



信託部のミッションと、植竹さんが担っている役割について教えてください。
私たちの出発点は、「相続が不安」「誰に相談すればいいかわからない」といったお客さまの声でした。
相続が発生すると、相続人の方が日頃利用されている金融機関とのやり取りが中心となり、当金庫との関係が途切れてしまうというケースもありました。そうした状況を見て、「相続の場面こそ、しっかりと寄り添える存在でありたい」という思いが強くなり、相続・資産承継のサポート体制を整えてきました。
現在は、遺言信託や遺言代用信託、遺産整理などを通じて、生前の準備から相続後のお手続きまでを一貫してサポートしています。私はお客さまと直接対面し、お客さまの思いや不安を丁寧に伺いながら、どのように資産を託していくのかを一緒に考えていく役割を担っています。相続は単なる手続きではなく、その方の人生やご家族の関係とも深く関わる重要なテーマです。私たちが大切にしているのは、「どう生きて、どう託すか」を一緒に整理すること。それは、生きている今の不安と向き合う時間でもあると感じています。



城北信用金庫内で相続関連業務を完結させようと決めた理由は何だったのでしょうか。
もともと相続関連業務は外部の専門機関と連携して対応していましたが、2016年にシニア向けライフサポート「結」をスタートした当初より、「最後まで責任を持てる体制をつくろう」という意識はずっと持っていました。
そこから10年近くにわたり実績とノウハウを積み重ね、2025年11月に信託業務の兼営認可を取得し、当金庫のなかで一貫して対応できる体制を整えました。
認可取得には信託業務を適切に運営できる内部管理体制や、信託業務に関する十分な知識・経験を有する人材の確保といった人的要件などについても高いハードルがありましたが、それでもお客さまにとって“ワンストップでお応えすること”に価値があると判断しました。お客さまとの信頼を築き、次世代へ引き継いでいくこと。それが城北として取り組む意味だと考えています。
信託業務の認可取得後、お客さまや周囲にはどのような変化がありましたか。

信託業務の認可取得後、お客さまや周囲にはどのような変化がありましたか。
認可取得後は「ニュースを見たよ」と声をかけていただくことも増え、業界内でも大きな反響がありました。
また、相続の相談をきっかけに、保険や不動産など別の相談につながるケースも増えています。以前は相続関連の商品提案が中心でしたが、現在は営業店や本部の専担者と連携し、お客さまの人生全体をサポートできるようになりました。
お客さまにとっても、「城北のなかで完結する」という安心感は大きいと感じています。実際に、お取引きのなかった方が当金庫の相続関連サービスを利用されたことをきっかけに、ご自身の遺言作成へ進まれるケースもありました。



庫内完結の体制を整える上で、最も苦労したことは何でしたか。
最も大変だったのは、認可取得の要件を満たす内部管理と、実際に業務を行うための運営体制の構築です。
信託業務には実務経験者の確保や厳格な審査フローの構築、マネーローンダリング対策など、高い基準が求められます。
さらに、信託財産を通常の預金とは別で管理する仕組みづくりや、営業店との連携体制の整備など、バックヤードの負担も大きなものでした。
簡単な道ではありませんでしたが、相続手続きにおいて最後までお客さまに寄り添うために必要なプロセスだと捉えています。その積み重ねが、当金庫の強みと信頼の土台になっていくのではないかと思います。


相続・資産承継コンサルティングを通じて、植竹さん自身は何をBoostしていきたいですか。

相続・資産承継コンサルティングを通じて、植竹さん自身は何をBoostしていきたいですか。
まずは現在の業務品質を維持すること。そして、商品のバージョンアップなど、より実効性の高い仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
個人として最も力を入れたいのは、「遺言を文化にすること」です。
遺言というと資産家のためのものというイメージがありますが、本来は生前の不安を可視化して整理し、前向きな準備に変える手段でもあるということを、もっと多くの方々に知っていただきたいです。
認知症や相続トラブル、振り込め詐欺などの社会課題に対し、地域金融機関として何ができるのか。
相続や信託を“終わり”ではなく、“次世代へのバトン”と捉え、地域の信頼と安心をつないでいく。それが、私たち信託部の目指す未来です。
