中学生ではバドミントンの選手として活躍した
スポーツ万能レディー、東京オリンピック出場条件の記録を
日本新で大きく上回り、笑顔でインタビューに応じていました。
「日本記録にはびっくりしています。母親に幼いころから言われていました。
『笑顔にはなんでも引き寄せる力があるから、いつも笑顔でいなさい』」
ジュニアのころからオリンピックに出たい、いつか日本記録も出したいと、
母親の言いつけを守ってきた笑顔が、日本記録を引き寄せたに違いありません。
北口さんのお母さんも、バスケットボールの指導者として
活躍していたそうです。180cmという身長は母親譲り、体重は・・・?
北口さんの名誉のために、得意なのはスポーツだけではなく
偏差値66と北海道屈指の進学校である旭川東高校の卒業生であることも
書き添えておきます。

昔から笑顔千両といいます。
笑顔ってこころの中からでるものですから、
朝起きて「おしっ、体調万全!」、家を出るとき元気よく「行ってきます」、
私生活に満たされた日常がなければ、ホントの笑顔なんて出てきません。

観察力の鋭い人はネコも犬も笑うといいますが、
破顔一笑、顔を崩して大笑いする動物は人間だけのようです。
面白い、楽しい、思いを遂げた、欲求が満たされた・・・
一般的にはこのような時に笑いが湧き出ます。
純な赤ちゃんも、笑うのは「ご機嫌がいいとき」、
大人も子供も、笑うときの心の中は、
きっと快的な色に染まっているはずです。

人間同士、会話というキャッチボールをしながら親しみを深めていきます。
自分の思いを相手に伝えたいとき、
笑顔が大いなる武器であることは間違いありません。
にこやかな表情で語りかけると相手に受け入れてもらいやすくなりますし、
やさしい表情で耳を傾けるとなんでも話してもらえます。
そんな日々の繰り返しが、友の多い豊かな人生を築くことになります。
みなさんも、笑顔あふれるときの過ごし方を考えてみてはいかがでしょうか。

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  J's B-press VOL.73(2019.04.26)

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コラム『明鏡止水』~「ゆとり」が「ゆるみ」に~

 

いつの時代も、いじめや不登校児童の問題はあると思いますが、
自殺者がでるほど陰湿で悪質な集団いじめが横行する一因として、
週5日制や授業時間の短縮を盛り込んだ「ゆとり教育」が、
子どもたちに緊張感のない「ゆるみ」をもたらしたからだ、
と指摘する評論家も決して少なくありません。
ぬるま湯にどっぷりつかり、自己中心的で、厳しさを知ることのない
環境が若者たちに精神的悪影響を与えている・・・
文科省は多くの批判を受けて学習指導要領を見直し、
授業時間を元に戻し始めました。
詰め込み型教育を廃し、創造力を引き出すことが「ゆとり教育」の目的
でしたが、現実は「ゆとり」が「ゆるみ」になってしまったようです。

陰湿ないじめの増加とともに、もう一つ大きな問題が浮かび上がりました。
国際テストの結果から、日本の小・中学生の学力低下が明らかになったことです。
ゆとり教育で、宿題削減、偏差値追放、部活偏重を優先課題とした結果、
当然のことながら授業時間は3割近く削減されたのです。
年々複雑になり、厳しさを増す実社会で、自立して生き抜いて
いかなければならない若ものたちに対して、
授業時間は減らすどころか何倍にも増やさなければ
生きていくための情報量を取得できるはずはありません。
にもかかわらず、教育時間を短縮することだけが個々人のゆとりを生み、
創造力豊かな生きる力が芽生える方法だと論理づけた
文科省の学習指導要領に、不思議さを感じます。

一方、2017年に経団連と経産省の旗振りで始まった「プレミアムフライデー」
通称プレ金。個人消費喚起に働き方改革を掛け合わせた取り組みでしたが、
今では、早帰りを実施している企業ほとんどないようです。
家に帰っても奥さんの怪訝そうな顔にとまどったとか、
退社はしたものの居酒屋の暖簾はまだ出ていないとか、
スタートからあまり評判はよくありませんでした。
長時間労働やそれに起因する過労死、
非正規労働者に対する不合理な待遇差などの常態化が社会問題となり、
プレ金は緩和策の切り札だったのでしょうけれど・・・。

かつて、我が国は世界にほとんど類例を見ない全面降伏という敗戦を経験しました。
焦土と化した日本、文字通りのどん底から這い上がるために、
私たちの親や祖父母たちが、寝食を忘れて日本の復興に取り組んだからこそ
今日の繁栄があることは紛れもない事実です。
長時間労働、正規非正規労働者の不合理な待遇差・・・
国会でも採り上げられる議案ではありますが、
「何言ってんだ、仕事があるだけでありがたいと思えっ!」
三途の川の向こう岸から、怒鳴り声が聞こえてきそうです。

豊かになった日本、追いつけ追い越せでがむしゃらに走り続けてきたから、
ここらあたりで少し休憩?「ゆとり」や「プレ金」「働き方改革」は
単なる政府や省庁の人気取り?言葉の遊びのようにすら感じられます。
子ども達の教育レベルのみならず、企業の研究開発や科学技術の分野でも、
中国・韓国など諸外国に追い越されたと頻繁に報道されています。
忍び寄る不況・貧困の予感、のんびりしてるヒマ無いんだよ、と
つい言いたくなるのは齢のせいでしょうか?

モーレツ、スパルタ、熱血社員、昭和の名残でしょうか?
追いつけ追い越せで突っ走ってきたニッポン、ゆるさもいいけれど
ふと気がついたら置いてきぼりになっちゃいそうな気がします。
家庭も学校も、会社も、少し気を引き締める令和でありたいと思います。

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  J's B-press VOL.72(2019.03.29)

  

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コラム『明鏡止水』~街の卒業式~

食べログで高得点、書き込みで人気のお店がいくつか、
まるで卒業式のように、この春に閉店していきました。

グルメ評価3.8~4.1の浅草の天ぷら屋「天健」。
『楽しみにしていたかき揚げ丼。期待を裏切らない盛りの良さです。
ぷりっぷりの海老、イカ、帆立がたっぷり入った絶品、旨い旨い!』
『かき揚げが厚いんです。う?ん、美味しい』こんな書き込みが溢れてました。
80歳を過ぎた名店のおやじさん、
「もう齢でねぇー、立って揚げるのも辛いんだよ~、後継ぎもいねぇーし」
春先のある日、「長らくの贔屓ありがとうございました」
二度と開くことのないシャッターに貼り紙がありました。

赤羽の「COWBOY」。メインストリートからは少し離れ、
赤羽岩淵方向に進んでいった場所にあるステーキハウス、
地元客や口コミで広がったお客さんでいつも混んでいます。
OZビーフ専門店ながら、店主の肉に対する目利きと、
良心的な価格が人気の理由です。
『おしゃれ感はありませんが、気心しれた仲間内や家族でわいわい
するにはいい場所です。赤羽の名店ですね』これもファンの書き込み。
先日おじゃましたら、厨房からご主人が出てきて
「来月で閉店するんですよ。お客さんは来て下さるんですがもう高齢でね。
それと建物の老朽化、いつ倒れてもおかしくないんです。
といって、建て直してまた始めるのはもっと億劫でして・・・」

駒込駅前にあるケーキ屋さん「アルプス」、3月末で閉店との貼り紙があります。
昭和34年に開店、現在の店主は三代目。スワンシュークリームが絶品でした。
決してお安くはありませんでしたが、その品質のよさと、
大理石をふんだんに使った店内、東郷青児さんの筆による包装紙・・・。
下町には珍しい高級感あふれるお店でした。
クリスマスやお節句には長い行列ができる人気店でしたが、
原材料の値上がり、人件費の高騰、採算の取れない状態が続き
閉店に追い込まれたそうです。

川端康成さんご贔屓の店、直筆の推薦状が誇らしげに飾られていた
駒込「CADOT」。先代が、パリにある菓子の老舗CADOTで
修行を重ね免許皆伝、その伝承店として、
同じ店名を許され東京に開店した由緒あるケーキ屋さんでした。
このお店で修行し、孫弟子として巣立ったパティシェは全国に数知れず。
ご高齢と後継者の不在が、我が国のケーキのルーツである名店の灯を消しました。

惜しまれながら卒業された方たち、長いこと街を支えて下さって
ありがとう、お疲れさまでした。そんな感謝の言葉を贈りたいと思います。

さて、政府の景気認識は「緩やかな回復が継続」、後退局面にはないと
強調していますが、タクシーの運転手、小売店の店主、外食産業の従業員、
派遣従業員など、景気ウォッチャーの皆さんによる街角景況感では
景気は後退局面であるとの声も出ています。
先月の明鏡止水にも書きましたが、原材料の値上がり、人件費の高騰から
身の回りの消費財の価格はじわじわ上昇、消費者の唯一の防衛策は
買わない、我慢する。従って「消費は陰る」となるのが当然の結果です。

少子高齢化、後継者不在、消費の陰り、多くの原因が企業の存続に壁を作り、
かつて人気のあった街の名店が、卒業式を迎えたかのように消えていきます。
大手資本のスーパーが一人勝ちでは、住みやすい街にはなりません。
競争原理が働くから街は少しずつ良くなっていくのです。
地域の応援隊として、早めに手を打ち、存続させる方法を考えるのも
信用金庫の役割です・・・。

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  J's B-press VOL.71(2019.02.28)

  

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コラム『明鏡止水』~消費税率引き上げと家計~

 

2019年10月の消費税率引き上げが、
私たちの家計に大きな影響を与えることは間違いありません。

そもそも、消費税をはじめとする税金や社会保険料が、
私たちの家計にどの程度負担になっているのか?
その変化を知りたいと思いネット検索をしてみましたら、
官庁、経済研究所等の調査データが、山ほどヒットしました。
どのデータも、傾向は似ているものの微妙に違う数値、
しかしデータに付されたタイトルには、かなりの隔たりがありました。
どんな基準で調査対象者を選び、どのような質問・調査方法で
統計を取っているのか、その辺りはまさに藪の中、よく分かりません。

10月に向けて、増税負担に関する報道も増えることと思います。
マスコミによって調査方法が異なりますから、
同じ消費税をテーマとしていても、ニュアンスはさまざま、
2%の負担増を「大変だ!」と強調する報道もあれば、
キャッシュレスのポイント還元が負担を軽くするかのような報道も・・・。
書き方が区々になるのは致し方ありませんが、
大切なことは、報道を鵜呑みにすることなく、
私たち自身が冷静に消費税の負担増と家計を見つめ直すことです。

先日、テレビのインタビューに、年のころは40代とおぼしき
平均的サラリーマンをご主人にもつ専業主婦が登場していました。
たった一人の主婦が克明におつけになっている家計簿に、
どんな大量データに基づく統計よりも、極めて信憑性の高い、
税や社会保障費負担の大きさが赤裸々に語られていましたので
ご紹介したいと思います。

『5年間で所得は多少増えてはいますが、
結果的に手取り額は減っています。
その一番の原因は、税金と社会保険の負担が増えたことです。
5年前は所得総額に対して約12%だったものが、25%になりました。
食材の内容量が減って価格が上がるため、食費の増加は20%、
トイレットペーパーの巻きは短くなるし、ティッシュの枚数も減り、
カップヌードルも小さくなりましたよね。
光熱費、子供の教育費、諸々すべてが増えています。
結果として預貯金を減らすことになり、
まさかの時の備えや老後への不安が出てきています。
新聞やテレビで報道される「収入に対する負担増」の数値とは
かなり大きな隔たりがありますよ』
とため息まじりにおっしゃっていました。
これらの数値はこの方の家計簿の年次比較ですから、
公的なデータとは明らかに異なりますが、
どんな統計より説得力のあるものでした。

相互扶助を基盤とする信用金庫、
弱者救済は今の世にも燦然と輝きをもつ言葉ですが、
それ以前のところで自己責任が問われます。
税・社会保障負担が厳しくなる世の中、
自己責任で家計をしっかり守ろうと額に汗している一生懸命な人たち、
信用金庫はそういう方々を会員として成り立っています。
「転ばぬ先の杖」そんな格言が身に染みる春です。

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  J's B-press VOL.70(2019.01.31)

  

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コラム『明鏡止水』~ひげ裁判~

 

一年で一番寒いといわれる一月下旬、寒さにめげず
健気に花をつける梅、野良猫のBGMも季節の定番、
少し遅くなりましたが、みなさまにとりまして
幸多き年でありますよう新年のご挨拶を申し上げます。

さて2019年1月、大阪地裁は、「大阪市交通局(当時)がひげを理由に
運転士2人の人事評価を下げたのは違法」という判決を下しました。
大阪市交通局が設けていた「ひげは伸ばさずきれいに剃る」などの
身だしなみ基準を守らず、ひげを伸ばしたまま地下鉄を運転していた
職員が、評価を大きく下げられたことを不服とした裁判の一審判決です。
「(身だしなみ基準自体は違法とまではいえないが)
ひげは髪形や服装と同じで個人の自由、そのうえ着脱不能であり、
奇抜なものでない限り、職務命令違反とするのは不適切である」
というのが判決理由です。

(※「基準」と「ガイドライン」には、若干、強さの違いがあるよう
ですが、双方とも「守るべき目安、方向性」を示すものとして
ご理解下さい)

「社会人とひげ」について調べてみますと賛否両論、
激論が交わされていますが、どうやら「清潔感を伴えば」という
条件付きでOK、という支持者は多いようです。
そういえば、明治天皇も「ひげの殿下」三笠宮寛仁親王も
確か、ひげをつけたまま公式行事をお勤めになっていました。

さて、私たち信用金庫の役職員はどうでしょう。
城北信用金庫の「身だしなみガイドライン」には、
残念ながら、ひげに関する基準はありませんでした。
基本姿勢である「爽やかで好感が持てる身だしなみ」、それが
どのような姿かは自分自身で判断しなさい、ということなのでしょう。

どんなに小さな職場でも、暗黙の身だしなみガイドラインがあるのは
当然のことだと思います。
まして接客業、自分たちの話をお客さまに受け入れていただくことから
仕事が始まるような職種であれば、
守らなければならない「言わずもがなのルール」は当然にあるはずです。
あれダメ、これダメと制約を多数設けるより、
「地域の皆さまから信頼感と親近感を持っていただけるように」
とだけ基本を定め、後はあなたたちにお任せします・・・。
信頼こそ「やる気」のスタート、ということではないでしょうか。

被告側の大阪市長は、判決に憤り語気を荒げこんな発言を。
「なんだこの判決。控訴する。旧市営交通はサービス業。
身だしなみ基準を定め、そのルール自体が合法なのに、守らなくて
いいなんて理屈通らない。身内の倶楽部じゃない。公務員組織だ」
さて、控訴審の判決がどちらに傾くのか気になるところです。

当金庫では今のところ、ひげを蓄えた方の存在は
確認できておりません。でも、昔はいらっしゃったんでしょうね、
誇り高きひげの支店長さんも?

今年は平成最後の年、間近に迫る天皇即位、元号変更で、
10連休前後は、事務的にかなりの混乱が予測されます。
大きなトラブルが起きないよう、
慎重に準備をしてまいりたいと思います。
今年もご愛読、支援の程、よろしくお願いいたします。

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  J's B-press VOL.69(2018.12.28)

  

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コラム『明鏡止水』~師走~

 

今から60年前に創設された「レコード大賞」、
毎年大晦日に大賞が決定します。
昨年のレコード大賞は乃木坂46の「インフルエンサー」、
乃木坂の皆さん、レコードなんて持ってますかねぇ~?
レコードがカセットテープに、CDからデジタル保存に変わり、
レコードそのものを目にする機会は殆どなくなりました。
レコードがないのに、いまだに「輝く!日本レコード大賞」と
大きな活字がメディアに踊っています。
それを見て、あまり違和感を覚えないのも不思議な話です。
下駄も売ってないのに「下駄屋」、似たようなものですか?

さて、年の瀬に恒例となっているものの一つが
京都・清水寺貫主の揮毫による「今年の漢字」。
漢字一文字で表す今年の世相ということですが、
選ばれた平成最後の一文字は「災」でした。
ここ数年、「絆」「輪」「安」といった
比較的穏やかな雰囲気の漢字が多く選ばれていました。
今年は「災」、まさによくない出来事が多すぎたということなのでしょう。

北海道を襲った大きな地震、初めて聞いた「ブラックアウト」も、
今では違和感のない言葉になりました。
西日本の集中豪雨、直撃台風の猛威による大きな被害、
史上最強風速の記録もありました。
早い梅雨明けと同時にやってきた「災害級」の超絶猛暑、
すべてがかつて経験したことのないレベルでしたね。
多くの災害で多数の犠牲者が出たことも記憶に新しいところです。

越年は極寒・降雪注意報、
故郷が雪国の皆さま、くれぐれもホワイトアウトにご用心願います。
備えあれば憂いなし、
災難にしっかり備えようという戒めの意味を込めて
「災」に票を投じた方も、多数いらっしゃったのでしょう。

「災」・・・・・災害・災難につながる今年のできごとの中では、
高速道路上で車を停められ、後続車にはねられて命を失うという
悲惨な事故を招いた「あおり運転」も忘れられない事件です。
「危険運転」行為の認定をめぐって検察と弁護団が真っ向対立、
薄ら笑いを浮かべるあおり運転の容疑者、弁護する必要があるのでしょうか?
そんな思いを持ったのは私だけではないようです。
ハンドルを握るみなさん、くれぐれも穏やかな心でドライブを
心掛けて下さいね。

もう一点、年末の話題は医大不正入試。何十点も下駄をはかせての合格、
お医者さまは医学部という難関を経て国家試験に合格をした優秀な方、
というのが世の定番ですが・・・・・。
「先生、どちらの学校の医学部をご卒業ですか?」
「きちんと表門からお入りになったんですよね?」「まさか裏から!?」
と問い訊ねることが必要な時代?
迷医に遭遇、災難に遭わないことを祈る年の瀬です。

年が明ければ、いよいよ新元号のスタートです。
来年は元気の出る漢字が選ばれる年になって欲しいと思います。

一年間おつき合い下さいましてありがとうございました。

  新年がみなさまにとって、
      素晴らしい年でありますようお祈り申し上げます。

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  J's B-press VOL.68(2018.11.30)

  

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コラム『明鏡止水』~大谷翔平さん~

N自動車会長の所得隠し、衝撃的なニュースが流れました。
10億という年収も桁違いですが、隠したとされる金額も50億と巨額、
何千人もの役職員が戦った信金の年間利益ですら追いつかない金額です。
不正が確かなものであるのならしっかり戒め、
真実を詳らかにして欲しいものです。

とかく首を傾げる報道の多い昨今ですが、
MLB・LAエンジェルスで大活躍の大谷翔平選手、圧倒的な支持を得て
見事、新人王を獲得した明るいニュースも飛び込んできました。
ひじの手術でピッチャーは暫くお休みですが、
開幕から160km/hを超す豪速球で三振の山を築き、打っては特大ホームラン。
ベーブルースの再来といわれる二刀流の大活躍に、本場アメリカは勿論、
日本でもファンから圧倒的な賞賛と喝采を浴びました。
グランドを駆け抜ける大谷選手、興奮したアナウンサーの
「It’s SHOW Time!Ohtani Saaan!」は流行語にもなりました。

その大谷選手、プレーの活躍は言わずもがなですが、
グランドでのマナーがとんでもなく輝いていました。
ピッチャーとして回を投げ終わるとベンチに戻ります。
そして額の汗をタオルでぬぐいます。
使ったタオルは端をきちんと揃えて折りたたみ、
丁寧に自分の膝の上に載せ、戦況に目を向けます。

大谷選手は高校生の頃に、自分が目指すべき目標を72項目に整理、
「達成シート」として部屋に掲げていました。
その一部を転載させて頂きます。
「人間性」という項目、信頼される人間になるために、
礼儀を重んじ、感謝と思いやりを大切にする。
「運」の項目、審判さんへの態度、道具を大切にする、挨拶の励行、
ゴミ拾い等々。(審判に敬意を表し「さん」付けです。
運は自ら呼び込むものと確信していること、凄いと思いませんか?)

今やMLBの新人王、揺るぎない地位を手にしつつあるのに、
高校時代に誓った謙虚な言葉を、今も奢ることなく守り続けている姿が
画面を通して見られます。

ベンチに戻ると新人らしく後方の席に座ります。
そしてグラブを横に置き、その上に帽子をいつも同じ方向に載せます。
チェンジになるとグランドコートを脱いでマウンドに向かうのですが、
タオル同様、袖をそろえ丁寧に折り畳み自分の席に置きます。
ポップコーンやヒマワリの種、使った紙コップは床に放り投げるのが米国流、
いかにも磊落でかっこよく見えますが、
ヒマワリの種をそっとカップに吐き出す大谷選手の周囲には
次元の異なる空気が漂います。

フォアボールで出塁する時の大谷選手、バットは放らずグランドにそっと置き、
ひじ宛てレガースもバットの横に丁寧に置いて一塁に向かいます。

どれも日本的?で繊細な所作ではありますが、
多国籍混成チームの米国では、あまりお目にかかれない仕草のようです。
タトゥに染められたマッチョが多いメジャーリーガー、
「オータニ、オレの嫁にしたい???」と真顔で言ったとか?
市民権を得たLGBT、ちょっと心配です。

本稿でも、何度か「しつけ」について書かせて頂いていますが、
しつけって、学校や会社の机上で学ぶものじゃないようです。
見よう見まねの中で身についた幼いころのしつけは、歳月とともに
品格に成長して花を咲かせます。大谷選手のそれは、まさに大輪ですね。

教育、そんなに難しいことではありません。
あなたの背中が教育そのものです。朝晩のきりっとした挨拶、
「挨拶くらいちゃんとしろよっ!」を百回繰り返すより、
「以て範を示す」で用は足りてしまうのでしょうね。

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  J's B-press VOL.67(2018.10.31)

  

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コラム『明鏡止水』~お金のつかい方~

体に入ってきた細菌やウイルスをやっつける「免疫細胞」の存在に
気がついたのは大学帰りの電車の中、それをきっかけに、
免疫をつかさどる細胞の表面にある「PD-1」という新たな分子を発見、
この分子が、免疫活動のブレーキ役を果たすことを突き止めた・・・。
従来は手術、放射線治療、抗がん剤投与に頼っていたがん治療に
これまでとはまったく異なる免疫療法が加えられた瞬間です。

数多くのがん患者へ朗報を届けた京都大学の本庶 佑 博士が
今年のノーベル賞を受賞、私たちは、日本の生理学や医学の
頭脳レベルの高さを大いに誇りとしたいものです。

受賞会見で、本庶博士はこんな話をされていました。
「基礎研究からすぐに成果が生まれるものではありませんが、
そういうこともある、ということを実証できました。
基礎研究を長期的に続けられる環境が整っているかどうかが
重要なのです」
この言葉の裏側には、成果があるかどうか未知数の基礎的研究を
国や学校が、製薬会社や金融機関もあまり応援してくれない、
そんな不満が隠されているような気がします。

地味でなかなか成果のでない基礎研究、
しかし、基礎研究がなければ成果なんて望む術はありません。
即売れる、多額に儲かることが明らかでないと
投資を敬遠する傾向が強い日本、先行投資を惜しまない海外企業に
革新の芽をもっていかれてしまうことが続きます。

博士の言葉は続きます。
「ノーベル賞の賞金は、若手研究者を支援する基金を
(安心して基礎研究が続けられるよう)京大に設立したいと思います。
さらに、研究の成果である『オプジーボ』の販売で得られる
ロイヤルティーも基金に投じます」
お金の使い方には色々ありますが、実に豪快な使い方だと思いませんか?

信用金庫では、大切なお金を預金という形でお預かりしています。
預金者が亡くなりますと、一般的には相続人の皆さんに
遺産分割協議書を作成していただくことになります。
簡単にまとまればいいのですが、取り分の多い少ないを発端に、
親子兄弟で骨肉の争いを繰り広げる場面を見ることがままあります。
確かにお金って大切なものだとは思いますが、お金で人生が
コントロールされるなんて、およそバカらしいと思いませんか?
少ししかなくても、足りなくても、しっかりと人がお金を支配する、
それができてこそ、人間としての矜持だと思います。

赤はちまきのMr.ボランティア・尾畠さんの言葉をお借りして
今月の明鏡止水を締めたいと思います。

「お金って世の中で3番目か4番目くらいに好きです。
貯金はなく、月5万5千円の年金で生活していますが、
やりたいことをやるのに足りるので十分です。
1番大事なものは健康で、2番目は愛です!
子どもが「お父さん」、5人の孫が「おじいちゃん」と言ってくれる瞬間と、
人と会って話をしている時が一番幸せです」

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  J's B-press VOL.66(2018.09.28)

  

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コラム『明鏡止水』~羊頭狗肉~

北海道で発生した大きな地震、甚大な被害が発生しました。
犠牲となった皆さまのご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。

地震に見舞われた札幌の高層アパート(今はタワーマンションと呼ぶのが
一般的なようです)では、停電でエレベーターが動かず、断水も発生、
地震災害の都度、課題となってきた高層難民化が、今回も話題となりました。
地震大国の日本、また住環境のほとんどが電化されている現代では、
自家発電設備や大容量の水タンクを備えもったとしても、
高層住宅では、災害時にかなりの不自由を強いられるようです。

今月中旬に公表された基準地価、
新聞各紙は「地価上昇・地方の各所で」と大きく採り上げています。
国土の狭い日本、都市の中心部では空間利用以外に方法がなく、
住宅の高層化は止むを得ないことなのかもしれません。
タワーマンションの折込広告には「駅から3分、交通至便、眺望最高」と
魅力的な言葉が並び、今が買い時、お買い得と誘惑言葉の連射ですが、
実際には、高層であるがゆえの維持費の高さ、多額の修繕積立が求められ、
また、今回のように災害時には高層難民と化すことが、
改めて浮き彫りになっています。

地価(急)上昇、不動産投資のチャンス到来、と食指を動かす方も
いらっしゃいますが、中身をよく見ればほぼ横ばいか、わずかな上昇。
基準地と同じ土地であるはずもなく、
すぐ近くでも、価格が大きく異なることなんてザラです。
建物についても、マンションやアパートは間違いなく供給過剰、
少子高齢化の進展で空き家が増え続け、近い将来ゴーストタウン化する
ところがでるだろう、というのは、小学生レベルの算数の世界ですよね。

先月少し触れました某地銀のシェアハウスローン、
サブリース会社の破たんで、あっという間にとん挫しています。
当該行の広告には「100%融資、利回り10%以上、サブリース家賃保証付き」
あたかも投資しなければ損といわんばかりの謳い文句、
思わず飛びついた方たちの中には、早くも賃収大幅減額で返済できず、
破産に追い込まれた方も出ています。

加えて、投資の軍資金は、担保・保証人不要、金利は安く申し込み簡単、
すぐに融資が受けられる当行カードローンで・・・と、またまた広告。
そんな金融機関を「増収増益日本一」と囃し立てていた経済紙、
読んだ一流企業のサラリーマンや公務員が、絶好のカモだったとか。
お気の毒さまでした。

誰でも簡単に儲かる株式、狙いはこれだ。
古くは「絶対儲かる」を大看板にした投資ジャーナル事件、
間違いなく勝てるFX、今がチャンス!暴騰する仮想通貨・・・・・・。
人間社会はおとり文句だらけ、キツネとタヌキの騙しあいが歴史のようです。

羊頭狗肉、見出しに目を惹かれて読んでみたけれど、
中身はそうでもない、というのが世の常です。
様々な角度から見つめ直し、冷静な判断が必要なのは言うまでもありません。

ふと思い出しました、昔のFフイルムのコマーシャル。
「お見合い写真なので美しく・・・」
「Fカラープリントなら、美しい方はより美しく、そうでない方は・・・
それなりに」これぞ看板に偽りなし?
ひょうひょうとした天才的演技力の樹木希林さん、ご冥福を祈ります。

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  J's B-press VOL.65(2018.08.31)

  

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コラム『明鏡止水』~ボランティアの精神~

 

二歳の男の子が、とぼとぼ山道を登っています。
途中で疲れたのか、草むらに腰を下ろしお休み。
聞こえる流れの音に誘われてちょっと川面をのぞきに。
そのうち自分の居場所も、帰る家の方向もわからなくなりました・・・。

山口県で起きた二歳児の行方不明事件です。
大分県から参加していたボランティアのひとり、
尾畠さんの手によって、無事発見・保護されました。
無事に戻った子どもを抱いて、親御さんは「どうぞ風呂でも」「食事でも・・・」
ところが尾畠さん、
「対価・物品・飲食は絶対にいただかない、それは私の流儀です」
「他人はともかく、敷居を跨ぎ家の中に入ることもボランティアとして失格です」

こんな姿がテレビで流れると
「地位と名誉と金のためだけに生きている“老害”が多い世の中で、
国民栄誉賞ものだ!」「こんなシニアになりたい!」
ネットで称賛の嵐、赤鉢巻きの78歳ボランティアが、一躍、時の人に。
古来伝えられる「かけた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め」、
この方が言うと、やけに説得力のある言葉として胸に響きます。

かと思えば、「頼みがあるんだけど」「いいよ。その代わり報酬をもらうよ」
こんなやり取りが、「受託収賄罪」という厳めしい罪名でメディアを賑わせています。
子供を医学部に入学させたい。入学させてくれたら、おたくの大学を
ブランディング事業の対象校に選び、助成金も交付して差し上げますから。
入学試験に水増し加点をしてもらい、どうやら合格したようですが、
文科省のお役人で、大学支援事業の選択権限をもつ父上は、収賄で逮捕されました。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)に出向している文科省のお役人に、
防災システム業者やコンサルタント会社が、提案の採択を期待して
高額の飲食接待を常態化させていた事件も、記憶に新しいところです。

錚々たる学歴をおもちの高級官僚、本来ならば世の中のリーダーとして
人々を正しく導かなければならない立場ですが、
人間の基本形を学び忘れてしまったのでしょうか?
この暑い八月にメディアを賑わせた、あまりにも好対照な出来事でした。

さて、非営利・相互扶助を掲げる私たち信用金庫、
芯を貫く精神は、まさに弱者救済のボランティアのようなもの。
反対給付を求めることなく、地域のため、中小企業のために
多少泥臭くても、田舎っ臭くてもいいから
胸を張って業務に邁進しようではありませんか。

今年の夏は、各地で40℃を超す猛暑になりました。
以前、人間の平熱以上の気温の中では、体温調節機能が働かなくなって
しまうのでは・・・、そんな心配ごとを書いた記憶があります。
まさにそんな夏でした。
二百十日、野分の季節でもありますが、収穫の秋でもあります。
魚も野菜も果物も、おいしく安く手に入る秋であればいいと思います。
そういえば、今朝はサンマ大漁のニュースを聞きました。
今晩はサンマの塩焼きもいいですね~!

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  J's B-press VOL.64(2018.07.31)

  

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コラム『明鏡止水』~フェイクニュース~

 

連日の猛暑報道、どうやら日本列島は熱帯の仲間入りをしたようです。
信金の営業マンはもとより、炎天下でお仕事の皆さま、
くれぐれも、水分・塩分補給、日陰を選び、帽子を被るなど、
心して熱中症の対策をして下さい。

さて、ニュースを見る媒体は、新聞・テレビなどのメディアではなく、
FacebookなどのSNS、という人が最近増えているようです。
同時に「フェイクニュース」という言葉をよく耳にするようになりました。
虚偽、デマで作られたニュースのことですが、
SNSで拡散され、同調する人が増えると、
真実味を帯び、社会への影響力が極度に増加します。

最近、海外メディアが流した
「忍者の里・伊賀市が高給で忍者を募集中!」という偽情報が、
ネットで拡散されて応募者殺到、市役所が5か国語で
「フェイクニュースにご注意を!」と呼びかける騒ぎがありました。
また、フェイクというつもりはなく、冗談で作ったサイトが
SNSであっという間に広まってしまい、ミサイル攻撃の一歩手前まで・・・
そんな例も真顔で伝えられています。

こうしたサイトは、閉鎖させても、すぐまた別の名前で立ち上がるため
今のところ壊滅させる手段はなく、フェイクに引っかからないためには
受け手である私たちが自衛する以外に手立てがないようです。

フェイクニュースを見破るためには、どうすればいいのでしょうか。
先ずは、自身の良識・常識のレベルを高めること。
正しいものか、誤ったものであるか、
瞬時に見極める眼を磨く必要があります。
掲載されている画像や動画も、今の技術をもってすれば、
いとも簡単に加工されてしまいますから、
多少疑ってかかることも必要のようです。

偽物つながりで言えば、テレビの情報番組が、
視聴率を高めるために事実を歪め、ヤラセを仕掛けたとか、
大手家電メーカーが、株主の支持を得ようと粉飾決算、
いわゆるタコ配をしたり、株価の下落を防いだり、
金融機関からの資金調達をし易くしたり、
企業売却を優位に進めようと画策した・・・
これもフェイクですよね。
また、フェイクと紙一重の誤発表、
意図的ではないのでしょうが判断を誤らせます。
日銀統計で家計の投資信託保有額に30兆円の計算ミス、
個人金融資産に占める投信の割合は年々増加しているとの報道は誤りで、
実は減少していたというものです。
(天下の日銀が30兆円をミスる、ホントですかね?ひょっとして意図的???)

証券業界は「貯蓄から投資が加速した」
「元本保証のない投信にトレンドが傾いている」と囃し立てていましたから、
早速行動に移した一般投資家も多いはずです。
ところが真逆?これってフェイクじゃありませんか?

ともあれ、誰もがネットで情報入手の時代、フェイクだらけの荒波を
潜り抜けて生きていくには、自身の眼を磨く以外に方法はないようです。

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  J's B-press VOL.63(2018.06.29)

  

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コラム『明鏡止水』~ステルスマーケティング~

 

梅雨の真っ最中、関東では田植えの季節、
サッカー・ワールドカップで寝不足の方も多そうですが、
皆さまお元気にお過ごしのことと存じます。

購入し預けていたはずの晴れ着が、肝心の成人の日に届かず、
大勢の新成人が泣き寝入りをさせられた、
晴れ着販売会社「はれのひ」事件。
買ったはずの着物は、ネットショップで売りに出された可能性もある
という、かなり悪質な事件でした。
一生に一度の晴れの日に、青春の一ページを着飾ろうと
楽しみにしていた女性たち、中には、こつこつアルバイトで貯めた
なけなしのお金を振り込んだ若者も少なくなかったようです。

かたや、新聞・ネットで格安ツアーを宣伝し
多くのお客を集めていた旅行会社「てるみくらぶ」。
こちらも、代金未納で航空券が発券されていなかったり、
旅先でホテルの予約がとれていないという悪質な事件でした。
結局、経営難だった会社が、お客から集めた旅行代金の流用や
書類偽装による融資詐欺を行っていたことが明るみにでて破産、
経営者が逮捕され裁判になっています。
新婚旅行や仲よしとの旅が直前でご破算、支払った代金も戻らず、
楽しみが一気に奪われてしまうという悲惨なものでした。

こんな事件に共通している点があります。
「お客を騙すつもりはなかった」と言いながら、
経営状態が極めて悪化している事実をお客に隠していたことです。
クライアントである一般の人たちは、
そんな危うさをどう見抜けばいいのでしょうか?
実は大変難しい問題なのです。

ネット全盛の時代、「極上の品質!」「格安!」「今だけ!」などなど
魅惑的で、思わず飛びつきたくなるような広告が
毎日シャワーのように降り注がれてきます。
買った人、使ってみた人の口コミやら書き込み情報も加わって、
つい背中を押されてしまいがちですが、
そんな口コミの中にはステマ(※)と言われる
ヤラセのような情報も氾濫しているということを、
十分承知しておく必要があります。

朝から晩まですべてに疑心暗鬼になるのは考えものですが、
自分自身でものの真贋を見極める眼を磨かなければ
生きていけない世の中であることは確かなようです。

※ステマ ⇒ ステルスマーケティング
 特定の商品の広告であることを消費者に気づかれないように行う宣伝。
 販売会社の社員たちが一般消費者になりすまして書く口コミや記事など。
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  J's B-press VOL.62(2018.05.31)

  

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コラム『明鏡止水』~真実を知る難しさ~

 

関東地方の梅雨入りも間近、またうっとうしい季節がやってきます。
梅雨時の湿気っぽさはカビ発生の原因になりますから、
換気、除湿、室内清掃を心がけ健康には十分ご注意ください。

このところ、もっぱら話題は日大・アメフト部の反則行為についてです。
スポーツでそれなりに頭角を現すために、
厳しい練習を必要とするのは当たり前のことだと思います。
それは自分たちの心身を鍛え、力量や能力を高めていくという意味です。
しかし、相手チームの主力選手に怪我をさせ、
欠場に追い込み、戦力を著しく損なわせるなどという、
およそスポーツにはあるまじき行為の事件が起きました。
自チームを勝利に導くためにはなんでもあり、
そんなことを監督・コーチが教えるはずはないと信じたいのですが・・・。

直接の加害者であるプレーヤーが実名・顔出しでお詫び会見、
後を追うように監督・コーチが記者会見、
双方の釈明に大きな隔たりがあったことは、
みなさんもよくご存じのところです。
さらに、被害者である相手チームが記者会見し、
納得できる説明があるまで定期戦を中止することも視野に入れ、
真相の解明を求めていると報道されています。

本コラムでも、昨年6月、真相が誰にもわからないままうやむやに
なってしまうことを「やぶの中」というタイトルで書きましたが、
今回は責任の所在をはっきりさせ、誰もが納得する釈明と
再発防止策を公表することが、スポーツの正義には必要だと思います。
学生スポーツの本分は、プレ社会人としてフェアイズムを学ぶことでもあります。
歪んだ価値観で指導することは、厳に戒めなければいけません。
一日も早く、誰もが納得する解決を示して頂きたいと思います。

ところで、スポーツの世界のみならず、
メディアの進歩は複雑な社会と多様な価値観を生み出し、
専門的知識がないと、真実がどこにあるのかわからないことも増えています。

将来にわたって安定的な賃料収入があるから、それで返済は可能、
万が一借り手がなくても、賃料の保証会社があるから安全です・・・。
そんな謳い文句でシェアハウスの投資家を勧誘したS銀行。
案の定、部屋をシェアするという習慣のあまりない日本社会では借り手が少なく、
賃料保証をしてくれるはずの会社も破たんしてしまいました。
投資家(といっても一般の人です)の多くが多額の債務を背負い、
収入の安定どころか、足元の生活設計も破壊され路頭に迷っています。

本来であれば、担保不足、自己資金不足ということで
審査で不合格になったはずのお客さまなのに、
金融機関側が勝手に自己資金残高の粉飾をしたり、
土地建物の価格を水増しし、担保価値を引き上げたりして、
ローンの基準をクリアさせたという話も伝わっています。
それでも、融資判断は適正であったと未だに強弁する金融機関、
真実はどこにあるのでしょうか?

賃料保証があるから安心、とは伝えても、保証会社の倒産可能性は盲点。
それぞれの立場で勝手な考え方、話し方をすることが多い世の中です。
「騙されやすい社会」とも言えます。くれぐれもご用心なさって下さい。
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  J's B-press VOL.61(2018.04.27)

  

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コラム『明鏡止水』~女人禁制~

 

大相撲春巡業でのこと。
舞鶴市長が土俵上での挨拶の途中、くも膜下出血で倒れました。
観戦に来ていた女性看護師さんが、機転を利かせ土俵上で心臓マッサージ、
この救命措置のおかげで、市長は一命を取り留めたそうです。
まずはめでたし、めでたしのはずなのに、主催者の相撲協会からアナウンス、
「女性の方は土俵から下りてください」
救命措置中の女性は大いに戸惑いを覚えたと報道されました。

土俵はなぜ、いつから女人禁制なのか?
いろいろ調べてみましたが、明確な結論に達することはできませんでした。
中には、相撲は国技で神事だから女人禁制なんだ、という説もありましたが
少なくとも、相撲が国技だという法的な定めはどこにもないようです。

古くは日本書紀にも記録があるという相撲、
獰猛に取っ組み合って投げ飛ばしたり、叩き伏せたり・・・
戦いに勝つことへの憧れは、人間のもつ闘争本能そのもののようです。
戦国時代には、尚武の機運を高めるために上覧相撲が行われ、
優勝者には多額の賞金が授与されたとか。
力士は諸侯に召し抱えられているのが一般的だったので、
諸侯は屈強な大男を探し出しては雇い入れ、俸禄を与えながら、
横綱を目指して稽古をさせたようです。

さながら、持ち馬で日本ダービーや天皇賞の制覇を夢見る
平成の馬主さんと似たようなお話。
そう考えると、国技で神事だから当然に女人禁制、と言い切るのも
なにやら怪しい感じがします。

まぁ、ハイヒールで土俵にボツボツ穴を開けるのは
如何なものかとは思いますが、
人工呼吸に駆け上った女性、なにか問題があるのでしょうか?
しかも、蘇生術を施した労をねぎらって金一封かと思いきや、
土俵の穢れを大量の塩で清めたとか。
相撲ファンにはお叱りを受けるかもしれませんが
女性が穢れを運ぶとは思えませんが・・・?

閑話休題。男性だけで演じる歌舞伎、女性だけで演じる宝塚の舞台、
世の中には異性を交えない社会が未だに数多くありますが、
長かった男尊女卑の風潮が廃れ、
男女に差別のない機会均等社会に変わっている時代、
伝統だから、というだけで頑なに変えない、変わらないことには
些かのムリがあるようです。

「不易流行」という言葉があります。松尾芭蕉の説く俳諧の理念です。
時を超えて変えてはならない本質、それは大切にしなければなりません。
しかし、世の中の変化に沿って表情を変えていく程度の柔軟性を
持ち備えていなければ、世の中においていかれる、そんな意味です。

IoTの進化は
「行かずに/会わずに用が足せる」時代の到来を告げています。
当金庫も、投信インターネットサービスやアプリバンキングなど
時代の進化に沿ったサービスに取り組んでいますが、
やっぱり、お客さまの顔を見ながらのふれあいは大切にしたいもの。
どんな時代になっても、ヒューマンタッチがすべての基本です。
信用金庫のface to face、絶対に変わってはいけない本質ですよね。
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  J's B-press VOL.60(2018.03.30)

  

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コラム『明鏡止水』 ”そだね~ ”

最速の開花宣言、飛鳥山の桜も満開、「アスカルゴ」に長蛇の列、
桜の下での宴、春爛漫の候 いかがお過ごしですか?
東京に唯一残る都電荒川線、桜にラッピングされた城北信用金庫号が
誇らしげに走る季節でもあります。
三寒四温、そして花びらを舞わせる春の嵐、花粉も全開のようです。
とかく体調を崩しがちな端境期、みなさまくれぐれもご自愛ください。

さて、2018平昌冬季オリンピック・パラリンピック大会は、
3月18日のパラリンピック閉会式ですべての幕を閉じました。
連日、メダルを目指す熱い戦いに日本中が沸きました。
オリンピック憲章に記される「友情、連帯」を実現する
スポーツの神髄かもしれません。

ところで、先月はスピードスケートの小平選手のスピーチについて
触れましたが、今月はカーリング娘の活躍について、
少し思いつくところがありましたので書き記しておこうと思います。
カーリング女子の銅メダル獲得は、大いに賞賛されるところではありますが、
それ以上にマイクを通して流れた選手同士の会話、
「そだね~」が俄かに脚光を浴びました。

相手のストーンを指さしながら
「まずこれを出すことだね」 『そだね~♪』
「ここ半分よりちょっと厚めに~」 『そだね~♪』
オリンピックのメダルを争っているという極度の緊張感の中なのに、
菜の花に染まる土手でピクニックをしているかのような
のんびりとした北海道弁、ゆるキャラブームの世の中に
なんの抵抗もなくなく受け入れられたようです。

ふと考えてみますと、私たちの日常、家庭の中でも職場でも
「だって」や「でもね」が氾濫していることに気づきます。
そして「だって」や「でもね」の後に続く言葉は、
相手の言い分に対する反論が一般的です。

一方、カーリング娘たちの「そだね~」には、
相手の意見を尊重し肯定する自然な響きを感じます。
社会の中で、人と人の合意形成は
言葉をキャッチボールすることによって築かれていきます。
いきなり「でもね」と切り返さず「そだね~」とワンクッション置く、
同調することによって相手方の自尊心を傷つけることなく、
やんわりと意見の一致にたどり着くことができるようです。

常に仲間との連携を大切にしながら進めていく団体プレイ、
スクラムの原点は「そだね~」にあり、という気がしました。

一人じゃ何もできない複雑な世の中、笑顔で「そだね~」の
あふれる社会であれば、何事もうまくいくような気がします。
どなたの家庭、職場にも簡単に応用のできるカーリング娘流
チームプレイの極意「そだね~」をぜひお試しください。
きっと丸く収まりますよ。
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  J's B-press VOL.59(2018.02.28)

  

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コラム『明鏡止水』~~2018平昌冬季オリンピック~ 

数々の思い出を残して、2018平昌冬季オリンピックは幕を閉じました。
ジャンプの高梨選手、フィギアの羽生選手、カーリング娘たち・・・
選手の活躍は、むせ返るような興奮と感動をもたらしてくれました。
手に汗しながら「がんばれ」と国民の心が一つになるのは
スポーツのすばらしさなのでしょう。

またメダリストたちは、その弛まぬ努力と経験に裏打ちされた
心に残る言葉をたくさん残してくれました。
スピードスケート女子500mの金メダリスト・小平奈緒さん、
「求道者、誰にもできない究極の滑りを求めています。
次々と面白いことが出てくるので、どこが満タンなのかわかりません。
理想を達成すると、また次の理想が見えるような・・・
見つけた理想を言葉にしてしまうと、それに捉われてしまいそうだから
口にしたくありません」
「オランダの武者修行で知った大海、ゴールはまだまだ先」と。

感動のゴール後、銀メダルの李相花選手の肩を抱き、健闘を称えながら
「あなたがいたから強くなれた、今もあなたをリスペクトしています」
国を越えて喝采が贈られたこの姿は、まさにオリンピックの目指すところ、
競技以上の華を見たような気がしました。

有頂天ではしゃぐわけでもなく、冷静にご自身を見つめてのコメント、
支えてくれた数多くの人たち、そしてライバルに感謝を捧げ、
「金メダル、これからの人生が大切です」と
重みのある言葉で締めくくっています。

一つの達成で満足することなかれ、満タンはまだ先。
ライバルがいて、切磋琢磨するから強くなれる。
ものには、光の当たる面があれば、必ず隠れた影の部分があります。
オリンピックの舞台に立てるという、眩いばかりの光の向こう側には
紙一重で落選してしまったアスリートがいます。
金メダルが銀メダルを称える、そんなライバルを思いやる心こそ
オリンピックの目指す肉体と意志と知性の均衡ということなのでしょう。

私たちの人生、力を出し惜しみしてはいないだろうか。
自分勝手にここが限界と決め込んで、投げ出してはいないだろうか。
まだまだ、夢を実現できる可能性は十分にあるはずなのに・・・。
怠け心に負け、横着をして、つい忘れがちになることを
トップアスリートたちは言葉にしてくれました。

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  J's B-press VOL.58(2018.01.31)

  

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コラム『明鏡止水』~平昌オリンピック~

大寒も過ぎ、いよいよと本格的な寒さが身にこたえる季節となりました。
全国的に記録的な寒波の訪れ、東京でも20cmを超す積雪がありました。
慣れない雪かきで、普段使わない筋肉の痛みに顔をしかめた方も
多かったのではないでしょうか。

寒さと共にインフルエンザも猛威を振るっています。
当金庫でも、医者から自宅監禁命令を言い渡された(なぜかニッコリ?)
職員がかなりの数を数えます。
今年のインフルエンザは、悪寒・発熱・頭痛・鼻水と
かなり辛い症状を伴うようです。
うがい、手洗い、人ごみでのマスク着用等、
感染予防対策はしっかりなさって下さい。

さて、韓国平昌で開催される冬季オリンピックが近づいてまいりました。
当金庫にも、フリースタイルスキー・ハーフパイプのアスリート
鈴木沙織さんが職員として在籍しています。

鈴木さんは昨年2月、ワールドカップの公式トレーニング中に
右ひざ半月板を損傷、スキー選手にとって生命である膝の関節を
怪我してしまいました。
一年後に控えたオリンピック、手術をしても
滑ることができるようになるまでには半年以上かかるとの診断、
泣き腫らし落ち込んだ日々を過ごしました。

しかし、一流のアスリートは
精神的な立ち直りにも素晴らしいものがあります。
術後僅か数週間でトレーニング開始、致命的とも思える9ヶ月のブランク後、
10月にニュージーランドでスキートレーニングを再開。
12月のワールドカップで12位、そして1月のワールドカップで5位と
見事な成績で不屈のカムバックを遂げるのです。

スポーツ選手に怪我はつきものですが、リハビリ日記を拝見しますと
強じんな精神と肉体が備わっていることが、ビンビン伝わってきます。
こうと決めたらその目標に向かってあらゆる努力を傾ける、
世界に通用するハイレベルなアスリートが
「努力に勝る天才なし」を身を以て教えてくれます。

オリンピック選手の鍛え方と比較するのは、
とんでもないことではありますが、
私たちの周囲、ちょっと肩が、ひざが、腰がと、
どこか痛くないと一人前じゃない、
痛みは当たり前のような会話が飛び交います。
痛みを感じて気づく「普通のありがたさ」、
ついうっかり、ちょっとムリして、度が過ぎて、傷めてからでは手遅れです。
日々、身の丈に合ったトレーニング程度は続けて
普通を維持する必要があるようです。

多少の痛さや辛さは経年劣化、我慢も大事です。
40年50年使い続けて無傷、
そんなこと、車や家電には絶対ありませんよね。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
「丈夫な体」は向こうから勝手に歩いてはきません。

寒本番、「明鏡止水」今年もご愛読の程よろしくお願い申し上げます。

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  J's B-press VOL.57(2017.12.29)

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コラム『明鏡止水』~検査とリスク~

城北信用金庫のメールマガジンを創刊したのは2013年4月1日、
もうすぐ5回目の新年を迎えようとしています。
なんの役にも立たないコラムです、とお断りしておきながら
図々しく掲載し続けられましたのも、
多くの方から頂きました励ましの言葉に背中を押されたからこそ。
改めて感謝申し上げます。
そしてこの暮も思いつくままを書き殴り、
皆さまと一緒に新年を迎えたいと思います。

少し前のお話ですが、池井戸潤さんの小説がドラマ化され、
主人公・半沢直樹の「倍返し」が流行語となりました。
池井戸さん自身が金融機関のOB、その経験の中から
「オレたち花のバブル組」では、金融庁の検査の光景が描かれています。

ここで描かれる金融庁の検査というのは、
1999年に創設された「金融検査マニュアル」に基づいて、
貸出資産を中心に、その回収の可能性を厳格に切り分けし、
貸倒引当金の十分性を徹底的に追及するものです。

当時、バブルの崩壊とともに、多くの金融機関が
多額の不良債権を抱えることになり、引当が十分できずに、
存続が危ぶまれた金融機関も少なくありませんでした。
いわゆる貸倒リスクをどのように認識しているか、
その準備としての引当ができているのか、
金融検査における査定は、どこまでも苛烈かつ容赦ない残忍なものです。

お客さまからお預かりした大切な預金を、
慎重に運用しなければならないのは当然のことであります。
「リスクは限りなくゼロに近づけろ」それが金融庁側の主張です。
貸倒リスク以外にも、運用面で市場リスク、為替リスク、金利リスク等
厳しくリスク認識を求められます。

ところで、リスクとは「ある行為によって危険に遭う可能性」のことをいいます。
何か起きると、必ず「そのようなことが起きるリスクは認識できたはず」
「リスク回避を怠っていたことに問題がある」「その責任は・・・」
こんな展開になります。
あらゆるデータを使い、どんな些細なリスクも見逃さず、
すべてを予見し、引当を十分積み、リスクに備えろと求めてきます。
確かにリスクを認識することは大事ではありますが、過敏なまでに、
時には過大と思えるような引当(ヘッジ)を求める仕組みって、
臆病で、およそ機械的で、まるで干からびた社会のような気がしませんか?

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務める
日本人ヴァイオリニスト第一人者の樫本大進さん、
座右の銘は「No Risk, No Fun」。
こんな言葉に、大いなる喝采を贈りたいと思います。

コンマスに求められる最大の能力は、オケの仲間や指揮者の意見をよく聞き、
全体がうまく運ぶようにするための調整能力です。
でも彼は、あえて様々な意見をぶつけ、本番直前まで議論を促します。

リスクがあるから能力が発揮できる、完璧じゃないから面白い。
リスクのない人生、そんなのちっとも面白くないじゃない、
存在そのものが否定されたような気がして。
未知にチャレンジする己が熱い・・・。
そんなことをおっしゃっているようです。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
リスクなんて言葉があるはずもない2000年前のことわざ、
胸に響きます。

一年間のおつきあいありがとうございました。心より感謝申し上げます。
お揃いでどうぞよいお年をお迎えください。

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  J's B-press VOL.56(2017.11.30)

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┃   コラム『明鏡止水』~ICタグ~
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今年も一か月を残すばかり、インフルエンザが猛威を振るっています。
うがい・手洗いの励行で、元気に年末をお過ごしください。

振り返りますと今年も色々とありました。
特に企業の雇用問題においては、
合理化を背景に人員削減、正規雇用の縮減が加速しています。
収益改善を目指すメガバンクの店舗統廃合や大幅な人員削減の公表は
耳に新しいところです。

さて、その加速する省人化の話題を少し。

アパレルやコンビニなどの小売業では
レジ業務の省人化が進んでいます。
購入した商品を手かごに入れて、無人のレジゲートを通ると
商品につけられたICタグをレジが一括で読み取り、
瞬時に精算され請求金額が表示されます。
お客さまが入店時に認証させたクレジットカードや
店のオリジナルカードによって、支払いも完了します。

海外に出かけるときの出国審査、
チップの埋め込まれたパスポートをかざし、
登録された指紋認証と顔写真の照合で出国手続きを完了します。
自動化ゲートの導入で、長蛇の列をつくった出国手続きは昔の話。

鉄道駅では、それぞれがICカードを自動改札の読み取り口にタッチ、
「ピッ」と鳴らして皆さんお通りになります。
高速道路のゲートでは、ETCカードの内容を
遠隔で読み取ってゲートが開きますから、
駅の改札だって、いちいちタッチは不要だと思いませんか?
赤ちゃんを抱いたお母さんや、両手に荷物をもった人たち、
ポッケやバッグに入ったSuicaをごそごそ探すことなく、
遠隔で読み取るのはいとも簡単、
そんな日はすぐそこまで、いわば人間ETC?

セルフレジ、自動読み取り機の導入は省人化を可能にし、
精算精度も著しく向上させ、
世の中のスピードアップを次々に実現していきます。

バーコードが世に出て、
レジ作業の爆発的な短縮が実現したのは約40年前。
ICタグの無線読み取りによって、また一歩、
人手不要の世の中が創りだされていくようです。

しかしながら、そんな世の流れに抗うように
とある風景写真家が言ってました。

「日本海の荒波を背にポツンと建つ駅舎にレンズを向けます。
最果ての地にも人の営みはあるのです。
シャッターを押す指先から、
ややもすると忘れ去られる故郷の原点を伝えたい」と。

「あさがおに つるべとられて もらいみず」(加賀千代女)
AIって、人の優しさや繊細な神経を表現できるのでしょうか?
汲みあげた桶に朝顔のツルがプッツンと切られ浮かんでいる。
明日の朝顔がなくなることなんておかまいなしに・・・。

便利になること、合理的にものごとがすすめられること、
大いに結構なことではありますが、人の住む世の中、
少しくらいのムダが情緒だったりするのかもしれません。

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  J's B-press VOL.55(2017.10.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~数字~
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今月は数について少し考えてみたいと思います。
小学生の頃でしょうか、校庭の片隅で飼っていたウサギの世話役を
生徒の中から決めることになりました。
子供のことですからみんなやりたくて仕方がありません。
結局、手を挙げた者の中から数名を選び、
輪番制を敷くことになりました。
そして担任の指導の下、多数決という方法で
世話役を決めた記憶があります。
そんなことがあってから、ものごとを公平に決める方法は
多数決であると幼心に信じ込んでいました。

さて今回の衆議院選、与党の圧勝という結果になりました。
一票の格差を疑問視する裁判も起こされていますが、
小選挙区比例代表並立制を採択することによって
多少の格差是正はされつつも、
やはり多数決の論理で決められました。
選挙の結果によって内閣が組成され、
少数派は多数派に従うことになります。

ところで、多数派が正しいのかというと
必ずしもそうとは限りません。
多数決はそれなりに価値のあるものですが、
その前に少数派と議論をしてその意見にしっかり耳を傾け、
真の正しさを導き出し、よしとするものは
豪気に採り入れることが民主主義の基本です。

私たちがごく最近経験してきたことの中にも、
多数派の意見に大きな誤りが数多くあったことは
記憶に新しいところです。

バブル絶頂期、世の中の圧倒的多数の人が
不動産や株式は必ず値上がりして儲かると信じ、
手を染めて巨額の財産を失いました。

高利回りを謳ったサブプライムローンへの投資、
住宅ローンを束ねた債券は延滞しているものがあっても、
不動産処分をすればロスにはならないと思い込み、
プロであるはずの多くの金融機関が膨大な損失を出しました。

金利予測のプロといわれるアナリスト、証券マン、
すべてが「金利は早晩上昇する」と繰り返し言い続けています。
しかし、金利はここ20年間ずっと下がり続けています。
債券は下落する前に早めに処分するのが妥当であると勧め、
ましてやマイナス金利を予測した人は、
誰一人としていらっしゃいません。

傾向として数の多さで大勢が判断される社会ですが、
多数が必ずしも正しいとは限らないということを
私たちは胸に刻んでおく必要があります。

「みんな持ってるよ~」「みんなやってるよ~」
「みんないいって言ってるもん」
子どもたちは、親に聞き入れてもらおうと
「みんな」という表現を使います。
「みんな」というのは圧倒的多数という意味なのでしょう。
多数には誤りがない、多数に従うという法則を
ひょっとすると、私たちは過信しているのかもしれません。
選択肢の多い複雑な世の中、多数というだけではなく
常に冷静な判断を下す必要があるようです。

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  J's B-press VOL.54(2017.9.29)

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┃   コラム『明鏡止水』~シェアリングエコノミー~
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「あったら便利」と思い買い込んだ身の回りの品、
あれも持ってる、こんなのも持ってる・・・・・
人間の所有に対する欲求は、無限に広がるもののようです。

確かに、欲しいものが身の回りにある生活は
心を豊かにしてくれるかもしれません。
しかし欲しくて手に入れたものであっても、
皆さまのご自宅の下駄箱や洋服ダンスの奥には、
最近日の目を見ていないものが数多く眠っていませんか?

「あったら便利」は「無くても困らない」と同義語だと
「断捨離のすゝめ」を説く先生がおっしゃいます。
そんな眠っているモノ(財産)を有効に活用しようというビジネスモデルが
シェアリング・エコノミーとして注目を浴びています。

IoTの時代、会員登録をすれば、ブランドバッグや女性の衣服、
何千何万というアイテムの中から、
必要な時に、自分の欲しいものや手にしたいものが借りられる、
シェアリングビジネスの仕組みは至ってシンプルなものです。

また、シェアをするのはモノばかりではありません。
使っていない場所や部屋、民泊もこの範疇でしょうし、
手の空いている方に、掃除やペットのお世話をお願いすること、
健康なお年寄りにゴミ出しや買い物のお手伝いをしていただくこと等、
シェアの内容は限りなく広がります。

近頃、街で「わ」ナンバーの車をよく見かけますよね。
「わ」ナンバーは観光地でのレンタカーと相場が決まっていましたが、
今は、ビジネスで利用される法人のカーシェアが急増しているそうです。
自社所有するより、遥かにコスト削減が実現できるといいます。

当金庫の本店近くにある時間貸しの駐車場、
一昨年までは、30台ほどのスペースすべてが時間貸しであったのに、
昨年から3台分のスペースに「カーシェア専用」の表示、
今年の4月からは、7台分がカーシェアスペースになりました。

自分で車を持つと、ローンの支払いはもとより、
駐車場だ、保険だ、掃除だと面倒なことだらけ。
でも、カーシェアの会員登録をしておけば、
好きな時に好きな車種を使いたいだけ使える上に、
年会費を支払えば、あとは利用分だけをネット決済すれば済みます。
この手軽さ、便利さで人気急上昇、台数増加につながっているようです。

財の保有コストが高くなる傾向を、
財をシェアすることで防戦しようとするのは当然の考えで、
シェアリングビジネスが認知される理由でもあります。
既存業者との利害にかかる法整備等、まだまだ未解決の問題もありますが、
モノを所有することから、利用する価値重視に変化していることは
注目に値します。
皆さまの周辺にも、ちょっと目線を変えるだけで、
新たなビジネスチャンスが芽生えているのかも知れません。

「カンブリア宮殿」をご覧いただいた方もお気づきかと思いますが、
城北信金の「金融から非金融へのチャレンジ」、
クラウドファンディング、アスリートによる子供たちへの啓蒙支援、
観光、花火、M&A、相続、災害時における帰宅困難者支援などなど、
地域との共存共栄を目指して、さまざまなシェアリングに挑戦しています。
今後とも当金庫を大いに利・活用して下さいますようお願い申し上げます。

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  J's B-press VOL.53(2017.8.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~ネットショップもいいけれど~
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北朝鮮のミサイルが日本の上空を通過、
「どこに堕ちるの?」そんな心配をしながらの夏、
防空頭巾かぶって防空壕、確か祖父母から聞いたような・・・。
かたや、パンダの赤ちゃん誕生、かわうそ発見、ゾウガメ脱走、
いろいろ賑やかです。

動物ついでに「豚にIoT」そんな新聞の見出しを見つけ「???」
ついに豚もパソコンやスマホを使ってインターネット・・・???
よくよく見れば「養」の文字を見過ごしただけのこと、
つまり「養豚」にもIoT技術を駆使、これまで人手をかけていた
給餌などの飼育管理をIoTで精緻化かつ省力化することで、
大幅なコスト削減が期待できるという記事でした。

このところAIやIoTの話題が多い当コラムですが、
スマホやPCが生活の軸になっている世の中ですから
致し方のないこと、これも時代の流れということで
キーボードやタッチパネルの苦手な方もどうぞおつき合いください。

小売業では、24時間営業のネットショップ利用者が急増しています。
Amazonをトップに昨年のネットショップの売り上げは約7兆円、
10兆円を超すのは時間の問題のようです。

町の小売店も売上維持を懸命に模索、試行錯誤を繰り返しています。
物販の丸井グループでは、男女アパレルを店頭では試着のみ、
色サイズを確認して店頭のタブレットもしくは自身のスマホで発注、
商品は2日後に宅配される・・・という仕組みを実験中といいます。
店側は無駄な在庫を持たずに済む、
お客はかさばる荷物を持ち帰る手間が省ける、
リアル店舗とネット販売の中間、これからの小売店の形かも知れません。

コンビニの淹れたてコーヒーに押され気味の自販機缶コーヒーは、
スマホアプリを活用したポイントサービスや、
メディアでは報道されない近隣の交通や雷雨情報を提供するサービスを付し、
巻き返しを図っています。

証券会社では、家計簿アプリに連動して買い物のお釣りを投資運用するという
FV(Fintec Venture)を活用した仕組みで主婦層を囲い込んでいます。
投資は怖いものというイメージを払拭すると同時に、
買い物に付加されるポイントも投資に回し、
ゼロ金利に嫌気の差した小口投資家を増やしているそうです。

このように、デジタル化は確かに私たちの生活を便利にしています。
私たちの行動記録を瞬時にデータ化しAIによって処理すれば
利用者との適合性も格段に上がるのかもしれません。

しかし、すべてが「それでよし」ということではありません。
フリマアプリ「メルカリ」の山田CEOも言っています。
「ネット社会はさらに進むけれど、人と人が会って心を通わせるような
リアルな体験の重要さが増すことを忘れずに」と。

心地よく提供され続ける情報によって「買わされる」のではなく
作り手売り手の思いを感じながら、自分の意思で「買う」、
それもお買い物の醍醐味のひとつでは・・・?

信金の原点のFace to Face、
いうなれば頬と頬で互いの気持ちをくみ取ることです。
ネット社会になればなるほど、会う、語り合う、手を握り合う、
抱きしめる・・・、人としての温かさを伝えることが大切になります。
数十台も並ぶ都銀のATMでは、デジタル音声が「いらっしゃいませ」、
でも城北信金の窓口には、温かな満面の笑顔がお待ちしています。

※本コラムでは、新聞・雑誌等の記事を引用させていただいています※

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  J's B-press VOL.52(2017.7.31)

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┃   コラム『明鏡止水』~素直なことば~
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暑中お見舞い申し上げます。
先ずは豪雨・地震による大きな被害を被った北九州、
東北地方のみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
未だに多くの行方不明の方たちがいらっしゃいます。
一日も早く行方が判明しますようお祈り申し上げます。
記録的豪雨をもたらす雨雲の発生は全国に広がっているそうです。
くれぐれも気象情報に耳を傾け、
警戒するとともに早めの避難を心がけて下さい。

さて「水ぬるむ」という表現は、
氷が解け寒さが和らいできた春を表す季語、
蛇口をひねっても出るのは熱いお湯、一向に冷たい水にならないこのごろ、
猛暑の今年は「熱き湯の吹き出る」そんな真夏の季語ができそうです。
日本発の優れものウォシュレット、この暑さで熱湯が吹き出し火傷・・・
なんて、考えただけでも怖ろしいことですが・・・?

七月も終わりに近づくと少しずつ日暮れが早くなります。
季節の移ろいだけは、歩みを止めることなく確かな時を刻んでいます。
子どもたちが夏休みに入ったそんな夕暮れ時、友人と駒込の洋食屋で
食事をした帰り道、信号のない交差点を通り過ぎ直ぐのところ、
路地から小さな男の子が車の前に飛び出してきました。

幸いのんびり走っていたので、
急ブレーキというほどのこともなく車は止まり、
驚いた表情の男の子がフロントガラスの向こうにありました。
道路の端に後退りした男の子の前を、
ゆっくり通り過ぎながら窓を開け「危ないから気をつけてね~」、
男の子はこちらを向いて「ごめんなさい」と
大きな声で言いながらペコリと頭を下げました。

たったそれだけのことなんです。
「いい子だな~、親ごさんの教育かなぁ・・・」
車の前を斜め横断する自転車、クラクションを鳴らそうものなら
自分の不注意を棚に上げ「危ねぇーだろっ!」と罵りながら
脱兎のごとく消え失せる、そんな大人が多いのに。

年の頃6~7歳でしょうか、夕暮れの日常から切り取った1シーンです。
大きく変化する世の中、変化対応はとても大事なことではありますが、
中には変えてはいけないもの、変わってはいけないものがあります。
その大切さを小さな男の子は教えてくれたような気がしました。

「このハゲーっ」と叫びながら拳を振り上げる女性代議士、
離党届を出せば、金銭で和解をすれば、
すべて無罪放免っていうことではありません。
「くたばれレッズ」と書き込む別の女性代議士、
お二人とも国会議員なんですぅぅぅ~ ♪
国政を預けて大丈夫?不安になりますよね。

明日を担う子どもたちに範たる大人でありたいと思います。
暑さ本番です、日射病・熱中症に十分お気をつけ下さい。

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  J's B-press VOL.51(2017.6.30)

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┃   コラム『明鏡止水』~パワースポット~
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東京近郊の高尾山は、富士山から皇居に向かって流れる
強い龍脈上にあるパワースポットとして人気急上昇中です。

高尾山薬王院の境内に石でできた輪があり、
願いごとを強く念じつつくぐり抜けると願いが叶うといわれています。
特に恋愛成就にご利益絶大というクチコミで、
新年は暗いうちからカップルが長蛇の列を作ります。

ここ数年、テレビや雑誌によく採り上げられるパワースポット、
科学的な定義とか根拠が実証されたわけではありませんが、
どうやら、その場所を訪れることでリフレッシュができ、
癒やし効果が得られるのは確かなことのようです。

日本には古くから、山や川、湖のような雄大な自然に対する
崇拝思想があります。
自然から力を得ようと、祠をつくり参拝してご利益を期待する
という習慣は、今も全国的に脈々と続いています。
パワースポットというのは、崇拝する神仏に少しだけ近づけて、
願いごとに耳を傾けてくれるような気がする、
つまり「運気」を授けてもらえる、そんな場所のことを指すのでしょう。

パワースポットで感じとるパワーの源が「気」であるかどうかはともかく、
元気をだせ、気力で戦え、気乗りがしない、やる気を出せ、
気を落とすな、気合を入れろ、死ぬ気でやれ等々、
私たちは多くの「気」を用いる言葉に囲まれて日々を過ごしています。
意識のほどはともかく、
それほど「気」というのは身近な存在だということです。

藤井聡太四段の連勝記録に湧いている昨今、
その途中では、何度か劣勢になった局面があったと聞きます。
それを跳ね返しての連勝、
藤井棋士の「気迫」が先例棋譜に無いような勝負手を生み出し、
劣勢を挽回して勝利をもぎ取ったのでしょう。

「オーラが出てる」とよく言いますが、そのオーラとは
ヨガの世界では「気」のことを指します。
きっと藤井聡太四段の周りには、対局相手を寄せ付けない
強烈なオーラが出ていたことでしょう。

東洋医学では、人体の構成要素のひとつに「気」を挙げています。
病は「気」から、とも言いますから確かなことかもしれません。
気功術で病を克服したという話もよく耳にします。
パワースポットで運気を授かり、
自分自身でも「気」を高める術を知ること、
強く生きるためにはとても大事なことだと思います。

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